第四十六話
数日後…京は学校でクラスメイトと昼食をとっていた。結局あの日は門限に遅れ、罰として寮内の掃除を命じられたのだ…。
「あぁークソ、今日も帰ったら寮の掃除だよ…」
「ま、まぁ…人助けの為なんだから、胸を張れることだよ!うんうん!」
ザックは京を励ます。ここ最近の京は悪口を言われるか金玉を蹴るかしかしていない。そろそろ甘酸っぱい青春の一つや二つあっても良いと思うのだが…。そんな事を考えていると、突然教室の扉が開いた。
「キョウ…来い。」
「…ウォンじゃんよ。どうしたんだよ」
「事情は後で話す…とにかく来い。」
ウォンはなんだか思い詰めた様な顔をしている。まあいつもの事だが…。とにかくついて行ってあげようと思った。
「わりぃ、ザック…ちょっと行ってくるわ」
ウォンに連れられて人気のない場所に行くと、ウォンはしゃがみ込んでしまった。
「オイ、どうしたんだよお前…なんかヘンだぞ?!」
「…お前に、相談がある」
ウォンから相談されるのは初めてのことだったので、一体どんな話をされるのか見当もつかない。もしかして…とてつもなく重い話なのだろうか?それとも闇の勢力に関する事か…良い事はなさそうだ。
「寮の近くに野良猫がいてだな…ずっと可愛がっていたのだが、最近姿を見せてくれんのだ」
…?聞き間違いだろうか。
「ん…?すまん。もっかい言ってくれ。」
「…にゃんごろうが居なくなったのだ!」
待て待て待て。なんだにゃんごろうって。お前そんなキャラだっけ?いや違うよな。普段はもっとこう…
『フン、くだらんな』
『もっと頭を使ったらどうだ』
表情はあまり変わらず、冷酷。どこまでもクールな男。そんな彼がその仮面の様な表情を崩すのはどんな時なのだろうか。強敵と対峙した時か?倒れる寸前まで追い込まれた時か?否…可愛がっていた野良猫がいなくなった時だ。
「…な、なるほどな!その…にゃんごろうちゃんが居なくなったってことか。うんうん…。」
「そうだ…それでだ。今日、学校が終わってから探しに行きたいのだが…お前も来てくれないか。」
予想外のお願いだ…。しかし、断る理由もない。
「よし…分かったぜ!一緒に探すか!」
「あぁ…よろしく頼む。」
こうして京とウォンは各々の教室へと戻り、普段通りに魔法の勉強は続いた。
そして夕暮れ時…。寮の掃除を終えて、ウォンに指定された場所に向かうと、すでにウォンは到着していた。




