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脚本 転校生は未来人(仮)  作者: 日尾昌之
3/3

大きな木の下で

映画またはドラマの脚本です。

ここでの登場人物


吉村和夫  ツッパリの中学3年生 

      母(幸子)が離婚したのをきっかけに

      吹田市に引っ越して来た


結月ゆづき  謎の転校生


藤波先生  和夫の担任教師 体育会系 30代


生徒A   男子 和夫と対立しているツッパリ


生徒B   男子 和夫と対立しているツッパリ


生徒C   女子 学級委員長



〇 教室 次の日の朝

   授業の前 生徒達 思い思いに

   万博の話をしている

  生徒A「月の石って 何ちゅーこと 

      なかったな」

  生徒B「そやな あんなん 山田川にも 

      落ちてるわ おい 持って来た

      か?」

   生徒A うなずく

   と 和夫 入って来る

  生徒A「(和夫を見て 生徒Bに)ずる

      休み男が来よった・・・」

  生徒B「(和夫に)吉村君! ちゃんと 

      自習しましたか?」

  生徒A「そら 優等生の吉村君やもん 

      大人しく 自習してましたよ

      ね?」

   和夫 無視して 机に着く

   生徒A 和夫の横に立って

  生徒A「はい お土産!」

   と 生徒A 和夫の机の上に 泥だ

     らけの小さな石をバラバラと落

     とす

   和夫 生徒Aを睨む

  生徒A「月の石・・・」

   周りの生徒達 クスクス笑う

   和夫 立って生徒A 生徒Bと睨み

   合う

  生徒A「なんや やるんか!」

   と 藤波が入って来る

  生徒C「起立!」

   生徒A 生徒B 慌てて自分の席に

   帰る

  生徒C「礼!」

   生徒達 お辞儀をする

  藤波 「おはよう!」

  生徒達「おはようございます!」

  生徒C「着席!」

   生徒達 椅子に座る

  藤波 「では 昨日の感想文を書く

      プリントを配るぞ」

   藤波 席の先頭の生徒達にプリントを渡す

   生徒達 プリントを後ろの席に渡して行く

  藤波 「何でもええから 昨日 見て 思った

      事を書きなさい 木曜日に 回収しま

      す」

  生徒A「(生徒Bに)月の石は 普通の石でし

      たって書いてええんかな?」

  生徒B「ええんとちゃうか? 思った事やし」

  生徒A「で お前 何て書くんや?」

  生徒B「俺は・・・コンパニオンのお姉さんが

      ボインでしたって・・・」

   生徒C 生徒A 生徒Bを睨む

   和夫 プリントを受け取る

  藤波 「では 教科書の39ページを

      開いて・・・」

   和夫 不思議そうな顔で藤波を見る

   ×   ×

   授業をしている

   和夫 教科書を立てて寝ている

   と チャイムが鳴る


〇 廊下

   藤波 歩いている

   と 和夫が後ろから

  和夫 「センセ!」

   藤波 振り返って

  藤波 「おお 吉村 何や?」

  和夫 「僕 このプリントに書くことありま

      せんし」

   和夫 藤波に プリントを差し出す

  藤波 「そやったな でも ここは 日本じゅう 

      いや 世界が注目してる万博が開催され

      てる地元なんやから 万博に対して 

      思う事を 書きなさい」

   と 藤波 プリントを差し返して行こうとする

  和夫 「あ はい・・・センセ それから・・・」

   藤波 振り返って

  藤波 「何や?」

  和夫 「いや・・・なんでも ありません・・・」

  藤波 「昨日 お前が 社会見学に行かへんかっ

     た ほんま理由 俺は わかってつもりや

     から」

  和夫 「・・・」

  藤波 「俺も 親の仕事で よう 転校生させ

      られて そのたんびに 新しい友達 

      作るのに 苦労したんや あいつらも

      お前のことが 気になるさかい 

      ちょっかい出してるんやぞ」

  和夫 「・・・」

  藤波 「俺に相談したいことが あったら 

      遠慮せんと何でも言えよ お前 

      一人っ子やから 俺の事 兄貴やと 

      思ってくれてええからな」

  和夫 「あっ はい・・・」

   藤波 歩き出して 振り返って

  藤波 「それから・・・」

  和夫 「えっ?」

  藤波 「お前 ちょっと イレブンPMの

      見過ぎとちゃうか?」

  和夫 「はあ・・・」

   と 和夫 頭を掻く


〇 千里南公園の池の傍の遊歩道 夕方

   和夫 ぶらぶらと歩いて来て ふと前方に

      目を凝らす

   結月 大きな木の下のベンチに座って

      本を読んでいる

   和夫 気づかれないように 結月の後ろを

      歩いて 結月の横顔を見る

  和夫 「き 君?」

  結月 「(びっくりして和夫を見て)あっ!」 

   和夫 結月の横に立って 

  和夫 「何で 今日 学校 けえへんかっ

      たん? 君 こそ 初日から 

      ずる休みか?」

  結月 「いろいろあんねん・・・ 

      すわったら?」

  和夫 「ど どこに?」

  結月 「(ベンチを叩いて)ここやん! 

      それとも地べたに座る?」

  和夫 「い いや・・・」

  結月 「ほら!」

  和夫 「う うん・・・」

   と 和夫 ベンチの端に座る

  結月 「端っこ 好き?」

  和夫 「うん・・・」

   暫く沈黙

  和夫 「(結月のひざの上の本を見て)

      それ 何の本?」

  結月 「あーあ 村上春樹」

  和夫 「えっ?」

  結月 「あっ そうか!」

  和夫 「そうかって?」

   結月 微笑んで 暫く沈黙

  和夫 「家 この近く?」

  結月 「まあ・・・」

  和夫 「どこから 転校して来たん?」

  結月 「遠いとこ」

  和夫 「お父さんの転勤か 何んかで?」

  結月 「まあ・・・君は どこから?」

  和夫 「な 何で 俺が 転校生やって 

      知ってるん?」

  結月 「(微笑んで)なあなあ 昨日 

      ゆうてた アメリカ嫌いって何で? 

      じぁあ ハンバーガーも ホット

      ドッグも コーラも 嫌いなん?」

  和夫 「それは 好きやけど・・・」

  結月 「そやったら 何で嫌いなん?」

  和夫 「戦争してるからや・・・」

  結月 「戦争?」

  和夫 「うん ベトナム戦争・・・ナパーム弾 

      枯葉剤・・・ 歴史は繰り返すってよ

      う ゆうたもんや」

  結月 「繰り返すって?」

  和夫 「だって アメリカは 広島 長崎に原爆 

      落としたし この大阪にも 爆弾落とし

      て焼け野原にしたんやで 俺のおばあち

      ゃんも空襲で死んでしもたんや あれか

      ら まだ 25年し立ってないのに 

      また 同じことしてる そう 思わへん

      か?」

  結月 「それで そのアメリカが参加してる万博も

      嫌いなんや?」

  和夫 「アメリカだけと違う この 日本もや」

  結月 「ニッポンも 嫌いなん?」

  和夫 「我慢して 勉強せんとあかんからな」

  結月 「何 それ?」

  和夫 「明日 学校 来る?」

  結月 「さぁー」

  和夫 「さぁーって?」

  結月 「(微笑んで 立って)はな!」

  和夫 「う うん・・」

   結月 歩いて行く

   和夫 立って 結月の後ろ姿を見て 

      首を傾げる


   つづく






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