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第4話 ケルベロス戦、そして新たなチートマジックの習得

「ぬし様? ぬし様よ。おーい」


 メルにゆさゆさと体を揺すられ、俺の意識は現実に戻される。


「ああ、すまん。固まってた。……って、そうじゃなくて! お前、何てことを……」

「え……? い、嫌じゃったか?」

「嫌とかじゃ、ないけど……」


 メルは少し焦ったような顔で上目遣いに見上げてくる。

 その顔はちょっとズルい。


 メルは正直言ってかなりの美少女だ。

 小柄な体躯のせいか幾分幼くは見えるものの、人間であればその容姿だけで求婚されてもおかしくはない。


 だから、何というか……、別に嫌ではなかった。


「ぬし様はああいうこと、初めてじゃったかの?」

「……初めてですが、何か?」

「ふふ、それは良かった」


 メルはにこやかに笑って、


「余も初めてじゃ」


 そう言った。


   ***


「さて、これからどうするかの?」

「ポヨポヨ!」


 メルは伸びをして、俺に問いかける。

 隣で跳ねているレネは何だか張り切っているようだ。


 俺は少しだけ考え込んで、メルに聞いてみることにする。


「なあメル。お前が連れて来られる前にいた所には、他にも魔族がいたんだよな?」

「ああ、そうじゃが?」

「なら、そこに戻らないか? 俺もできれば一緒に行ってみたい」

「魔族領に?」


 俺はこくりと頷く。


 俺がレネとの出会いを通じて、魔族が悪だとする人族の教えに疑問を持っていること、魔族と話してみたいと思っていることなどはメルにも伝えている。


 メルと話してみて、そんな俺の魔族に対する興味はますます強まっていた。


 単純に魔族たちのことをもっと知りたいと、そう思う。


 メルはそんな俺の思惑を汲んでくれたのか、にっこりと笑ってくれた。


「余としてはせっかくぬし様に出会えたんじゃ。一緒に来てくれるというなら、もちろん嬉しい」

「ああ。俺としてもせっかくメルに会えたんだ。一緒に行っていいというなら、もちろん嬉しい」


 俺の言葉を聞いて一瞬きょとんとした表情を浮かべるメル。


「くっははは! ぬし様は面白いお人じゃ。魔王になるにはそうでなくてはな!」

「ポヨヨ!」

「いや……、魔王になりたいわけじゃないんだけど……」


 俺は大笑いするメルと嬉しそうに飛び跳ねるレネを見て、一つため息をついた。




 その後、とりあえず魔族領に向かう前に旅支度をしようということになり、俺たちは一度近くの村へ寄ることに決める。


 そうしてしばらく進み、まもなく村の入口も見えてこようかといった時だった。


「ぬし様よ」

「ああ」


 メルが足を止め、俺も不穏な空気を感じ取って立ち止まる


 何だ?

 道の先に何かいる。


「ポヨヨ……」


 俺はメルと共に構えを取る。

 そして……、


 ――ゴガァアアアアア!


「――っ!」


 咆哮と共に現れたのは3つの頭を持つ狼型の黒い影。

 ケルベロスのシャドウだった。


 ――グルルルル。


 ケルベロスは俺たちに気付いたのか、3つの頭を揃えてこちらへと向けてくる。

 明らかに見逃してくれる雰囲気では無さそうだ。


 ケルベロスの素早さは通常のシャドウと大きく異なり、攻撃を当てるのが極めて難しいとされている。

 ドラゴンと同じく、高位の魔道士が数人がかりで召喚するようなシャドウだ。


 ただ、気にかかることはそこではない。


「のう、ぬし様。いつからケルベロスは野良犬になったんじゃ?」

「いや、俺も聞いたことがないな……」


 メルが少し焦ったように言って、俺も引きつった笑いで返す。


 そう。ケルベロスは自然発生するようなシャドウではない。

 ましてやこんな人里近くに現れるわけが……。


「と、詮索している暇は無さそうじゃな」


 ケルベロスはこちらに攻撃する準備をするかのように地面を前足で掻いている。

 どうやら餌認定されたらしい。


 ――ゴォアアアア!


 そして、ケルベロスは凄まじい勢いで突進してくる。


 ――疾い……ッ!


 俺はレネを抱え、メルと共に横へと体を投げ出した。

 間一髪のところで攻撃を躱し立ち上がるが、どう対応すべきか決めかねる。


 先程ドラゴンを倒した黒炎魔法を使おうかと考えたが、この素早さだ。

 普通に魔法を放っても避けられてしまうかもしれない。


 と、横でメルがちょいちょいと俺の服を引っ張る。


「ぬし様。余がヤツの足を止める。その隙に黒炎魔法を」

「……魔法、使えるのか?」

「ぬし様が奴隷錠を解いてくれたからの。まだ完全に魔力が戻ったわけでは無いが、一発くらいなら打てそうじゃ」

「分かった。頼む」

「ふふ。ぬし様と初の共同作業じゃからな。任せよ」


 こちらに向き直り再度突進を試みるケルベロスの足元に向けて、メルは魔法を放つ。


範囲凍結魔法(フロストレイク)!」

「っ!」


 刺すような寒気が辺りに満ちたかと思うと、氷の刃が地面を走っていく。


 ――ガルッ!?


 そして、氷の刃は瞬時にケルベロスへと到達し、四本の足を絡め取った。


「今じゃ、ぬし様!」

「よしっ! 極大黒炎魔法(ヘルフレイム)!!」


 ――ゴルァアアアアアアア!!


 立ち上がる黒炎の火柱がケルベロスを飲み込んでいく。

 そうして黒炎が収まった頃には、ケルベロスのシャドウはかき消えていた。


「やった……!」

「ポッポヨ!」


「ふっふ……、流石はぬし様じゃ、な……」

「お、おい、大丈夫かメル!?」


 ふらついているメルを俺は片腕で抱き止める。


「奴隷錠を外した直後なのに、少し張り切りすぎたかもしれん……の」


 俺は紅潮しているメルの顔を見て、額に手を当てる。

 凄い熱だった。


「安心せい、少し休めば大丈夫、じゃ……」

「ったく、無茶しすぎだ。……いや、でもメルのおかげだな」

「くく。ぬし様の力になれたようで良かった」


 とりあえず村はすぐそこだ。

 そこで宿を借りてメルを休ませよう。


「と言っても、自分で歩くのは少し厳しそうじゃ。ぬし様……」

「ああ。ほれ」


 俺が背を差し出すとメルが乗っかり、首に手を回してくる。

 背中越しにメルの体温を感じた。


 ――それにしても、あのケルベロスは一体何だったんだろうな……。


 俺はどこか引っかかるものを感じながらも、村への道を急ぐことにする。


 そして、俺の眼前にはまたも青白い文字列が表示されていたのだった。


=====================

戦闘勝利により新たなチートマジックを会得しました。


【禁呪・チートマジック一覧】

●強化魔法

・対象:スライム

・対象:自分自身(二倍強化(ダブルフォース)) 【※新規】

●攻撃魔法

極大黒炎魔法(ヘルフレイム)

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