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【短編版】婚約破棄された無表情令嬢が幸せになるまで〜勤務先の天然たらし騎士団長様がとろっとろに甘やかして溺愛してくるのですが!?〜

◇連載版に下のリンクから飛べますので、気に入っていただけた方や続きが気になる方はよろしくお願いいたします。

 

「セリス、君との婚約を破棄したい」



 そう言ってギルバートはアーチェスの肩をギュッと引き寄せた。

「ギルバート様……」と心の底から嬉しそうな声で凭れ掛かるアーチェスの頬はほんのりと色付いていて、柔らかなヘーゼルアイがどこか潤んでいるように見える。それはまるでメロドラマみたいな、相思相愛な二人だった。



 婚約者であるギルバートに婚約破棄を告げられたセリスは、大して驚かなかった。


 あれは四ヶ月ほど前だったか。


 ギルバートがシュトラール邸に来たときのことである。

 ギルバートが第二騎士団の下級騎士から上級騎士に昇級したとの報告があり、セリスはおめでとうと伝えたものだ。そのときはアーチェスも同席していた。


 しかしそれからしばらく、ギルバートはセリスに会いに来ても、業務報告を済ませるとすぐに去っていく。セリスは日々家事等で忙しかったし、ギルバートは昇級したので忙しいのだろうと大して気にしていなかったのだが、とある日。


 セリスは屋敷の庭を掃除しようと外に出ると、ギルバートと義妹のアーチェスが抱き合っているところを偶然見てしまったのである。

 つまるところ、いつからかは分からないが、ギルバートはセリスではなく、アーチェスに会いに来ていたのである。


 それからも業務連絡のみの会話。珍しく問われるのはアーチェスの行方ばかり。

 だから、いつかこんな(婚約破棄される)日が来るだろうとは思っていた。


 親同士が決めて婚約者になったセリスとギルバートの間には燃え上がるような愛はなかったが、確かにそこには絆があると思っていたのに。そう思っていたのはセリスだけだったようだ。


「かしこまりました。婚約破棄は謹んでお受けいたします。理由を教えていただけますか?」

「見て分からないのか?」


 もちろん理由はセリスではなくアーチェスと婚約したいからだろう。

 セリスの義妹のアーチェスは見た目が美しく、表情がコロコロ変わって可愛らしい。義母と違ってセリスに対して優しいアーチェスに、ギルバートが心惹かれるのも仕方がないとセリスはそう思った。


 しかし理由を聞かないわけにはいかなかった。理由もはっきりさせないことには、何かの拍子に婚約破棄をしたのはセリスから、なんて言われかねないからである。

 そうなったら自分の立場を脅かすものとなる。父が他界して義母が当主となった日から、シュトラール伯爵家でセリスを庇ってくれる力のあるものは居ないので、自衛する他なかった。


 セリスがアイスブルーの瞳で寄り添う二人をじっと見つめると、ギルバートはおもむろに口を開く。


「一つはセリス、お前じゃなくてアーチェスを婚約者にしたいからだ。もう一つはその目、お前のその目だよ」

「目……、ですか?」


 一つ目の理由はまさしくといったものだったので、セリスはうんうんと頷いたのだが。

 まさか二つ目に自分の目を理由に出されるなんて夢にも思わなかったセリスは、瞬きを繰り返す。


 ギルバートはギロリとセリスを睨みつけた。


「その冷たい目。喜怒哀楽が何も感じられない機械みたいな瞳が、俺には受け入れられない」

「ギルバート様、何もそこまで……」

「これくらい大丈夫さアーチェス。セリスは冷たい女だからこんなことで傷付きはしないよ」


 陶器のような滑らかな白い肌にまるでサファイアが埋め込まれたようなアイスブルーの瞳。

 セリスのそれは大変美しかったが、彼女は感情表現が乏しかったので、それは冷たく映った。


 実母譲りの瞳に誇りを持っていたセリスは、まさか婚約者だったギルバートにそんなふうに思われているとは思わず、婚約破棄よりもそのほうが悲しかった。


「そう……でしたか。教えていただきありがとうございます」

「お前にもう少し愛嬌でもあればな。見た目は悪くないのに、目は冷たいし表情の変化は分かりづらいし甘えてもこない。本当は下級騎士だった俺のことを馬鹿にしてたんじゃないのか?」

「そんなことは──」

「まあ良い。もう一つお前に言わなければならないことがある」  


 セリスの声を遮ったギルバートは、ふんっと鼻を鳴らした。


 理由は聞けたので早くこの場から去りたいとセリスは思っていたが、ギルバートの言葉を渋々待った。



「近々このお屋敷から出ていってくれないか?」

「え──」


 ここで僅かに、セリスの眉毛がぴくりと動いた。


「上級騎士になった俺はなかなかに多忙でな。それにアーチェスとも仲を深めたい。それで俺はこれからこの屋敷で世話になることになった。結婚したら伯爵も継ぐし問題ないだろう? だがほら、お前がいると体裁がなあ」

