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脚本 転校生は未来人(仮)  作者: 日尾昌之
2/3

1970年 初夏 謎の転校生現る

映画またはドラマの脚本です。

ここでの登場人物


吉村和夫  ツッパリの中学3年生 

      母(幸子)が離婚したのをきっかけに

      吹田市に引っ越して来た


吉村幸子 40代前半 和夫の母親 

     離婚して吹田市に引っ越し来た 

     昼はスーパーで 夜はスナックで

     働いている


結月ゆづき 謎の転校生



〇 吉村家の台所 

   1970年 和夫の社会見学の日の朝

   三波春夫の「世界の国からこんにちは」が

   居間のテレビから流れている

   フライパンの上の目玉焼きが「じゅー」と

   音を立てている

   幸子(和夫の母)がフライパンで目玉焼きを

   作っている

   テロップ 1970年 初夏 大阪府吹田市

  博美(N)「この頃の日本は高度成長期の

        真っただ中 日本の人口は 

        太平洋戦争が終わった194

        6年の7575万人から1億

        372万人までに膨れ上がっ

        ていました それまでお金持ち

        しか持つ事が出来なかった 

        車や昭和の三種の神器と言われ

        た テレビ 冷蔵庫 洗濯機が

        一般の家庭にまで普及して一億

        総中流と呼ばれたエネルギーに

        満ち溢れた時代でした 私達が

        暮らしていた ここ大阪府吹田

        市もアジアで初となる万国博覧

        会が開催されて街がまるで夏の

        太陽の様にメラメラと燃えてい

        ました」


〇 洗面所 

   鏡に映った和夫 美空ひばりの「真っ赤な太陽」

   を歌いながらクシでヘアスタイルを整えている

  和夫 「♪真っ赤に燃えた~太陽だから~真夏の

      うーみは~恋の季節なの~」

  幸子(声)「和夫! ご飯 でけたでぇー」


〇 台所

   幸子 テーブルの上に食器を並べている

   と 壁に掛かった 鳩時計が時を知らせる

   「クックー クックー」

   和夫(白いランニングシャツと短パン)

   洗面所から来て

  和夫 「俺 今日 行かへんし」

  幸子 「行かへんって 何でや!(居間のテレビを

      見て)せっかく 近所で 万博やってるん

      やから 行かな損やで!」

  和夫 「万博 万博って みんな 浮かれすぎや

      何が 世界の国からこんにちはや!」

   と 和夫 座る

  幸子 「一人で 何 怒ってんの?」

   と 幸子も座る

  和夫 「アメリカは ベトナムで戦争してるんやで

      そんな時に ようするなって ゆうこと」

  幸子 「(ご飯を食べながら)まあ・・・

     そやけど・・・ じぁあ 行かんら 参加

     費 返してな!」

   和夫 無言でご飯をかきこむ 

  幸子 「まさか 参加費 何かに使こうたんと 

ちゃうやろな!」

  和夫 「使こてへんよ!」

  幸子 「そやったら 返して!」

   和夫 無言でご飯をかきこむ 

  幸子 「もう そろそろ みんなと仲良ーせんと・・

      それに 来年 受験なんやし 学校の

      行事に参加せえへんかったら 内申点に

      響くかもしれへんで」

  和夫 「俺 高校も 行かんから・・・」

  幸子 「アホ! 何ゆうてんの! 今どき 高校

      出てんかったら ええとこ就職でけへん

      で!」

  和夫 「高校 入って何するんや?」

  幸子 「何 するって そんなん決まってるやん 

      お勉強!」

  和夫 「俺 勉強 嫌いやし!」

  幸子 「勉強 嫌いな高校生なんか 山ほどいま

     す! それでも みんな我慢して高校 

     行ってるんやで」

  和夫 「(テレビを見ながら ご飯を食べて)

      高校って 我慢してまで 行くとこか

      なぁー」

  幸子 「人間 我慢する事 覚えなあかん!」

  和夫 「とにかく 俺は みんなと同じ事するんが 

      いやなんや 今日 行かへんし!ごちそう

      さん!」

   と 和夫 居間に行って 制服に着替える

  幸子 「(居間に向かって)そやったら 今日 

      あんた 学校で 何するの?」

  和夫 「(着替えながら)教室で 自習・・・」

  幸子 「あんたが 大人しゅー 自習するとは 

      おもえへんけど・・・」

   と 壁に掛かった 鳩時計が時を知らせる

   「クックー クックー」

  幸子 「(鳩時計を見て)もう こんな時間! 

