第十二話
受付のお姉さんに連れられ、京は開会式の会場にやって来た。
会場にはすごい数の受験者がいる。
(おぉ…めちゃくちゃ多いな。こん中で10番にならねぇと学費免除にはならねぇのか…)
だが、全員と戦うわけではない。初戦からおっちゃんの言っていたようなヤツらと当たらなければ、まあ入学はできるだろう…と、京は考えていた。
「これより、第154回!ティアー国立魔法学園入学試験を開始する!」
観客達が歓声を上げる。受験者たちも、テンションが上がっているようだ。もちろん、京もテンションが上がっている。
(よっしゃあ!全員ぶっ倒してやるぜぇ!)
校長らしき人物の挨拶も終わり、これから試験だ。
待合室に戻ると、トーナメント表が大きく張り出されていた。
なんとか人混みをかき分け、トーナメント表から自分の名前を探す。カツライ キョウ…あった!対戦相手の名前は…
『アントニア・オニキス』
うっっそだろ…おっちゃんの言っていた野郎だ。普通に殺されそうで怖い。
「まじか…」
これはマズイ。京はすぐに部屋を出て、本気のアップを開始した。初戦敗退など…許されない。負けられない。5分程体を動かし、すぐに待合室に戻った。
「ローゲルさん!すぐに会場へ行ってください!」
名前を呼ばれた人物が、立ち上がって扉から出ていく。俺の番はいつだ…?大きな不安と少しの期待で、京はいてもたってもいられなかった。
しばらくして…
「カツライ キョウさん!こちらへ!」
京の名前が呼ばれた…これから、京の未来を賭けた戦いが始まるのだ。
会場へ着いた。地面は土だ…上を見ると観客たちが見える。円形に壁があり、会場自体はかなりの広さがある。
…奥から人が来た。今回の対戦相手だろう。
「へへ…君が初戦の対戦相手かい?」
鉄製の鎧を身にまとい、ゴツゴツとした棒を持っている。背は小さく、見た感じ身体能力はそこまで高くなさそうだ。
「あぁ、そうだぜ…俺は桂威京。今回はよろしくな」
「…はぁ?君は僕が誰だか分からないのか?敬語はどうした」
「はぁ…?なんだテメェ、随分な物言いだなぁ」
「僕はオニキス家の長男、アントニア・オニキスだぞ?まさかオニキス家の名前を知らないとは言わないな?」
…ムカつく野郎だ。これだけの防具を着込んでいるだけはある、かなりの小心者なようだ。
「あぁ…すげー金持ちな家なんだろ?でもそれがどーしたよ、金持ちだからって偉いわけじゃねぇだろ?」
「何を言ってるんだ君は!金を持ってるヤツが偉いに決まってるだろ!現に僕は金の力でここまでの装備を整えた!君じゃ僕には勝てないよ!」
「…もういいぜ、客も待ってんだ…ゴタゴタ言ってねぇで、さっさと始めようぜ?」
審判らしき人物が駆け寄ってきた。これから試合開始だ。
「二人とも!早く位置に着きなさい」
両者睨み合い、指定された場所に着く。
「では…試合、開始!!」
さぁ…試合開始だ。京はかなりイラついており、冷静ではなかった。
「うおらぁっ!!」
一気に間合いを詰め、顔面に右ストレートをお見舞いする。
しかし…防具が硬すぎる。少し考えれば分かる事だ。
「がぁっ!いっってぇ!」
右の拳に…力が入らない。強く殴りすぎた。
「うわっ!痛い!」
アントニアも今のは痛かったようだが、動けなくなる程ではない。
「いきなり殴りやがって…!殺してやる!」
アントニアが機械仕掛けの棒を京に振り下ろす。京は痛みでひるんでしまい、ガードが遅れてしまった。
回避も…間に合わない。振り下ろされた棒は、京の右肩に命中した。
「がぁっ?!」
聞いていた通り…バチバチと音を立て、京の体に電気が流れる。
「うぐぁあっ!あぐっ…!」
体が…痺れて動かしにくい。回し蹴りで反撃するも、力が全く入っていない。その程度のキックでは、鋼鉄の鎧を前には無力だった。
「いてっ!くそ!まだ動けるのかぁ?」
アントニアがまた棒を振る。当然、避けられない。今度はなんとかガードを固めるが、ガードを貫通して電気は京を貫く。
「がっぎぎぎ…!!」
京は動けず、膝から崩れ落ちてしまった。