「…………そう。分かりました。準備が出来次第出て行きますからお待ち下さい」


 つまりはこういうことだ。前の婚約者と同じ屋敷に住んでいるとなると、周りにどんな噂を広められるか分かったものではないから出ていけ、ということである。


 セリスとギルバートの婚約は対外的に大きく広まったものではなかったが、領民の一部は知っているため、事前に策を講じようと思ったのだろう。


 詳しいものから見れば、アーチェスはセリスの婚約者を誑かした女として見られるし、詳しくないものからすればセリスが元婚約者を諦められずに屋敷に居座っていると取るものもいるだろう。どちらにせよ、セリスが望むところではなかった。


 すんなりと頷いたセリスに、ギルバートはにんまりと弧を描いてから口を開いた。


「それでセリス、出ていくなら良い話があるんだが──」 


「良い話?」


 自分勝手な理由で婚約破棄を申し出たというのに、今更何を言い出すのだろう。

 セリスはギルバートに対して訝しげな眼差しを向ける。


「ずっとこの屋敷で暮らしてきたお前にはツテがないだろう? だから働き場所くらいは紹介してやろうと思ってな。せめてもの償いだ」

「お義姉様本当にごめんなさい……っ」


 ポタ、と落ちたのはアーチェスの涙だった。


 おそらくアーチェスはギルバートを奪うと、セリスが家を追い出される可能性を考えていなかったのだろう。セリスはそんなアーチェスを責める気にはなれなかった。

 むしろほんの少しアーチェスが羨ましかったのだ。それほど後先考えずに誰かを好きになったことが、セリスはなかったから。


 涙するアーチェスを慰めるのはギルバートの役目だろうと、セリスはアーチェスになんの言葉も掛けることなくギルバートに向き直った。


「それで、どちらの職場を紹介していただけるんですか?」


 ギルバートの言うように、セリスはここ数年シュトラール家で使用人と同じ扱いを受けてきたので、外にツテがなかった。

 使用人としてどこかの屋敷に雇ってもらえる可能性はあるが、すぐに正式採用されるかどうかは定かではないため、ギルバートの提案は有り難かった。もしも娼館を勧められでもしたら断るつもりだったが。


「ここから少し遠くなるが、西の森の前に位置している第四騎士団の寄宿舎の下働きだ」

「第四騎士団?」

「通称騎士団の墓場だ」


 セリスは聞き覚えがあるわね、と頭の隅にある情報を引っ張り出していると、得意げにギルバートは話し始める。


「まず給金はそれなりで住み込みで働ける。……が、平民と下級貴族の集まりで品がないんだよ。他の騎士団の素行の悪い奴らの集まりだしな。それに激務らしくて下働きの募集をかけても誰も来ないんだとか。それと、何が一番問題かって騎士団長が『冷酷残忍』だって有名らしいぞ。過去には下働きにさえ刃を向けたらしい」

「なるほど」


 さらっとそう答えたセリスは、以前使用人の一人が話していた第四騎士団について思い出していた。


 第四騎士団とは、ギルバートの言うとおり第一、第二、第三騎士団を追い出されたものが行く最後の砦らしいのである。


 通称『騎士団の墓場』──セリスにも聞き覚えがあった。


 騎士同士で暴力沙汰を起こしたものや、上司の命令に従わず単独行動に走るもの、民間人が危険にさらされているのに逃げ出したもの。その他諸々。

 確かにこれが本当ならば褒められた人たちではないのだろう。

 騎士団長の噂も本当ならば、命に関わる可能性もあるのだが。


 セリスはそっと目を細める。悩んでいるのか手を口元に持っていき、数秒黙り込むとぽつりと呟いた。


「分かりました」

「は? お前話聞いていたのか?」

「はい。是非とも宜しくお願いいたします。あちらが受け入れてくださるのでしたら直ぐに向かいます」



 ◆◆◆



 数日後。早朝にセリスの部屋に入ってきたのはアーチェスだった。


「お義姉様、その、これを……」


 そう言ってアーチェスから手渡された手紙はギルバートからのものだった。

 ナイフで切って中身を取り出すと、内容は第四騎士団がセリスの雇用を決定したというもの。それともう一つは一日でも早く出ていってくれ、というものだ。


(ここは私の家なのだけれど)


