第十四話
待合室に戻り、次の対戦相手を確認する。
シビル、と言う名前だった…。一体どんな相手なのか。
しばらくするとまた京の名前が呼ばれ、二回戦の会場へ案内された。会場に行くと、相手はすでに準備が出来ているようだ。
「やぁ、僕はシビル!よろしくね」
「あぁ…よろしく」
お互い軽い挨拶を交わし、定位置に着いた。
「では、第二回戦…始め!」
審判の合図で、第二試合開始が告げられた。
「はぁぁっ…!」
対戦相手のシビルは、力を溜めるような体勢だ。5秒ほどだろうか。
力を溜め、シビルは魔法を発動した。
「ファイヤ!」
シビルの右手から火の玉が放たれる。しかし、弾速はそこまで速くない。京は難なく火の玉をかわす。
「なっ…!」
シビルは少し動揺している。イナの魔法を見ていたおかげで、魔法にも少し適応出来ているようだ。京は涼しい顔をしている。
「どうした?もっと打ってこいよ!」
「くそっ!」
シビルがまた魔力を溜める。しかし、京は今度は待ってあげなかった。
「遅いぜ!」
ダッシュで接近し、その勢いのままシビルの顔面に飛び膝蹴りをする。京の膝は無防備なシビルにクリーンヒットし、シビルは倒れた。観客からはワッと声が上がった。
「…勝負あり!」
審判が笛を鳴らし、第二回戦も京は勝利を収めた。
「…オイ、大丈夫か?」
京がシビルに声をかけると、ハッとした表情でシビルは飛び起きた。何が起こったか理解していないような表情だ。
「…僕は、負けたのか?」
「鼻血出てるぜ、医務室?で治してもらいな」
「…君、本当に強いね。検討を祈ってるよ」
「…あぁ」
京は会場を後にし、また待合室に戻って来た。
それから京は、三回戦、四回戦と余裕で勝ち進み、
トップ10を決める戦いにまで勝ち登った。
(オイオイ…全員大したことなかったぞ。やばかったのはあの金持ちぐらいだな…)
待合室にはもう京しかいない。試験も終盤だ。
また京の名前が呼ばれ、会場に向かう。
会場に入る。すると、奥から一人、狼のような風貌の男が現れた。
頭からは耳が生え、黒い長い髪でよく見えないが、隠れた目には鋭い光が宿っている。
「…お前が、カツライ キョウか」
「あ、あぁ…アンタが今回の対戦相手だよな?名前は確か…」
「…ウォンだ。」
名前を言うと、いきなりウォンは火の玉を飛ばしてきた。
「うおっ!あっち!」
両腕でガードする。かなりの威力だ…。
「まだ試合は開始していない!さっさと位置につけ!」
審判がウォンを注意する。ウォンは舌打ちし、定位置へ着いた。
(なんなんだよアイツ…でも今ので分かった。アイツはさっきまでの奴らとは…比べものにならねぇ)
「それでは試合…始め!」
試合開始と同時に、数発の火の玉が京目掛けて飛んでくる。
一発目、二発目とかわし、三発目…は、裏拳で弾いてみせた。
次は、ウォン本人が飛び込んできた。顔面目掛けて飛んでくるパンチを、京は軽くかわしてみせた。そして軽くジャブを打ち込み、
ウォンの動きを見てみる。ウォンはかわさず顔面で受けた。
「なっ、顔面で…!」
顔めがけてパンチが飛んでくれば、少しは体が反応してしまうだろう。しかし、ウォンは全くの無反応、
そのまま顔面で受けたのだ。
「うぐっ…!」
なんてパンチだ…!重い!次モロに受けてしまったら、落ちてしまうかもしれない…。一旦距離を取り、次のウォンの動きを待つ。ウォンが思いっきり腕を振り上げると、強風が吹いた。
砂埃が舞い上がる。前が…見えない。これはまずいと考え、京はガードを固めた。後ろから音がする…背後から攻め込んでくる。
すぐさま振り返るが、既に距離は縮まってしまっていた。
ウォンの怒涛の連打が京を襲う。ガード越しでもかなりのダメージだ、崩されるのは時間の問題だ…。
「クソっ!」
京は後ろへ大きく下がり、ウォンとの距離を取った。
そして、今度は京が間合いを詰め、攻めに転じた。
ボディへ二発パンチを打ち込み、顔面に回し蹴り。
ウォンは後ろへ倒れるが、すぐに起き上がる。
(全部ちゃんと入ったんだけどな…コイツ、タフだな)
などと考えていると、風が吹いた。頬に少し痛みを感じ、触ってみると、血が出ていた。
「ん…?」
風で皮膚が切れたのだ。




