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27. どうして④ ※ 愛莉視点


(誰かしら……)


 雪子さんを庇うように立ってる男の人。


(かっこいい……)


 雪子さんと同じ職場って事は、公務員よね。将来安泰じゃない? え、何これ運命かしら……?

 智樹を探しに来てこんな幸運に巡り会えるなんて、智樹、あなたはやっぱり自慢の幼馴染だわ。


 でも雪子さんの彼氏なのだそうだ。

 嘘でしょう?

 ……ああ、もしかして職場の女子のレベルが低いのかしら。

 可哀想……こんなに素敵なのに。しかも雪子さんてば浮気をしてるのよ。

 

 私は意を決して、この素敵な男性──河村さんに雪子さんの本性を暴露した。


 なのに……

 どうして信じてくれないの?

 涙ながらに訴える私に冷めた目を返す河村さん。

 不思議な事に河村さんは雪子さんの肩を抱いて私を睨みつけてくる。


(分からないわ……)


 婚活で狙って来た男たちの、物言わぬ「お前はない」より、もっとあからさまな嫌悪。

 私はあなたの為を思って助言をしてるだけなのに……

 ああそうか、一応雪子さんとは恋人という関係だから……

 義理堅い人なのね。


(そういうの、嫌いじゃないけど……)


 そんな事をしてたら、私という珠玉を手に入れ損ねてしまうのに……私は寛大だから、少しくらいなら許してあげるわ。

 そう思ってにっこり笑えば凄く嫌そうな顔をされた。何故かしら?


 内心で首を傾げていると、河村さんが驚くべき事を言い出した。


 ──智樹と雪子さんは、大学時代ずっと付き合っていた、と……


 何を言ってるのかしら……

 智樹は私の信者よ? そんな事ある訳ない。

 私に嘘を吐いて、他に女を作って……そんな筈ないでしょう? 智樹は私のものよ。


 そんな自信が確かに頭を占めていたけれど、何故か身体は動かない。声を出したくても上手く出ない。

 踵を返す河村さんを呼び止められないまま、隣に歩く雪子さんに怒りが湧く。私の智樹を奪った上に、今度は河村さんまで……


 ──どきなさいよ、そこは私の場所よ!


 一歩二歩と歩いて、がくりと膝が落ちた。

 ショックなのだ。智樹の事も、河村さんが何かを勘違いして私を嫌悪してしまっている事も……

 立っていられなくてへたり込んでいるのに、河村さんは振り向いてくれない。

 どうして……? 私、何も悪い事なんてしていないのに……


 悔しくて拳を作っていると、着信があった。

 表示される名前を見れば、それは実家からのもので……

 私は泣きながらそれを取った。


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