 ギルバートの余計な一文に多少モヤッとしたセリスだったが、もう既に荷造りの準備は終えていたし、世話になった使用人たちには挨拶を済ませてある。

 新しい職場が迎え入れてくれるのならば、セリスはすぐにでも出立出来るのだが。


 セリスが手紙をしまうと、アーチェスもギルバートから内容は聞き及んでいるらしく、眉尻を下げて瞳を潤ませた。


「ごめんなさい……っ、私口ばっかりで何も出来なくて……。お母様がお義姉様に使用人のお仕事をさせるといったときも、反対したけれど力になれなくて……私もお手伝いしようにもドジばっかりで迷惑をかけちゃうし……」

「アーチェス……」

「ギルバート様のことはお義姉様の婚約者だって分かっているのにいつの間にか好きになってしまって……まさか受け入れてもらえるとは思わなくて……私……こんなふうに、なるだなんて……っ、ごめんなさい……」


 再三だが、セリスは馬車の用意さえあればすぐにでも出立出来る。

 しかし鼻の先まで真っ赤になるくらいに泣いて謝るアーチェスを、ここまま放って置くなんてできなかった。


 セリスがこの屋敷で最後にアーチェスにしてあげられること。

 ──それは、目の前にいる義妹の罪悪感を、少し軽くしてあげられるくらいだろうか。


「ねぇ、アーチェス。ギルバート様と婚約者になれて幸せ?」

「そっ、それは」


 赤い顔が一転してさあーっと顔が真っ青になるアーチェスに、セリスは慌てて言葉を付け加える。完全に勘違いされているからだ。


「ごめんね。責めているわけじゃないの。というか、私とギルバート様は婚約者ではあったけれど愛し合っているわけじゃなかったから、本当にそこのところは気にしなくて良いの。メイド仕事も嫌いじゃなかったし、多少でも家の役に立てたのなら構わないの。これは本当に本当。ね?」


 もちろん突然の婚約破棄に何も思わなかったわけではないが、アーチェスは魅力的な女性で、ギルバートはそんなアーチェスを選んだ。それだけのことだ。


 派手な社交界にも興味はなかったし、別にアーチェスや義母だけが豪遊しているわけでもなかった。

 令嬢としての教育は、父が生きているときにそれなりに済ませてあったし、ここ数年の生活をセリスは本当に大して気にしていないのだ。


「血は繋がっていないけれど、今まで本当の姉のように慕ってくれて、優しくしてくれてありがとう。アーチェス、幸せにね」

「おね、えさま……ごめんなさい……っ、それと、ありがとう……!」


 ぱあっと花が咲くように笑うアーチェスに、セリスはホッと胸を撫で下ろす。


 最低限の荷物を詰めた鞄を持って自室をあとにした。


 そしてすぐさま向かうのは、伯爵家の長女であるセリスに使用人の働きを指示した義母のもとだ。



 義母とアーチェスがシュトラール家にやってきたのは八年前、セリスが十歳のときだった。

 セリスが五歳のときに母が病気で亡くなり、父が後妻を迎え入れたのである。


 義母も早いうちに夫を病気で亡くしており、アーチェスというセリスと歳の近い娘がいるということで共通の話題が生まれ、二人は割とすぐに結婚したらしい。


『セリスに新しいお義母さんと義妹が出来るんだよ。楽しみだろう?』と嬉しそうに言っていた父の顔をセリスはよく覚えている。


 セリスといえば実母が忘れられてしまうようで悲しかったが、新たな家族を迎え入れることを父が幸せそうにしているので、反対することはなかった。



 しかし実際再婚してみると。


 仕事で夫が屋敷を留守にするたびに、義母はセリスを睨みつけた。

 別に暴言をはかれたり、手を出されるなんてことはなかったが、アーチェスに向ける目とセリスに向ける目が全く違うのである。眉間にシワを寄せてじっと見てくるのだ。

 父が帰宅するとその目が少し和らぐので、義母はセリスに対して意識的にそういう目を向けることに自覚はあったのだろう。


 セリスは齢十歳にして、夫の連れ子より実の娘のほうがそりゃあ可愛いだろうと思っていたので、それほど気にしなかった。

 まあ多少寂しい思いはしたし、アーチェスと同じように可愛がってくれたらそれに越したことはなかったけれど、セリスはもう十歳で勉強が忙しかったし、アーチェスが本当の妹のように接してくれたので、それほど悩ましいものではなかった。


