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第三十四話

ここら一辺の花が枯れ始めた…ここの意味するところは…

「君たちのお陰でお姫様の警備が手薄になって良かったよぉ、作戦大成功ってところだね!」

クスィーが笑う。あの花はローゼのスキルによって咲いているはず。

「まさか…テメェ!」

「外から人を連れてきて混乱を起こす…我ながら天才的っ!」

姫が…ローゼが殺されたとしか考えられない。エイシアもその事に気付いたのか、真っ青な顔をしている。

「貴様まさか…『闇の主』の手下か?封印を解き…奴をまた復活させるつもりだな」

ウォンの表情も強張っている。事態がかなり深刻である事を、嫌でも理解させられる。そんな空気だった。

「おいウォン、封印ってなんだよ!意味わかんねぇぞ…?!」

「…遠い昔、『五傑集』と呼ばれる者たちが、世界の光を奪おうとする闇の主を封印した。封印は、5つの国に設置された『神石』によって保たれている。そのうちの一つがここにある。」

「んで…?!その封印ってのが今解かれたのか?!」

「姫が殺されたなら…ここの『輝光石』は奴の手に渡っているだろう」

もしも5つの石が奴らの手に渡れば…闇の主が復活してしまうのだろう。だが、今は闇の主よりも目の前の敵をどうにかしなければならない。

「…チッ!とりあえず、コイツをぶん殴って石を取り返せばいいんだろ?!おい団長!手ェ貸せ!」

エイシアは無反応だ。どうやらかなりショックを受けているらしい。

「…おいコラ!なんとか言えって!さっきまでの威勢はどぉした!」

返事はない。無理もない…突然こんな事が起これば、呆然としてしまうものだろう。京もそこは分かっているつもりだった。

「キョウ、俺たち二人でやるぞ」

京とウォンは戦闘体制に入る。まずは京がクスィーの懐に飛び込み、腰を切り、ボディブローを食らわせる…はずだった。

「はっ?!」

感触がない。拳が当たっていないのだ…

(どういうことだ…?!チッ!もう一発!)

そのまま勢いをつけて回し蹴りを繰り出すが、京の足は空を切るだけで、クスィーには当たらなかった。

「どおしたの?当ててみなよぉ!」

クスィーはポケットから小さなナイフを取り出し、京目掛けて思いっきり振り上げる。かわそうとしたが…体が動かず、刃は京を切り裂いた。

「ぐあぁっ!」

後ろに下がりたいが…体が動かない。このままでは切り刻まれてしまう。すると、ウォンが京にタックルして、クスィーとの距離を取る。

「おいキョウ!動けるか」

「いってぇ…サンキュー、動けるぜ」

京はスキルを発動し、『エクスカリ棒』を取り出す。しかし…こんな短い棒ではハッキリ言って意味がない。ウォンが風の魔法を繰り出すが、全く効果がない。すかさず京も棒を投げつけるが、クスィーを通り過ぎて遠くへ行ってしまった。

「…あっ、早く主さまのところに戻らないと!君たちに構ってる暇はないんだー、ごめんね!」

そういうと、黒い霧のようなモヤを残して、クスィーは姿を消してしまった。

「…クソっ!」

アストレア王国には京とウォン、そして呆然と座り込むエイシアだけが残された…。改めて周囲を見回すと、まるで世紀末の様な光景が広がっていた。咲き乱れていた花は枯れ、兵士たちの体は黒く変色している。闇の魔力を流し込まれるとああなってしまうのだろうか…。京はウォンにエイシアを見ておくように頼むと、城の中へと向かった。


城の中も最悪だった。窓は割れ、壁や床は所々黒く変色している。京はこの数分で、闇の魔力がどれ程恐ろしいものかを理解させられた。瓦礫をどかし、先ほどまでローゼのいた部屋に入ると、そこには数人の兵士が倒れていた。奥に進むと…ピンクのドレス、ローゼが倒れている。本当に死んでいるようだ…

「…闇の力ってのは…ここまでやべぇもんなのか…」


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