第十一話
夜が明け、試験当日になった。
京は不安な反面、かなりワクワクしていた。見たこともないものがたくさんあるこの世界で、これからどんな人と出会えるのだろうか。
そんな事を考えていると居ても立っても居られなくなり、無意識に体を動かしていた。
「京さん、起きてくださ…」
「お、イナさん、おはようござっす」
「…なにをされているんですか?」
イナが扉を開けて外を確認すると、汗をかいて息も上がっている京の姿があった。
「なにって…シャドーだよ。なんかソワソワしちまってよ!」
「…ふふ、元気そうですなによりです」
「…汗かいちまったな。昨日みたいにシャワー借りていいか?」
「しょうがないですね…いいですよ」
京はイナの家のシャワーを借りてスッキリし、朝食も食べさせてもらった。朝食を食べながら、イナが試験について説明してくれた。
「試験についてですが、私が事前に京さんのエントリーは済ませておきました。今回の試験は、3回勝てれば確実に入学出来ます。」
「3回か…受験者、大分多いみたいだな?」
「ティアー国立魔法学園はかなりの名門校ですからね…色んな地域から受験者が訪れるのです」
準備は整った…。京はイナに連れられて、魔法学園の試験会場へと向かうのだった。
ティアー国立魔法学園試験会場。
昨日のおっちゃん達が言っていたように、この試験は一般公開されている。見た感じ、かなりの人が集まっている。
「すげぇな…全国大会を思い出すぜ」
「ここを真っ直ぐ行ったところに受付があります。私はここからは同行できないので、ここからは京さん一人で行ってください」
「あぁ!分かったぜ」
「私は上の観覧席から見ています。いい戦いを期待していますよ」
イナはにっこりと笑って見せた。
(…イナのあんな顔、今日まで見た事なかったな…ゆーて三日だけどな…掴めねぇ女だ)
真っ直ぐ進んでいくと、受付らしき場所に着いた。
受付のお姉さんが、京に話しかけてきた。
「こんにちは。こちらは入学試験の受付会場になります。お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「あぁ、えっと…桂威 京だ。」
「キョウさん…ありました。こちらへどうぞ」
受付のお姉さんに連れられ、京は大きな部屋に連れてこられた。
部屋には試験に出るであろう人が座っている。
「こちらの部屋でお待ちください。まもなく開会式が行われます」
今回の試験は開会式があるらしい。かなり大きなイベントなのだろう。京は部屋に置かれた椅子に座った。周りを見てみると、緊張でガチガチになっている人もいれば、数人で集まって談笑している人もいる。会話の内容をこっそり聞いてみた。
「この試験、俺は絶対に合格出来る自信があるぜ!なんせ俺の魔力量は530だからな!」
自信のあるヤツが大きな声で言った。530…やはり魔力2はクソなようだ。京は心の中で舌打ちした。
「でもさぁ、魔力量が多くたって、レベルの高い魔法を使えなきゃ意味がないよねぇ?僕は中級魔法を扱えるんだ…君はどうなんだい?」
ナルシストっぽい男が自信のある男に突っかかる。
「んだとぉ?てめぇボコボコにされてえみてぇだな!」
「ふふ…返り討ちにされて泣いちゃっても知らないよ?」
一触即発。いや、触れなくても爆発するだろうな。このギスギスした感じ、たまんねぇ!喧嘩か!やれやれ!
「ふ…二人とも!落ち着いてよ!」
内気そうな男が二人を止めに入った。続いて、自信のあるヤツの友達らしきやつらが止めに入って、なんとか事態は収束したようだ。
(はぁーつまんね。喧嘩しろよ)
「…覚えてろよ。試験で当たったら、絶対に殺してやるからな」
「殺す?ハハハ!やれるものなら是非やってほしいね」
まだ雰囲気は険悪だ。この二人が試験で戦うのが楽しみで仕方ない。すると、受付のお姉さんが入ってきた。
「これから開会式を行いますので、皆さん私についてきてください」