 しかしセリスが十六歳のとき、父が事故により急死してから生活はガラリと変わった。

 セリスは急に使用人として生活するよう、義母に指示されたのである。



「お義母様、挨拶に参りました」


 ──コンコン、とノックをすると返事があったので部屋に入ったセリス。

 義母は伯爵家の事業に関する資料とにらめっこしていたが、セリスに一瞥をくれると手を止めた。


「今から出ていくの?」

「はい。ですからご挨拶にと思ったのですが、お忙しそうですね」


 父が亡くなってからシュトラール家の当主を引き継ぐことになった義母は日々仕事に追われていた。

 貴族とはいえ伯爵家では金が湧いて出てくるほどの余裕はなかったので、文官をなかなか雇えなかったのだ。

 優秀な文官一人を雇うのに、使用人を五人雇えるくらいの給金が必要なのである。


「ええ。見てのとおりよ」

「では手短に。アーチェスの婚約、誠におめでとうございます。今後ギルバート様を婿に迎えられ、より一層シュトラール家が繁栄することを心より祈っております」

「…………」


 普段のお仕着せではなく、実母の形見である何着かあるうちの一枚のワンピースに袖を通したセリスは、最後は淑女としてカーテシーを見せる。


 ──カン。義母はゆっくりと筆をテーブルへと置く。昔からよく見せる眉間に皺を寄せてじっと食い入るような瞳が、セリスを射抜いた。


()()第四騎士団に行くんでしょう? ──どんなところか、ちゃんと分かっているの」


 まるで頭がおかしいと言いたげな顔だ。

 こうなったのはギルバートが婚約破棄をしてアーチェスを新たな婚約者に据えたから。つまりそれを許した義母にも事の一端の原因はあるのだが。


 セリスは表情を変えることなく、じいっと義母の目を見つめた。


「亡くなった母から『自分の目で見たものを信じなさい』と口酸っぱく言われましたので、実際に見てみないと何とも。案外気の良い人たちかもしれませんし」

「…………」 

「これも何かの縁です。第四騎士団で自分なりに頑張るつもりです。……と、もうそろそろ行きますね。お義母様、どうか息災で」



 ドアノブに手をかけたとき、セリスは最後に振り返ると軽く頭を下げる。


「では、失礼いたします」



 ◆◆◆



 同時刻。

 第四騎士団の寄宿舎内にある談話室では、セリスの話で持ちきりだった。

 若い女性が来るということだけでテンションが上がっている団員たちに、副団長のウィリムは筋肉隆々の腕を、ドォン!! とテーブルに振り下ろす。


「お前ら油を売ってないで、さっさと朝の訓練を始めんかぁ!!」

「「ヒッ、ヒィ……!! イエッサー!!」」


 ウィリムの怒号に一目散に散っていく団員たち。

 その波に逆らうように現れたジェドはウィリムが怒ったのだろうと予想がついたのか、やれやれと苦笑を見せた。


 ジェドはいち早く自主的に朝の訓練を済ませたので、額には汗をかいている。

 それを首にかけたタオルで拭うと、ジェドは凹んだテーブルに一瞥をくれてから「やりすぎだ」と声をかけた。


「テーブル。もうそろそろ壊れるぞ」

「むっ!!」

「む、じゃねぇよ。壊れたらウィリムの給料から引くからな」

「むっ!! そ、それは……」

「だから、む、じゃねぇっての」


 ウィリムの反応に「はははっ」とおかしそうに笑うジェド。

 何に対して怒っていたのかを尋ねれば、今日の夜にでも到着する新しい仲間についてどんなふうに出迎えたら喜んでくれるか、という議論に花を咲かせており、そのせいで朝の訓練に遅れそうだったからだという。


