第5話、「陽葵、憧れの超能力者に出会う!」(5)
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しばらくの間、俯いて考え込んでいた、夏井陽葵は、ゆっくりと顔を上げ、大きく開いた目で柴原葵に尋ねた。
「葵さん、葵さんには、今の声、聞こえましたか?」
すると、柴原は、笑顔で答えた。
「その声は、私には聞こえない。そして、ここにいる舞ちゃんにも聞こえない。何故なら、今、あなたに声が聞こえたとしたら、それは、あなたの守護霊さんの声だからよ」
それを聞いて、陽葵は呟いた。
「そうか、メアリーは、私の守護霊さんだったのか」
柴原は質問を続けた。
「それで、あなたの守護霊・メアリーさんは、舞ちゃんの守護霊さんのこと、何か教えてくれた?」
陽葵は、ゆっくりと答えた。
「舞ちゃんの守護霊さんの名前は、松下ありささん。日本の幕末?の人?看護婦さんじゃないみたい」
と、そこまで言うと、今度は少し離れたところから声が入った。
「陽葵ちゃん、この前は舞を救ってくれて、ありがとう。別に、私の事、看護婦って言ってもらっても、いいのよ」
陽葵が顔を向けると、声の主は、舞の頭の上の、松下ありさだった。そう言うと、松下は、陽菜に微笑みを向けた。
「あ、違った。ありささんが言うには、看護婦さんでいいんだって」
陽葵は言葉を続けた。
だが、その陽葵の言葉を聞いて、複雑な表情を浮かべたのが、柴原葵だ。
「陽葵ちゃん、ちょっと確認したいのだけど、あなたの守護霊さんは、メアリーさん?それとも、松下ありささん?」
柴原がゆっくりと尋ねると、
「あれ?私の守護霊さんって、メアリーなんだよね。松下ありささんは、舞ちゃんの守護霊さんよ」
柴原は即座に質問を続ける。
「それで、あなたに舞ちゃんの守護霊さんの名前を教えてくれたのは、誰?あなたに、看護婦さんでいい、って言ったのは誰?」
何か焦るように質問をする柴原に驚きながら、陽葵が、
「だから、松下ありささんの名前を教えてくれたのがメアリーで、このことを、ありがとうって言ってくれて、看護婦さんでいい、って言ってくれたのが、松下ありささんだよ」
と答えると、柴原は一段大きな声を上げた。
「陽葵ちゃん、あなた、すごいのね。私には、舞ちゃんの守護霊さんの姿を見ることはできても、その人と話すことも、声を聞くこともできない。私が会話ができるのは、私の守護霊、ミッチーさんだけ。松下ありささんという名前も、彼女が幕末の横浜に住んでいたことも、全部、ミッチーさんに教えてもらったことなの」
そう言うと、柴原は突然、話をやめ、少し考え込むと、少しして意を決したように陽葵に言った。
「陽葵ちゃんん、無理にとは言わないけど、もし、良かったら、私の夫・柴原達夫に、一度、会ってもらえないかな」




