第4話「陽葵に救いを求めたもの」(2)
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「ねえ、舞ちゃん、舞ちゃん、高の能力開発プログラムに誘われた、って聞いたけど、ホントかい?」
赤井舞は、矢井田太郎の突然の訪問に驚いたようだったが、その質問には、
「ウン」
とだけ答えた。すると、矢井田は、
「う~ん、それはマズいな。何とかして、断わる方法を考えないと。高の怪しいプログラムなんかに、舞ちゃんを参加させるなんて、とんでもない」
と少し声を荒げたが、そこへ飛び込んできたのは、大谷珠代だった。
「矢井田君、あなたの声は廊下からもマル聞こえよ。上の人に聞かれたら、矢井田君、あなた、バイト、クビになっちゃうよ」
大谷は、少しひそめた声で、そう言ったが、矢井田は、
「基君の変貌ぶり、大谷先生も見ましたよね。あんな変貌、違法な薬物でも使わない限り、考えられない。昔、宗教体験を薬物で実現しようとしたカルト教団がありましたが、高さんがやろうとしているのも、まさにそれじゃないでしょうか」
と勢いよく続けた。すると、大谷は、
「矢井田君、証拠もないのに、そんなこと言っていいの。今の君の発言は、あなたの憶測で、ここにいる舞ちゃん、陽葵ちゃんの不安を煽るだけじゃないの」
と切り返した。矢井田は、少し黙っていたが、しばらくして、
「じゃ。大谷先生も、舞ちゃんが高の能力開発プログラムに参加するのに賛成なんですか」
と、すねたように言うと、大谷は、
「それは・・・」
とだけ言ったが、その後が続かない。それを見た、矢井田は、さらに付け加えた。
「それと大谷先生、先生は、高が教団に入る前、入る前と言いましても、学生時代ですが、何をしていたのか、御存知ですか?」
大谷が、
「何?」
と、言うと、
「高は学生時代、プロの催眠術師として、一時、活躍してたんですよ。もし、そんな人間が舞ちゃんに、危険な薬物を使おうと迫ったら、断わることなど、できると思いますか。大谷先生、お願いです。舞ちゃんを高と、二人きりで会わせることだけは避けてください。憶測かもしれませんが、これだけはお願いしたいんです」
と、矢井田は言った。あまりにも真剣な矢井田の語り口に、
「分かった。私も舞ちゃんに能力開発プログラムは、まだ早すぎる気がする。だから気を付けるね」
と、大谷は意を決したように答えた。




