第二十八話
京が石をかじった瞬間…石が強烈な光を放ちだした。
「う゛ごごごぁ゛?!」
思わず石をウォンに放り投げる。ウォンは石をキャッチすると、なにやら考え込むような動作をし始めた。
「…なるほどな」
一人で考えて一人で納得したようだ。京は自分の前歯が無くなっていないか確認するのに手一杯だった…。
「この石に魔力を流し込んでみろ…かじるなよ」
ウォンがまた京に石を渡す。イナとした修行の時のように、魔力を流し込んでみる。すると…少し石が光ったかと思うと、京の体の中に光が流れ込んでくる。
「おぉ…おぉ!」
少しすると光は無くなり、石は砂のようになって消えてしまった。
「…どうだ、なにか変化は感じるか?」
「あぁ!力が…みなぎってくる!」
京はスキルを発動、『気合』を取り出した。するとどうだろうか…ただの鉄の棒だったはずの『気合』が、光を放っている。
「これは…この棒の名前を変える必要があるな!よぉし!決めた!今日からこの棒は『エクスカリ棒』だ!!」
ウォンは何言ってんだこいつ、みたいな顔をしている…。だが、これは紛れもなく、京の力が強化された証拠なのだ。
「ウォン、あれ貸してくれよ」
京がそう言うと、ウォンはポケットからなにかを取り出した。
「簡易魔力測定器…あまり正確ではないが、いいな?」
「オウ!よろしく頼むぜ!」
測定器を京にかざしてみる…すると、数字が現れた。
…10。
京はこの世の終わりのような顔をしている。ウォンもまた、豆鉄砲を食らったような…間の抜けた顔をしていた。
「はっ?!んな訳ねぇよな?!故障してんだぜこれ!」
「…どうだかな」
今度はその測定器でウォンの魔力を測ってみる…
「1350…少し魔力が上がったからな、正確に測定出来ている」
「うっっそだろ…こんだけ頑張ったのに…うぐぐ」
しかし、京はある事に気付く。魔力が10もあれば、メラぐらいなら撃てるのだ。つまり…京も魔法使いの仲間入りだ。
「うおぉ…これってオレ、メラ撃てるじゃーーん!!」
なんて騒いでいると、奥から足音が聞こえてきた。誰か来たようだ。
「この足音…リザードマンではない、人間だ。」
「オレたちと同業ってことか…ウォン、動けるか?」
「…魔法は使えないだろうが、素手でなら戦える」
「まじぃ?オレ、正直ヤバいかも…」
足音は段々と近づいてくる。京とウォンはとりあえず物陰に身を潜める。足音が近くなると同時に、なにか話す声も聞こえてくる。
「…どういうことだ、全てのリザードマンが倒されていたな…」
「うう…ここを仕切ってたグレイザードも倒されてた…どっどうしましょう!そんな強いやつ、わたしたちじゃ勝てないですよぉ!」
…どうやら、同業者《盗人》ではないようだ。京とウォンは目配せし、タイミングをうかがう…京は『エクスカリ棒』を取り出し、その人影が近くに来た瞬間…
「オラァ!」
奇襲を掛ける。しかし、足がもつれてしまい、紙一重のところで躱わされてしまった。ウォンも同様に、うまく体が動いていないようだ。
「やっべ!しまった…!」
「光の拘束!」
京とウォンはあっさりと魔法で縛られ、身動きを封じられた。力を入れてみるが…ダメだ、解ける気配はない。
「ひぃっ!ひぃい!」
ここに来たのは二人…一人は騎士風の女、もう一人は臆病そうな少女のようだ。
「貴様ら、何者だ!なぜこんな所にいる?」
「うぐぐっ…オレたちはな、悪名高きリザードマンの群れを成敗して、この世界に平和をもらたそうとしてたんだよ…」
京は頭をフル回転させ、一番それっぽい言い訳を考えた。魔力が増える石があるって聞いたから強盗しに来ました、とは言えない。
「どうだ、クスィー、こいつの言ってる事は本当か?」
「い、いえ…魔力が増える石があるって聞いて強盗しに来たようです…」
(うっっっそだろ…なんでバレてんだよ…)
騎士風の女が京の方を見る。京は必死に拘束を解こうとするが、全く解けない…どうする、どうすべきだ…?




