表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陽葵の見えるもの  作者: チュン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/36

第3話「陽葵が見つけた友達」(全6話、1)、プログラム開所式

 金曜日の朝8時少し前に家を出た車は、午前9時前には教団の駐車場に入った。車を降りた夏井陽葵と母親・夏井礼音、二人が向かったのは、今回は、

研修センター

 と書かれたビルだった。そこに向って歩くと、ビルの入り口に人だかりができていた。二人がそこに近づくと、中から一人の女性が現れた。

「おはようございます。あなたは、夏井陽葵さんですね。こちら、研修中に使用するIDカードです。失くさないように持っててね。開所式が午前9時半から始まりますから、それまでに中に入ってください。それと私、大谷珠代と申しまして、今回、陽葵さんの担任、担任と言いましても、受け持ちは陽葵さんともう一人なんですが、担任を務めますので、よろしくお願いします」

 女性はそう言って、陽葵に封筒を手渡し、母親に会釈をすると、人だかりの中に戻っていった。その時、母親が時計を見ると、時間は、

午前9時20分

 だった。

「陽葵、お父さんとも相談したんだけど、今からの合宿は、何かを無理矢理治すんじゃなく、気分転換と思えばいいのよ。でも、わがままは言わず、先生の言うことには、ちゃんと従いなさいね」

 ここでアナウンスが流れた。

「今から、

ジュニア向けの10日間教団入門プログラム

 の開所式を行います。まずは受講者本人様のみ、建物の中にお入りください」

 その言葉で、陽葵が一人、歩き出すと、

「陽葵、葵さんに会えるといいね」

 と、母親は立ち止まったまま、声を掛けた。

 人だかりは20人以上いた感じだったが、その時に前に出て来た人数は意外に少なく、数えると子供は7人だった。陽葵は、参加するのは自分と同じくらいの年頃の子供だけかと思っていたら、中には高校生くらいの位の背の高い男の子もいて、驚いた。

 開所式は、教団教学部代表・高道官氏のあいさつの後、今回の合宿の統括責任者として前に現れたのが、高道官氏の息子、

高直師氏

 だった。父親の「高一派には、あまり近づかない方がいい」という言葉が、不意に陽葵の脳裏に浮かんだ。

 その後は、各生徒の担任として、先ほどの、大谷珠代や何人かの紹介があり、続いて、各生徒の学習担当として、何人かが紹介された。どうやら毎日、午後の数時間は、学習担当の先生が家庭教師のように生徒に寄り添って、学校の勉強の補修をする、ということだった。

 陽葵が、ふと気づくと、いつの間にか後ろで見ていたはずの母親の姿はなく、部屋に残っていたのは、七人の子供だけだった。そして、その時、陽葵の目に入ったのは、周りの子供の頭の上に浮かぶ人たちの、笑顔ではない、どこか寂しげで、どこか苦しそうな表情の顔だっだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