第二十四話
実技が終わり、教室に戻って来た。今日の学校はこれで終わりだ。
「オイオイ…だったらオレのスキルってクソだな」
京はザックとビビ、そしてアイリスと話していた。お互いのスキルについて教え合っていた。ザックは魔力の回復が少し早く、ビビはケガを治療出来るスキル。そして、アイリスの能力は…簡単に言うと瞬間移動だ。自分だけでなく他人も瞬間移動させられるらしい。試しに京は瞬間移動させてもらったが、ビックリして壁に激突してしまった…。他3人のスキルを聞くと、京の鉄の棒を出す能力など控えめに言ってカスだ。
「まあまあ…でもキョウくんはスキルなしでも強いじゃん!大丈夫だよ!」
ビビが京を慰める…。京は確かに、と頷いた。すると、後ろから聞き覚えのある声がした。
「おい、キョウ…ツラ貸せや」
「あ?てめぇは…サンザ、だっけ?」
朝京に絡んできた男だ。
「…皆は先帰っといてくれ、オレはこいつと遊んでから帰るからよ」
「ええ?でも…」
ザックがなにか言おうとすると、アイリスがそれを止めた。
「まぁいいじゃないか。それじゃ、また明日ね」
そう言うと、アイリスはザックとビビを連れて帰っていった。
「…さ、これで邪魔する奴はいねぇぜ?」
京は右手で、かかってこい、のようなジェスチャーをする。丁度学校の外の少し開けたところにいる…ここなら先生も来ないだろう。すると、サンザが後ろに合図した。物陰から3人程の人が出て来た。
「ハァ?!タイマンじゃねぇのかよ…卑怯だな」
「お前みたいなカスは一回フクロにしとかねぇと気が済まねぇんだ」
サンザがニヤリと笑うと、一人が突っ込んできた。手にはバールのようなものを持っている。が、腹に前蹴りを食らわせ、軽くあしらう。
「ぐはぁっ!」
後ろに吹っ飛び、倒れた。
「オレが言えたことじゃねぇけど…ドーグじゃなくて魔法使えよ」
「…ッチ!お前ら、そいつを抑えろ!」
サンザが命令すると、残りの二人が京に向かってくる。腹にパンチで一人、金的でもう一人…あっさり倒してしまった。京がサンザのほうを見ると、サンザは詠唱を開始していた。
「フレイム…!」
フレイム…中級魔法だったはずだ。大きな火の玉が京目掛けて飛んでくる。だが…イナほどの火力ではない。横っ飛びでなんとかかわすことが出来た。京の少し後ろで火の玉は爆発し、爆風が起こる。サンザはまた力を溜めており、フレイムを放つつもりのようだ。
「させるかよ!」
京はすかさずスキルを使用、鉄の棒を取り出してサンザ目掛けて投げつけた。棒はサンザの右腕にヒットした。
「ぐっ!いってぇ…!」
サンザが怯んだので、ダッシュで助走をつけて腹にドロップキック。
サンザは後ろに大きく吹っ飛び、苦しそうにしている。
「中級魔法が使えるってことは…まあまあすげーやつみてぇだな、でも根っこが腐ってちゃダメだぜ」
京は横でのびている他の3人もサンザのところに集めた。
「お前らいいか?この事は先生にチクんなよ。わざわざ顔面は避けてやってたんだからよ…もしチクったら今度は…分かるよな?」
一人に軽くビンタすると、泣きそうな顔になってしまった。少し可哀そうな気もするが、また絡んでこられても困る…。サンザにも釘を刺しておくことにした。
「おいサンザ、アンタが絡んできたせいでオレ初日から怒られたじゃねぇかよ…不良だと思われたくねぇんだよ、もう絡んでくんじゃねぇぞ」
サンザも怯えている。これでもう絡んでこないだろうと思い、京はその場を立ち去った。
京は寮に戻り、日課のトレーニングをした後、晩ご飯を食べて部屋に戻る。ベッドに寝転がり、鉄の棒を取り出す。隅々まで観察し、何の変哲もない鉄の棒である事を確認した。持ち手部分にグリップ代わりに包帯を巻き付けてみた。戻してもう一度出してみても、包帯は残ったままだ。
「…名前つけてぇな」
名前…名前。鉄の棒、なんて呼ぶのもなんだか味気ない。
1時間後…ようやく決心がついた。
「決めた!コイツの名前は『気合』だ!」