「可愛い話じゃないか。で、お前は行かなくて良いのか。今日の指南役はウィリムの担当だろ」

「もちろんだ。すぐに行く。……して、ジェド、新しく入る彼女のことだが、推薦してきた第二騎士団の男からあまり良くない噂を聞いてな」

「ん?」


 伯爵家の娘が急に第四騎士団で働くことになるなんて普通ならば有り得ない。平民でさえ第四騎士団で働くのは遠慮するくらいなのだ。

 なにか事情があるのだろうとは思っていたジェドだったが、物事をはっきり言うウィリムにしては口籠っていることに驚いた。


「お前が言いづらそうにするとは。何だ? 犯罪歴でもあるのか?」

「いや、そのだな。身分や家柄で人を判断するような女性らしくてな」


 つまり、それが本当ならば第四騎士団の面々が嫌な思いをするかもしれないと。第四騎士団は基本的に下級騎士の集まりで、平民の出が多いのである。


 ジェドはシャツの胸元をパタパタ動かして暑さを凌ぐと、おもむろに口を開いた。


「まあ、今はなんとも」

「む?」

「それはその子じゃなくて第二騎士団の奴の話だろ。俺は自分が見たものしか信じない質でな。……で、その子の名前は?」

「セリス。セリス・シュトラールだ」


 ウィリムはそう言うと、気持ちが良いくらいにニカッと笑って訓練場へと足を運ぶ。


 ジェドはその後ろ姿を横目にしながら「どんな子かな……」と柔らな声で呟いた。



 ◆◆◆



 アーチェスと使用人たちに見送られ、馬車に揺られてから半日ほど経っただろうか。


 第四騎士団の基地の前で馬車から降りたセリスは、小さなカバンを一つ手に持って上を見上げた。

 月がきれいだ、なんて風情のあることを思う余裕がないくらいには、目の前の塀の高さに驚きが隠せない。


 騎士団を囲むようにそびえ立つ高い塀は、魔物の侵入を防ぐためのものなのだろうか。しかし翼がある魔物にはどうやって対処するのだろう。セリスはふとそんなことを思った。



「どこから入れば……」


 知らぬ土地に夜という環境。大きな正門はあるものの、押してもピクリともしない。

 入ることができない状況に、どうしたら良いかとセリスは途方に暮れていた。

 高い塀をよじ登るなんて出来るはずもなく、かと言って大声を出してみても返事はない。


「一度周ってみようかしら」


 一周すればどこかに裏口でもあるだろうと塀に沿って右回りに進む。

 初日に裏口から入るなんて無礼かもしれないが、どうやったって女一人の力で正門は開けられないのだから致し方ないだろう。いざとなれば謝罪すればいっか、くらいにセリスは考えていた。


「ん? あれは…………」


 するとセリスが歩き始めたときだったか。


 塀の近くで「キュッ」と鳴いているうさぎがセリスの視界に映った。


「もしかして……角うさぎ?」


 白い毛で覆われ、額から角が生えているうさぎの魔物──角うさぎ。セリスは魔物とは縁遠い内地で暮らしていたので、直接見たことはなかったが、およそ間違いはないだろう。


 シュトラール邸には亡き父が集めていた本が沢山あり、セリスは昔それを読み漁っていた。

 人よりも記憶力が良かったので、かなり前に読んだ魔物図鑑のことをしっかりと覚えていたのだ。


 その魔物図鑑では、角うさぎは単体で行動することはないと書いてあった。

 基本的に群れで行動しているときは手を出さない限り襲っては来ないが、稀に単体行動している場合は臆病な性格ゆえに襲いかかってくるため、直ぐに逃げるか建物内に避難するべし、と。


「キュッキューーー!!」

「……っ! まずいわ……っ」



 しかし状況を理解したときにはもう遅かった。


 角うさぎの子供はセリスを視界に捉えると、全力でこちらに駆けてくる。

 近くに逃げ込むところもなく、セリスが武器になるような物を持っているわけもない。持っていたとしても訓練をしたことがないセリスが扱えるはずもなく──。


「まっ、待って、来ないで……!」


 必要最低限の荷物と、今は亡き両親の写真が入った小さな鞄がボスっと地面に落ちる。

 同時に膝もカクンと力無く折れ、セリスは勢い良く膝を付いた。


「あ……あっ…………」

「キュッキュッキュッーーー!!!」


 幼なじみに婚約破棄をされ、その元婚約者は義妹を新たな婚約者とし、その上家まで出ていくよう言われ、最後には魔物に襲われて死にました、なんて笑い話にもならない。


 (──神様、私が何をしたと言うのでしょう)


 セリスは初めて目にする魔物に、そしてその魔物が襲いかかってくる恐怖に息が浅くなりながら、頭を抱えて縮こまるとギュッと目を瞑った。



 ────すると、次の瞬間だった。


「ギューーー!!!」


(なっ、何……!?)


 先程までとは違う、断末魔のような角うさぎの鳴き声と、ザッザッと近付いてくる音にセリスはそろりと目を開けて、顔を上げた。


 月明かりに照らされた光り輝くシルバーブロンドの髪。服の上からでも鍛えているのが分かるくらいのガッシリとした体付き。それなのに、身長が高いためかスラリとした立ち姿に見える。


 角うさぎを倒したときに刀についた体液を一度振って落としてから静かに鞘に収めた男は、ゆっくりと振り向いた。


「大丈夫か? 怪我はあるか?」

「あ…………はい」

「はい? 怪我してるのか?」

「あっ、い、いえ、大丈夫です」


 目を瞑っていたためその瞬間は見ていないが、角うさぎが倒れているところを見ると目の前の男が助けてくれたのだろう。

 セリスは急いで現状を理解しようとするのだが、とある疑問に行き着く。


(待って? この人どこから来たの……?)


