第6話、「陽葵の前にスサノオ!?」(2)
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教団の門の前に立つ、大男、服装は紫色の薄い着物、足は裸足。とりわけ、夏井陽葵を身構えさせたのは、片手に持った刀である。5メートルほどある体に合った大きさの刀は、振り下ろすだけで建物さえ壊してしまうほどの大きさ・迫力だ。
陽葵は身動きもできす、大男を見つめていたが、やがて奇妙なことに気づいた。よく見ると、門から人が大男を素通りして出て来るし、車も何台か、大男を気にすることなく、門の中に入っていく。どうやら、そう、あの大男は、陽葵にしか見えないようだ。大男の方も、周りの人が見えないのか、足元を人がすり抜けても、何の関心も示していない。
陽葵は思った。こうなったら、大男は無視して、門の中に入っていくしかない。陽葵が大男を見えない振りをすれば、大男にも気づかれず、門の中に入ることができる気がした。
そう思って、何度か歩いて、門に近づこうとしたのだが、・・・やはり、ある程度、門に近づくと、恐怖心に襲われ、後戻りしてしまう。大男には決して悟らぬように、それを何度か、繰り返していると、
「陽葵ちゃん、待っててくれたの。ありがとう。じゃ、行こうか」
と声をかけられ、陽葵は心臓が飛び出しそうになった。見れば、赤井舞である。陽葵は舞を確認すると、すぐに視線を大男に戻した。大男は何かを探すように、門の中を見ているだけで、陽菜たちに気づいた様子はない。
「どうしたの。陽葵ちゃん。さあ、行くよ」
どうやら舞も、まったく大男が見えないようだ。そこで陽菜は、考えた末に、ある方法を思いついた。
「ごめん。舞ちゃん。私、ちょっとフラフラするから、手を引っ張ってくれないかな」
と言うと、舞は、
「大丈夫?今日はやめとく?」
と言ったが、陽菜は、
「大丈夫、すぐ治ると思うから。でも、今は手を引っ張って。お願い」
これは、舞に手を引いてもらって、大男を見ずに、門を通り過ぎよういう作戦だった。
舞は陽葵を気遣いながら、陽葵の手を取って歩き始めた。陽葵はなるべく大男を見ないように下を向いて、舞に手を引かれながら、門へと歩き出した。
だんだんと大男の衣の紫色が近づいて来る。陽葵の考えでは、このまま進めば、その紫色は素通りできるはずである。距離は、その紫色まで、後、数歩になった。だが、その時だ。
「大男さん、どうかしました?誰か、お探しですか?」
陽葵の頭のすぐ上から声が響いた。メアリーの声だった。
と次の瞬間、
「んん?」
大男が振り向いで、陽葵の方を見つめたのだ。陽葵は舞の手を握っていたが、握りながらも、その場にへたり込んでしまった。




