第二十五話
あれから1週間程経った…が、相変わらず魔力は2のままだ。先生にも相談していろいろ試してみてはいるが、魔力量は上がらない。だが…ある噂を耳にした。それは2日前のことだった…
「ねぇねぇ、京くん!」
昼休み…ビビが話しかけてきた。
「んだよ、今オレは飯食うのに忙しいんだ」
「へぇー、そんな事言っちゃうんだ!せっかくキョウくんが興味ありそうな話持って来たのに!」
「…オレが興味ありそうな話?」
京はパンを食べる手を止める。ビビはニヤッと笑い、話を続ける。
「気になる?気になる?」
「…わーったから、話してくれって」
「りょうかーい!あのね、この王国の町外れに、リザードマンの拠点があるらしいの!それでね…なんとそこには!誰でも魔力がアップする不思議な石があるらしいの!!」
「んブッ!!」
驚いて京はパンを喉に詰まらせてしまった。少し咳き込んで、息が整ったので京は話し出す。
「…マジ?」
「マジ!でもリザードマンは強いからなぁ…あるってだけで、取りに行けないんだよねぇ…」
「…そのリザードマンってのはどんぐらい強えんだ?」
「人の言葉も話せるし、魔法も使えるんだよ!ここの生徒でもほとんど負けちゃうんじゃないかな…」
京はリザードマンがどんなものか、と聞いたが、それは大きな問題ではなかった。何をしても増えなかった魔力が、増やせるかもしれないチャンスなのだ。テンションが上がっていく。
「へっへへ…!そりゃあ良い事聞いたぜ!これでオレも上級魔術師だな!これであのお高く止まってるアイリスをびっくりさせてやるぜ」
昼休みが終わり、実技が始まるが…京はその魔力が増える石のことで頭がいっぱいだった。その石があれば…魔法が使えるようになる。これはチャンスなのだ。
「キョウくん!危ない!」
ぼーっとしていたせいで誤爆した誰かの魔法が直撃してしまった。
「グワァ!!」
火球が京に直撃し爆発。
「ごっごめん!大丈夫?!」
魔法を撃ったであろう男子が心配そうに京に駆け寄る。すると、京はむくりと起き上がり、満面の笑みで、
「人には失敗は付き物さ。気にすることはないよ。」
と言った。なぜかニコニコしている京が気持ち悪かったのか、男子はそそくさと行ってしまった…。
その日の夜、京はウォンの部屋を訪ねた。
「…なんだ」
「いやー、実はお願いがあってよ…」
京はウォンに、今朝ビビから聞いた話を伝え、一緒にリザードマンの巣に来てくれないかとお願いした。
「フン、くだらん…一人でやってろ」
「頼む!なんか奢るからさ!」
「…チッ、今回だけだぞ」
案外チョロいな…ということで、ウォンがついて来てくれることになった。作戦実行は二日後。ウォンの部屋で計画を練る。
「リザードマンは五感が俺たち人間よりも優れている…つまり、侵入すればどれだけ隠密してもバレるだろうな」
「へっ!オレもお前もそんなコソコソする柄じゃねぇだろ?正面から突っ切ってやるぜ」
「貴様が言っているリザードマンの巣には心当たりがある…最近近くの別の王国で暴れ回って、かなり問題になっているらしい」
「へぇ!悪い奴らだったのか…。そりゃあいい!どんだけぶん殴っても心が痛まねぇな」
それからしばらくウォンと作戦会議を行い、ウォンと別れた。
「リザードマン…どんなヤツなんだろうな…ま、ウォンがいれば心強いな」
そして二日後…襲撃作戦当日だ。ウォンに道案内してもらい、リザードマンの巣までやってきた。
「おぉ…思ってたより立派だな。」
洞窟のようなものを想像していたが…石造りの小さな城のような外観をしている。
「準備は出来ているか…」
「あぁ、バッチリだぜ」
京が返事すると、ウォンが魔力を溜め始める。風が強くなる…。
「…竜巻!!」
風はやがて巨大な爆弾となり、城の門を破壊した。
「行くぞ」
ウォンと共に、駆け足でリザードマンの巣の中に侵入した。