 門は簡単に開かなかったはず……とそろりと顔ごと門の方向に向けたセリス。当たり前かのように開いている門に、セリスは目を大きく見開いた。

 なんと開き戸だと思っていた正門は、実は引き戸だったのである。


 扉を見て固まるセリスに、男は何かを察したのか、クツクツと喉を鳴らしながらセリスの目の前にしゃがみ込んだ。


「開き戸だと思ったら開かなくて、途方に暮れてたら魔物に襲われたってことで良いのか?」

「……そのとおりです……」

「ハハッ。初めては間違えるやつ多いから気にすんな。とまあ門の話は置いておいて、ほら、掴まりな」


 再び立ち上がった男は優しく微笑みながらずいと手を差し出してくれたので、セリスは有り難くその手に掴まろうとするのだが。


「あ、あら?」

「どうした? 腰が抜けたか?」

「……恥ずかしながらそのとおりです……」


 穴があったら入りたいとはこういうことを言うのだろう。

 扉の開け方を勘違いするわ、魔物に襲われかけるわ、腰を抜かすわ。シュトラール邸にいた頃は基本的に自分のことをしっかり者だと思っていたセリスは、度重なる自身の失態に顔から火が出そうだった。


 セリスはぺたっとしゃがみ込んだまま、申し訳無さそうに目の前の男を見上げた。

 そのとき、ようやくセリスは助けてくれた男の顔をしっかりと見ることになる。

 男性的な顔付きなのにどこか美しくもあり、唇の右下にある黒子はどこか色気を孕んでいて、端的に言うと凄い美形だ。


 セリスは生まれてこの方ここまでの美形と会ったことがなく、無意識にアイスブルーの瞳がじっと男を凝視すると。


「そこまで見られると流石に恥ずかしいな」

「……! 申し訳ありません。あまりにも人間離れしたご尊顔に目を奪われてしまいました」

「人間離れしたご尊顔」


「ははっ」と目をくしゃりとさせて笑う男に、セリスは瞬きを繰り返す。


「何かおかしなことでも?」

「いや、その表現は初めてだなと思ってな。悪い。バカにしたわけじゃねぇよ」


 男はそう言うと、立てそうにないセリスと顔を合わせるために再びしゃがみ込み、じっと見つめてくる。


 セリスはあまり感情が顔に出ないのでほぼ無表情だったが、内心は謎の美形が至近距離にいるものだから心臓はバクバクだった。セリスは幼少期からギルバートくらいしか同世代の男と関わりを持っていなかったので、異性に対する免疫がなかったのである。


