第二十二話
改めて京も席に着く。しばらくすると先生らしき人が教室に入ってきた。
「おはようございます。私はこれからこのクラスの担任をさせていただきます、シャオンです。全員揃っていますか?」
順番に点呼をとっていく。京も名前を呼ばれる。
「へい」
と、気の抜けた返事をした。そのとき、さっき絡んできた男子と目が合った。かなり怒っているらしい。これから陰湿ないやがらせをされたらどうしようか…一旦陰でボコっておこうか、なんて考えた。
「全員揃っていますね。では、そちらの方から自己紹介をお願いします。」
自己紹介…異世界でもこんなことをするのか。いや、するか…。
「はい!私は…」
などといって自己紹介が進んでいく。京の番だ。
「えぇー、桂威京です。魔力量は2ですが気にしないでください。」
クスクスと笑い声が聞こえる。掴みはバッチリだな、本気でキレそう。
(どいつもこいつも…俺のことバカにしやがってよぉ…)
チッとあえて皆に聞こえるように大きく舌打ちして着席した。順調に自己紹介が進んでいく。次は…あの京に絡んできた男子の番だ。
「俺はサンザだ。この学校で一番強くなる男だ」
イタすぎる自己紹介…あちこちからクスクスと笑い声が聞こえる。京は両手で口を押さえていたが、耐えきれなかった…。
「プッ!!ククク…フッ」
サンザがこっちを向いた。
「おいテメェ、なに笑ってんだ?なにが可笑しいんだよ」
「いやいや!笑ってねぇぜ?鼻歌だよ鼻歌…クッハハ!」
「テメェマジで死にてぇのか?魔力量2の分際で調子乗ってんじゃねぇぞ?」
「オイオイ、こっち来んなよ…オレのイメージが下がっちまう」
なんて言ってると、先生が割って入ってくる。
「こら!君たち、初日から喧嘩なんてどういうつもり?」
京は焦って先生に言う。
「ちょっと待ってくれよ!オレなんもしてねぇぜ!」
「どちらもです!席で大人しくしててください」
サンザが舌打ちし、席に戻っていく。京はため息をついて、机に突っ伏した。
自己紹介が終わり、これから魔法の勉強が始まるようだ。この学校には時間割というものは無く、座学と実技で分かれている。これからは座学だ。これから始まるのは、魔力の基礎的な勉強らしい。
「では、これから授業を始めます。まず、魔力というのは…」
なにを言ってるのか全く分からない。アイリスの言っていた魔力の色のことや、魔力の効率的なコントロールの仕方…などの話をしている。魔法には詠唱が不可欠で、詠唱なしで魔法が使える人は数少ない…
「まず、知っている方も多いと思いますが、一番簡単な初級の炎魔法の呪文から勉強していきましょう。まずはメラ、これは一番簡単な魔法で、魔力も10程度あれば撃てます。これは…」
座学が終わった。収穫はゼロだ。
「次は外で実演だけど…どうだい?キョウ」
アイリスが話しかけてくる。もちろん、出来る気はしない。
「クソっ、一番簡単な魔法でも魔力10もいるんだって?んなもんオレに何が出来るってんだ?!」
「魔力は増やせるからさ…元気出しな」
外に来た。実技が始まった。
「では、先ほどの教えた魔法を使って、こちらの人形を破壊してみてください。」
人形が現れる。一人ずつ順番に、魔法を人形に放っていく。
「メラ!」「メラ!」順番に魔法を放っていく。魔法がヒットすると人形は破壊されるが、即座に元通りになる。さすが異世界。
アイリスの番が来た。手を振ると火の玉が飛び出し、人形付近で爆発した。
「流石だなアイリスさん…」「詠唱なしであの威力かよ…ぱねぇ」
ざわめくクラスメイトたち。ちなみにアイリスの次は京だ。
「お、魔力2のやつじゃね?」「メラ撃てねぇじゃん」
(うっせぇ!あの人形ぶっ壊せばいいんだろ?!)
「うおぉぉ…!!」
京は大きく力を溜めるようなポーズを取る。
「お?いけるのか…?」「まさか、メラが…」
「メ゛ラ゛!!!!」
……出ない。
「クソッッ!」
京はダッシュで人形に接近、思いっきり顔パーツをぶん殴ると、顔の部分が10メートルほど吹っ飛んだ。
「くそっ…どうすりゃいんだ…?」




