第五十話
京は怯まず即座に攻撃を繰り出す。拳も、足も、全てオートガードに防がれてしまう…。アイリスはというと、涼しげな顔をしている。
「はん…大したことないね。じゃあ私のターンだよ!」
アイリスが手を前に出す。魔力の弾がまた飛んでくるが、こんどはかなりの弾数だ…。腕で弾いたり交わしたりしながら直撃を避ける。次の攻撃に移ろうとした、その時だった。バチン!と京の体に衝撃が走る。何が起きたのか理解できなかった…。ガクン、と地に膝をついてしまう。
(なんだ…?!何が起きた…耳がキーンとする…ッ)
アイリスがなにか言っているが…聞こえない。なんとか立ち上がり、アイリスの方へ走り出す。
「うおぉぉッッ!」
ハイキックを放つ…が、力が入っていない。オートガードに防がれると、至近距離で放たれた魔力弾が京に直撃する。
「ぐがっ…!!」
数メートル吹っ飛ばされ、壁に激突。このタイミングで、やっと音が聞こえる様になってきた。
「どうしたんだい?キョウ…その程度じゃないだろう」
なんとか立ち上がるが、足がふらついている。これではパンチもろくに撃てそうにない。
「はぁ…なんだ、さっきの…?」
「一瞬すぎて分からなかったか…今のは『サンダー』…雷魔法さ。」
避ける間もなく京を撃ったのは雷魔法…本当に手加減なし、勝ちにきている。
(このまま真正面から挑んでも勝てそうにない…なにより、オレの消耗が激しい。あの『オートガード』の隙を見つけねぇと…)
『オートガード』は、アイリスの意識の中の攻撃ならすべて防げる。何とかして意識の外から攻撃しなければならない。だが、隙がない。こんな事を考えている今も、サンダーで撃たれる可能性があるのだから。
(無駄なことは考えるな…!とにかく攻めろ!攻めまくれ!絶対にアイツを殴ってやる…!)
京は『エクスカリ棒』を取り出すと、またアイリス目掛けて走り出す。
「ふん、そんな短い棒で何が出来るのさ!」
『エクスカリ棒』を振り下ろす…と見せかけ、反対の手でパンチを繰り出すが、容易く防がれる。至近距離で投げつけるも、かわされてしまう。
「さぁ、終わりだよ!」
また『サンダー』が来る…。しかし、京は防御しない。一か八か、ノーガードで突っ込んだのだ。
「なっ…!」
アイリスの表情に少し焦りが見える。今しか…
キーーーーン…
視界が真っ白になった。また撃たれた…
だが、立っている。京はまだ、進み続けている。
「うおぉぉ…ッ!」
アイリスの腹目掛けて、思いっきりパンチを繰り出す。
「うあっ…っ!」
だが、防がれてしまった。まだだ、まだ打ち込める。
「ぐっ…ぐぐッ!!」
一発、また一発とアイリスのシールドに向かって打ち込む。少しずつ前が見えるようになってきた。まだ打ち込める!殴り壊せる!!少しずつ感触が変わってくるのが分かる。アイリスも防御に徹し、攻撃に踏み出せずにいる。
「おッラァァァアッッ!!」
何発も殴りまくり、ついに、変わった。『オートガード』が砕け散ったのが分かった。
「うおぉぉおお!!オートガード、敗れたりぃー!!!!いくぜ男女平等パンチ…!!」
アイリスの顔面を思いっきり殴ろうとした…が。京の良心が、『やめとけ』と言った。
(バカヤロウ!アイツはオレをここまで痛ぶったんだぞ?!なぁーに怯んでんだオレ!!殴り殺せ!!)
「おおっ…あっ…」
京の拳はアイリスの顔面の直前で止まっていた。
(えぇええええっ…やばっ)
アイリスも固まっていたが、ハッとした様に魔力弾を京に放ち、京は吹っ飛ばされた。
「しっ…勝負あり…!」
京は負けた。




