第四十話
あれから一週間経った。大会まではまだ時間があるため、穏やかな時間が続いていた。そんなある日…
「そういや最近イナに会ってねぇな…会いに行ってみるか」
久しぶりにイナに会いに行くことにした。今すぐにでも行きたいところだが、誤ってメラを校舎に向かって放ち窓を割ってしまったせいで反省文を書かされていたので、寮に帰ったのは日が沈みきった時間だった。流石にこの時間に行くのは迷惑だろう。京もその辺りのことは弁えていた。
次の日…朝、目を覚ますと顔を洗い、イナの元へ向かった。
寮を出て、イナの家まで走っていく。10分ほどでイナの家に着いた。ドアをノックする。しばらくすると、ドアが開いた。
「どなたですか…て、京さんじゃないですか」
「オウ!久しぶりだな師匠!」
「師匠って…とりあえず上がってください」
「サンキュー!邪魔するぜ」
ドアを開けると、相変わらず綺麗な部屋だった。椅子に座ると、イナが飲み物を持ってきてくれた。
「で…学園生活はどうですか?」
「まあぼちぼちだな…魔力は色々あって12まで上がったぜ。魔法はからっきしだけど戦ったらまず負けねぇぜ」
「魔力が上がったんですね…!正直魔力量に関しては救いようがないと思っていたので少し感動しましたね。その魔力量なら初級魔法ぐらいなら使えるはずですよね。何か魔法は撃てるようなりました?」
「おう!ちょうど昨日メラ撃って校舎の窓割って反省文書かされたとこだ!」
「はぁ…ふふっ、とりあえず元気そうでよかったです」
イナはクスッと笑った。この女はなぜ、ここまで京に良くしてくれるのか。京自身もなぜなのか本当に分からなかった。
「あぁ…そうだ。聞きたいことがあるんだけどよ。アストレア王国で何があったか知ってるか?」
京が訪ねた時、イナの表情が変わった。少し考え込むと、口を開く。
「…貴方の口からその名前が出てくるとは。行ったことがあるのですか?」
「いやぁ…ここだけの話なんだけど…」
京はイナに、アストレア王国で見たもの、聞いたことを全て話した。あまり口外するのは良くないのは分かっているが、イナになら話してもいいと、そう思えたのだ。
「…ついに動き出しましたか。」
「こんな事周りに言えねぇと思ってよ、先生とかには言ってない。これ言ったほうがいいのか?」
「いえ…話さないほうがいいでしょう。国王は、ゴブリンの仕業などではないと知っているのです。明らかに真実を隠蔽しようとしています。もしそんなことを言ったら最悪…転移者である貴方は口封じに殺されてしまう可能性もあります。」
殺される…そこまでの事態に巻き込まれてしまったのかと、改めて実感した。




