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陽葵の見えるもの  作者: チュン


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第2話「陽葵もフロイトを見た」(6)、父親からのメッセージ

 家に戻ると、母親は、その足で父親の部屋に向い、少しの話し合いの後、さっそく教団に電話を入れ、陽葵の、

ジュニアのための10日間教団入門プログラム

 への参加を決めた。その日は水曜日で、10日間のプログラムは、その週の金曜日から、翌週の日曜日まで行われるものだった。

 電話が終わると、母親は夕食の支度を始め、しばらくすると、陽葵、父親の3人での夕食となった。夕食の間、父親は何も言わず、テレビを見ていたが、食べ終わると、

「陽葵、もう一度、話をしよう。食べ終わったら部屋に来てよ」

 と言って、自分の部屋に戻って行った。

 その後、陽葵が父親の部屋を訪れると、

「陽葵、お父さんは、陽葵が行くというなら反対はしないよ。それより、今日は浜井先生に会ったんだろ?浜井先生に会って、何か心の整理ができたのかい?」

 父親の反応を気にしていた陽葵は、父親のいつも通りの優しい雰囲気に少し安心をして、話し出した。

「今日は、超能力者の葵さんの描いた絵を見たの。その絵と、浜井先生の頭の上の髭のおじさんの絵が似てて、すごかったの」

 陽菜の言葉に、父親は少し考える様子を見せた後、何かを思いついたように話し出した。

「それって、柴原葵さんが、確か何かのテレビ番組で、浜井先生を鑑定して描いた、フロイトの絵じゃないかな。当時はかなり話題になったよ。去年、いや、一昨年だったか、僕もその番組を見てて、驚いたのを記憶している」

「陽葵もビックリした」

 陽葵が笑顔を見せ、父親も笑ったが、その時、父親は再び、何かを思いついたように、目を見開いた。。

「いや、ちょっと待った。ひょっとして陽葵、柴原葵さんが見たのと同じような顔を見たって、言ったよね。それは、どういうことなんだろう?陽葵、フロイトって知ってる?」

「知らない。聞いたのは、今日が初めてかな」

 陽葵の返事に父親は頭を抱えた。

「うううん、いやいやいや、それって、すごいことじゃないか。柴原葵さんが鑑定したのは、浜井先生の守護霊だったはず。すると、陽葵が見ているのも、守護霊?・・・」

「プログラムに参加すると、ひょっとしたら、葵さんに会えるかもしれないの。会えたら、いいな」

 陽葵がそう言うと、父親はすぐに考えるのをやめ、ニヤリと笑い、言った。

「そうか、陽葵が急にプログラムに参加すると決めたのは、そういうことか。確かに、今は、足利信満教祖と柴原夫妻は、蜜月関係にあるみたいだからな」

 ここで父親は、改めて、陽葵を見つめて言った。

「もう一度、言うが、陽葵は陽葵の能力を治す必要はない。陽葵は、陽葵の大好きなことを探して、それを楽しんで生きればいいんだ。柴原葵さんに会いたいって夢だって、ずっと持っていればいい。夢を持っていれば、例え、今度の10日間に会えなかったとしても、いつか必ず会えるさ」

 父親はそこまで言うと、少し間を置いて、次の言葉を陽葵に言い聞かせるように告げた。

「ただ、一つだけ。この前、陽葵が会った、高道官氏には、高直師という息子がいる。この高一派には、あまり近づかない方がいい。いい噂を聞かないんだ。まあ、いくら何でも、小学生に何かをするとは思えないが。守護霊の件も、言わない方がいい」

 それを聞いて、陽葵が少し不安気な表情を浮かべると、

「とにかく、教団の教えは悪いものではないが、それをうのみにするんじゃなく、宗教の教義を通して、陽葵が心を癒し、成長してくれることを、お父さんは願っているよ」

 と言って、父親は笑顔を見せた。

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