 男はセリスの頰を凝視すると、おもむろに口を開いた。


「もしかして照れてるのか?」

「……!」

「可愛い奴だな、お前」


 セリスは昔からあまり感情が顔に出ない。

 実の両親は簡単に違いが分かるらしいが、義母やアーチェス、ギルバートや使用人たちからは、分かりづらいとよく言われた。

 だから初対面に照れていることを指摘され、あまつさえ可愛いなんて言われた経験はなかったのだった。


 セリスはすっと自身の顔を手で隠すと「失礼ですが」と前置きをする。完全なる照れ隠しなのだが、それを男が指摘することはなかった。


「確認ですが、第四騎士団の騎士様ですよね?」

「俺の名前はジェド。お前はセリスで合ってるか?」

「はい。セリス・シュトラールです。今日から第四騎士団の寄宿舎でお世話になりたく参ったのですが……」

「ああ、話は聞いてる。ここじゃ何だし、早速中に案内する」

「ありがとうございます。……ですが、その」


「まだ立てそうになく……」と弱々しく伝えるセリス。続くように、後から行くので先に戻っておいてください、と告げたのだが。


「いつまた魔物が出てくるか分からないのに置いて行けるか」

「けれど──って、えっ」

「よし、暴れんなよ。荷物はこれだけで良いのか?」


 ひょいっと宙に浮いたかと思えば、あれよとジェドの肩に担がれたセリス。

 空いている方の手で落ちている鞄を拾ったジェドは、そのまま「え? え?」と状況を理解出来ていないセリスを担いだまま正門をくぐるのだった。



 暴れたらジェドに負担がかかってしまうだろうと大人しくしていたセリスだったが、心臓は耳を塞ぎたくなるほどに音を立てていた。


 そんな中でジェドに連れられて入った第四騎士団の寄宿舎を、セリスは担がれた状態で見渡す。


「結構綺麗なのですね」

「ああ。セリスの他にも何人か家事を担ってくれる子がいてな。まあそのあたりは明日詳しく話すとして、とりあえず医務室行くか」

「え? どこかお怪我でも?」


 セリスのくるぶしまであるワンピースが担がれたことによりふくらはぎまで捲り上がっていることにジェドが気が付いたのは、入り口のガラス越しに見えてからだ。

 男所帯にはこれさえ危険だろうと思ったジェドは、セリスの質問に「おー」と適当に答えながら、人通りの少ない通路を選んで足を進め、医務室へと入った。


 清潔そうな白いベッドに丁寧に降ろされたセリスは、お礼を言うと、自らの心臓を落ち着かせようと深く呼吸する。

 ジェドの動きを観察すると、棚から消毒液のようなものを出していた。


「大丈夫ですか? どこか怪我をされたのでしたら私が手当を」

「何を言ってんだ。怪我をしてるのはセリス、お前だ。膝、よく見てみろ」

「膝…………?」


 はて? 何のことやら。

 思い当たらなかったセリスだったが、ジェドに言われて自身の膝辺りに視線を落とすと、ワンピースにはほんのりと血がついていた。


「あら、いつの間に……」

「座り込んだときに怪我したんだろ。手当してやるから待ってな。これくらいなら俺でもできるから」


 そう言ってジェドは手早く消毒液と手拭い、包帯を用意すると、桶の中に水を入れてからベッドサイドに座るセリスの前に片膝を突いた。


「悪いが捲くってもらって良いか? 化膿したら大変だろ」

「……お、お待ち下さい。一応これでも十八の女ですので流石に居た堪れず……自分で出来ますので、その、後ろを向いていてもらえると」

「……そりゃそうだな。小さい妹がいるからつい子供扱いした。悪いな」

「いえ! むしろ手当の準備をしていただきありがとうございます」


 くるりと、ジェドが後ろを向くのを確認すると、セリスはワンピースを捲くり上げた。

 準備された手拭いを水で湿らせて、丁寧に膝を拭いていく。


「あの……ジェド様? とお呼びしたらよろしいですか?」


 おそらく年上で間違いないだろうジェドにそう問いかけると、ジェドは「ははっ」と軽く笑った。


「ジェドで良いぞ。これから同じ職場の仲間なんだ。楽に呼んでくれ」

「……ではジェドさん。その、突然のことで言えてなかったのですが、助けていただいてありがとうございます」


 ジェドがいなかったらどうなっていただろうかと考えると、セリスはゾッとする思いだった。少なくとも膝の擦り傷程度では済まなかっただろう。


「気にするな。困っている人を助けるのが騎士団の役目だから当然のことだ」

「頭が下がります……。あ、そういえば、どうしてあの場に?」

「──あれだ、勘だ。俺は勘が鋭いから暴れてる魔物がいるかもなって思ったんだよ」

「なるほど……。常に魔物に相対していると第六感のようなものが備わったのでしょうね」

「…………そんなとこだ」


 若干ジェドの返答に間があったような気がしないでもないが、セリスが問うことはなかった。本人が勘だと言うならそれで良いのである。


 手当が終わったセリスは残った包帯や消毒液をベッドに置いたまま、ゆっくりと立ち上がった。 

 魔物に襲われかけてから多少時間が経ったことと、寄宿舎に入って安堵したことで、足腰に力が戻ったようだった。


「ジェドさん、手当終わりました」

「ああ。振り向いても良いか?」

「もちろんです」


 許可を得たのでジェドはゆっくりとした動きで振り返った。

 するとセリスは立ち上がりぴんと背筋を伸ばしている。


 そのままセリスはワンピースを指先で摘むと、深く頭を下げたのだった。


「改めてお礼申し上げます。危険なところを助けていただいてありがとうございました」

「……! 第四騎士団に伯爵令嬢のお嬢さんが何度も頭を下げなくても──」

「それは全く理由になりません。私はこの感謝の気持が伝わるまで何度だって頭を下げます。ジェドさん、ありがとうございます」


 より一層深く頭を下げたセリスが、そろりと顔を上げる。

 目は薄っすらと細められ、アイスブルーの瞳が柔らかな光を纏っているようだ。

 確かに満面の笑みではないけれど、分かりづらいかもしれないけれど、確かにセリスは微笑んでいる。


 ジェドはその表情に一瞬見惚れるが、ハッと我に返った。


「分かったよ。これで門の開け方は完璧だろ?」

「!? そ、それは……本当にお恥ずかしい限りです……二度と引き戸であることは忘れません。ええ、二度と……」


 そっと目線を明後日の方にやって頭を抱えるセリス。

 ──可愛い奴、と言いかけて口を閉ざしたジェドは「なあ」と小さな声で呟いた。



「セリスは第四騎士団がなんて呼ばれているか知っているか? それに騎士団長の噂も」


 ジェドの問いかけにセリスはギルバートに言われたこと、シュトラール邸で使用人が話していたことを思い出す。セリスは少し考える素振りを見せた。


「騎士団の墓場、ですよね。平民と下級貴族の集まりで、他の騎士団で問題を起こした人が送られる場所だとか、素行が悪いとか、噂は色々と……騎士団長様は冷酷残忍なお方だと耳にしました」

