第三十八話
中庭に行くと…かなり人が集まっている。セファエルが呼んだのだろうか。
「お!来やがったな…」
…他の手を挙げていたメンバーはいない。この空間は京とセファエルの戦いの為に用意されたもののようだ。
「他のやつはどうした?」
「アイツらは話し合いで決めるからいんだよ…テメーは自分の心配だけしてろや」
どうやら京を大衆の前で痛ぶって、格の違いを分からせようとしているらしい…が、これは逆にチャンスだと京は思った。
「昼休みもあんま長くねぇし…さっさと始めようぜ?」
京はセファエルの前に立ち、挑発するように指を立てる。
「…殺してやるよ!」
セファエルは両手をかざし、魔法で水の弾を京に向かって放つ。
走って水をかわしながら距離を詰める…が。
「うおっ…!!」
あと少しで拳が届くところまで近づいた時、地面を割って水が飛び出してきた。ギリギリ交わしたが、その威力は尋常ではない。
「うわぁっ!!」
野次馬たちの悲鳴が聞こえる。水弾もさっきの仕掛けも野次馬のほうに飛んでいっている。
「どうした!ビビってんのか?!」
距離を取ろうとしたが…水が京の足を掴んで話さない。
(んだよこれ…!生き物みてぇだ!)
セファエルのほうを見ると、巨大な水属性魔法を溜めている。
少しづつ渦を巻いていく。これは当たれば最悪死ぬ…!
「やっべぇ…!」
京は『エクスカリ棒』を取り出し、足元の水を断ち切り脱出。
「喰らえ……『刺槍』!」
水が鋭い槍のようになり、京目掛けて飛んでくる。なんとかかわせたが…バキッ、と音を立て、後ろにあった柱を破壊した。
「オイ…!お前が人呼んだんだろ!なに巻き込んでんだ…!」
真後ろに人がいたら、間違いなく死んでいた…これは長引かせるわけにはいかない。
(けど…近付けねぇ!いや!気合いで詰める!!)
「アッハハハハ!どうだ!カスみたいな魔力の君には到底真似できない芸当だろ!これが才能の差なんだよ!!」
京は走りだし、セファエルに近付く…が、セファエルが指を立てると、真上から水弾が降ってきた。
「ぐぁ…!」
ノーガードで被弾し、京は地面に叩きつけられる。そして今度は京の周りにあった水が集まり、京を飲み込んでしまった。
(しまった…息が…!)
もがけばもがくほど状況が悪くなる…ここから抜け出すのはほぼ不可能だ。
「どうした?!さっきまでの威勢はどうしたぁ?!」
高笑いをしながら、セファエルが近付いてくる。
「さて…苦しいだろ?助けて欲しいか?」
言い返したいが…水の中では喋れない。
「ほら!もっともがけ!見てくれてる皆の前でなぁ!!」




