第6話、「陽葵の前にスサノオ!?」(6)
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突然、現れた柴原達夫に声を掛けたのは、妻の柴原葵だった。
「車で出るって、その足立塁君という少年を探しに行くの?でも、私にはスサノオさんの声は聞こえないのだけど、大丈夫かしら」
それを聞くと、柴原達夫は立ち止まり、
「それもそうか。でも、実は足立塁君、三日前から行方不明で、家族から警察に捜索願が出されているんだ。だから救出は一刻を争うと思うのだが。そこで、陽葵ちゃん、君はスサノオと話ができるんだね。スサノオに道案内が可能かどうか、聞いてみてくれないか」
と陽葵に質問をぶつけた。陽葵はスサノオに話しかけた。
「スサノオさん。今から柴原博士が、足立塁君を助けに行ってくれるんだけど、その場所への道案内は可能ですか?」
すると、スサノオの顔がぱっと明るくなったかと思ったら、目から大粒の涙を流し出した。
「おおお、行ってくれるか。かたじけない。場所は、柳橋から名古屋港へ向かって、まっすぐに伸びた道路の、道沿いにある建物の中じゃ。わしがそこまで、しっかりと案内するから、ご安心めされ」
陽葵が、それを柴原達夫に伝えると、柴原達夫は警察に電話をかけ、その概要を伝えると、柴原葵、陽葵、そして舞も車に乗せ、教団を飛び出した。
教団を出る時、陽葵はスサノオを見失い、車の内外を探したが、車の後部座席、舞の隣に、舞よりも小さなサイズになってスサノオが座っているのを見つけ、
まるでぬいぐるみみたい
と思い、笑ってしまった。
車の中では、ミッチーや、陽葵の守護霊メアリーが、いろいろスサノオに質問をしたが、それによると、今回、足立塁を誘拐したのは、ミハイル・ヴォロシンというロシア人で、最初は、塁に、超能力の先進国・ロシアで、塁の能力を生かした勉強をしないか、と留学の誘いを持ちかけたが、塁がそれを断ると、次には誘拐という手段に出たらしい。
ミハイル・ヴォロシンは今回、足立塁だけでなく、他にも数名、超能力を持つ子供を本国に送致する計画を立てていて、この日も薬で眠らせた足立塁を部屋に監禁し、次のターゲットに向けた活動のため外出中、ということだった。
車が名古屋港に着くのには、四十分ほどの時間を要した。だが、スサノオの案内を受けるまでもなく、進む道路の左右に、パトカーなど警察車両がいっぱいになって来た。陽葵が異様な光景に目を奪われていると、
「おおお、どうやら宿主が無事救われ、今、目覚めたようじゃ,わしは宿主のところに戻る。皆様のご恩は忘れぬ。また会おう」
突然、スサノオがそう言って、姿を消した。陽葵が、
「あの、塁君、助けられたみたいで、スサノオさん、帰られました」
と柴原夫妻に告げると、
「そうか、なら良かったよ。なら、帰るか」
と達夫。
「でも、そのミハイル・ヴォロシンって人、捕まえたのかな」
と葵。達夫は、
「まあ、それは警察の仕事だからね。でも、超能力を持つ子を誘拐する事件なんて、他人事ではないな。気をつけないと」
と言って、車をUターンさせた。