「セリスはそんな悪評高い第四騎士団と騎士団長の元でやっていけるか?」

「私は──」


 ジェドの質問に、セリスは間髪を容れずに答えて見せる。


 透き通ったアイスブルーの瞳を逸らすことなく、一切の迷いない声色で。



「騎士団に身分は関係ないと思います。その人自身の頑張りや、実力のほうがよっぽど大事ですわ。つまり皆さんが平民だろうと貴族だろうと、魔物から守ってくださってるのは事実ですもの。感謝しかありません。第四騎士団と騎士団長様の噂については何とも……私は自分の目で見たものしか信じないと決めているのです。それでいくとジェドさんを見る限り、噂は信じかねますね。ジェドさんみたいな人がいる職場が、噂にあるようなものだとは信じがたくて」



 セリスの言葉に、ジェドはやはりな……と誰にも聞こえないくらいの声でぽつりと呟いた。


 出会ってから今までの短時間でも、セリスが家柄や身分で人を判断するような女ではないと感じていたからだ。セリスのジェドへの態度が最たる要因である。


 色眼鏡で見るつもりはさらさらなかったが、ウィリムの言葉が頭に入っていたジェドは、セリスが噂通りの人物ではなかったことに心底ホッとした。


 ──しかし流石にセリスの発言の一部には驚かされた。


 自分の目で見たものしか信じないという信念が、ジェドと同じだったからである。


 ジェドは来てくれたのがセリスという事実に嬉しくなって、我慢していた右手を伸ばした。

 触り心地の良さそうなハニーブラウンの頭を優しく撫でると、セリスの身体はピクッと小さく反応するのだった。


「セリス、ありがとうな。これから宜しく頼む」

「はい。こちらこそ宜しくお願いいたします。ですがジェドさん……もう一度言いますがもう立派な十八歳でして」

「これは妹にしてる癖じゃねぇよ。可愛いなと思ったからしただけだ」

「!?」


(この人は天然たらしなの……!? それとも女性の扱いに慣れてるの……!?)


 とにかくどちらにしても問題だ。これから働いていく上で、こんなことを頻繁にされようものならば心臓が爆発してしまう。

 無駄にそんな自信があったので、この心境を懇切丁寧に説明するべきかセリスが悩んでいると、ジェドは「さてと」と言ってからセリスの手をギュッと握った。


「実はセリスを歓迎するのに皆が集まってる。そろそろ揃った頃だろうから行くか」

「えっ、あ、大変ありがたいのですがお待ち下さい! まだ団長様にご挨拶出来ていなくて……流石に最初に挨拶に行かなければと思うのですが」


 そのまま歩き出そうとしたジェドだったが、セリスの言葉にピタリと足を止めた。

 なにか思うところがあるのか「悪い」と言いながら少し困ったように笑うジェドに、セリスは小首を傾げた。



「騎士団長、俺だ」

「は、い?」

「悪い。言ったつもりだった」


 ははっと笑うジェドに、セリスは目が点になる。

 どうやら魔物から助けてくれて、腰が抜けるという醜態を見られ、あまつさえ担がれ、とんでもなく甘い言葉を吐いてくるこの男が、かの有名な冷酷残忍な──。


「もう一回自己紹介しておくよ。俺の名前はジェド・ジルベスター。第四騎士団の騎士団長だ」



 第四騎士団での関わりが──ジェドとの出会いが、セリスの未来を大きく変える。


 これは幼なじみに婚約破棄され、家を追い出された表情の乏しい伯爵令嬢──セリスが、世話好きの騎士団長──ジェドにとろとろに甘やかされ、溺愛される。


 そんな物語の始まりである。

読了ありがとうございました。

連載を検討している作品になります。評判が良ければ連載にしようかなと……。

少しでも面白い、続きが気になると思っていただけたら、評価【★★★★★】でぜひ応援お願いします。

連載版を書く場合は短編にリンクを貼りますので、忘れずブクマも宜しくお願いいたします!

感想もお待ちしております。執筆の励みになります……!

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[良い点] とても楽しく拝読しました♪ 恋の始まり、そんな雰囲気でした。読ませていただき有り難うございました。 [気になる点] プロローグな印象でした。 [一言] 連載作品は完結後に一気読みしたい派な…
[良い点] 真っ直ぐなセリスと優しく捉えどころのないジェド、素敵な二人ですね。第四騎士団も個性的な面々が揃ってそうです。 [一言] 拝読させて頂きありがとうございます。
[良い点] とても面白い。連載されるのを楽しみにしています。 [気になる点] 普通に連載ありきの短編ならタグとあらすじの内容をもう少し考えてほしい。本文が全然そこまで行ってなくてかなり残念でした。 評…
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