      そんな行きとなかったら 行かんで

      ええけど 参加費 返してや!」

   和夫 台所に来て

  和夫 「い いや・・・それは・・・ やっぱり 

      俺 行くわ せ せっかく 近所で万博

      やってるんやもんな 行かな損や! 

      それに 内申点にも ひびくもんな 

      俺 行くわ! ごちそうさん!」

   幸子 食器をお盆に乗せながら 微笑む


〇 和夫が住んでいる団地の道路

   和夫 ぶらぶらと歩いている

   遠くから 雷がゴロゴロと雷が鳴る


〇 商店街

   和夫 ぶらぶらと歩いている

   遠くから 雷がゴロゴロと雷が鳴る

   

〇 中学校の校門

   和夫 やって来る

   遠くから 雷がゴロゴロと雷が鳴る

   和夫 空を見上げる

   青空 

   

〇 教室の前の廊下

   和夫 やって来る

   と 雷が落ちる

  「ドーカーン!」

   和夫 驚いてしゃがみ込んで

   暫くして立って

  和夫 「び びっくりしたぁー」


〇 教室 

   和夫 ドアを開けて 恐る恐る入って来て

      誰もいないのを確認して微笑んで 

      椅子に 座って カバンからマンガ

      雑誌を出して 前の机に両足を投げ

      出して読み出す

  結月(声)「それ マガジン ジャンプ 

        チャンピオン キング それとも 

        サンデー?」

   和夫 驚いて振り返って

  和夫 「えっ?」

   結月 後ろの席に座っている

  結月 「(手を挙げ 微笑んで)やあ!」

  和夫 「だ 誰?」

  結月 「私?」

   和夫 うなずく

  結月 「私は・・・ 転校生?」

  和夫 「俺に 聞かれても・・・」

   結月 微笑む

  和夫 「転校生って そんなん 聞いて

      へんけど・・・」

  結月 「今日 突然 決まってん!」

  和夫 「えっ?」

   結月 微笑む

  和夫 「変なの!」

   結月 微笑む

  和夫 「(マンガ雑誌をひろげて)

      で この組なん?」

  結月 「うん!」

  和夫 「でも 今日は みんな 万博に

      社会見学に行ってて 先生も

      いいひんで」

  結月 「それは知ってる」

  和夫 「そやったら 何で 来たん?」

  結月 「し 下見?」

  和夫 「いやいや それも 俺に 聞かれ

      ても・・・」

  結月 「でも 何で 君は ここにおるん?

      みんなと 社会見学 行かへん

      かったん?」

  和夫 「そんなん 君に 関係ないやろ?」

   結月 和夫の隣の席に座って

  結月 「ずる休み? なあなあ そやろ? 

      ずる休みやろ?(と 和夫に迫る)」

  和夫 「(顔を背けて)ち 違うよ!」

  結月 「そやったら 何で 万博 行かへん

      かったん? なあなあ 万博 

      行きとないん?」

  和夫 「(マンガ雑誌を読みながら)そんな訳や

      ないけど・・・ ちょっと・・・」

  結月 「ちょっとって 何? なあなあ? 何?

      まさか 友達 おらんとか?」

   和夫 無言でマンガ雑誌を読む

  結月 「人間洗濯機で 洗濯して欲しないん?」

  和夫 「(マンガ雑誌を読みながら)俺 風呂 

      嫌いやし」

  結月 「あれ お風呂 嫌いな人に ぴったりの

      機械やと思うけど・・・ 動く歩道にも 

      乗りとないん?」

  和夫 「(マンガ雑誌を読みながら)俺 歩くんは 

      好きやし 人間 歩くん止めたら身体が

      退化して 人類滅亡や」

  結月 「人類滅亡って ちょっと それは 大げさ

      やと思うけど・・・ それと あれも 

      見とないん?」

  和夫 「(マンガ雑誌を読みながら)あれって?」

  結月 「月の石・・・」

  和夫 「(マンガ雑誌を読みながら)月の石・・・」

  結月 「ほら アメリカのアポロが 月から 

      持って帰って来た石!」

  和夫 「(マンガ雑誌を読みながら)俺 アメリカ 

      嫌いやから・・・」

  結月 「アメリカ 嫌いって 何で? なあなあ 

      何でぇー?」

  和夫 「(マンガ雑誌を読みながら)そんなん 

      どうでも ええやろ?」

   と チャイムが鳴る

  和夫 「丁度 時間となりましたぁーっと」

   和夫 マンガ雑誌をカバンに入れてドアに

      行って 振り返って

  和夫 「ほな!」

   和夫 ドアを開けて出て行く


〇 教室の前

   ドアの前に立っている和夫 首を傾げって 

   ドアを開けると 教室には誰もいない


   

   つづく








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