第四十二話
「ほんと…すみませんでした。歩けますか?」
「…うっせぇ…こんくらい…余裕だっつの…また、来る…」
京はイナの家を後にすると、寮に帰る為に歩き出した。あれから特訓と称してイナに魔法を死ぬほど浴びせられた。「加減しますから!」なんて言いながら、とんでもない威力の魔法を放ち、京は満身創痍だ。治療魔法でもかけてもらえば良かったと後悔しながら歩いていると、後ろから声をかけられた。
「あの…大丈夫ですか?」
「あ…?」
今日が振り向くと、そこには一人の少女が立っていた。金色の長い髪に緑色の瞳、そして…とんがった耳。
「すごいケガですよ!よくそんな状態で歩けますね…すぐ治療魔法をかけてあげますから!」
その女が近づいてきて京に触れると、少しづつ京の傷が治っていく。1分ほどで傷は完治してしまった。
「よし…!これで大丈夫ですね!他に痛いところはありませんか?」
傷が治りぼやけていた視界が鮮明になる。近くで女の顔を見ると、年は京と近そうだった。そして何よりも特徴的な耳。
「…アンタ、ヘンな耳してるな」
「はぁ…?!いきなり失礼ですよ!」
怒られてしまった。
「あぁいや…ヘンって言ってもバカにしてる訳じゃねぇぜ?!とにかくありがとよ…そんじゃ」
女に礼を言い帰ろうとすると、路地裏からガラの悪い男が三人出てきた。
「…オ?アニキ、あのエルフの女可愛いっスよ!」
「ホントだな…こりゃボスも喜ぶだろうなぁ」
「えぇ?!オレらが貰いましょうよォ!」
なんだこのテンプレみたいな悪者は…さっき助けてくれた女が狙われているようだ…こちらに近づいてくる。
「オウ姉ちゃん!今からオレらと遊んでかないィ?」
女は怖がっている。
「嫌です…!」
「つれないなァ!いーじゃんちょっとぐらいヨォ!」
ガラの悪い男の一人が女の手を掴むと、女は手を振り払った。
「触らないでください…!」
男たちが少しイラつき始める。おもむろにポケットから刃物を取り出すと、女の喉元に突きつけた。
「オレたちのボスは「グルード」さんだぞ…?お前も聞いたことあるよなァ。痛いことされたくなきゃ大人しくついてきな…」
「うう…」
女はガラの悪い男たちに腕を掴まれ路地裏へと連れて行かれた。
「…」
突然のことに、京はしばらく唖然としていた。
「オレ…無視…?」
あまりにもテンポよく拉致られてしまったので、介入する隙がなかった。いやあったけど。いざこういう場面に出くわすとどこで割って入ったらいいか分からないものだ。いや…そんなこと言ってる場合じゃないかも。
「オイ待て待て待て待てぇ!!!」
京はかなり遅れて男たちを追う為に走り出した…。




