取り調べ
「すみません。警視庁の田島といいますが、近藤晶仁さんと、渡辺美香さんで間違いないですか?」
二人が離れを出たとき、40代を少し過ぎたくらいの刑事が訪ねてきた。
少し間を置き、
「ええ…」
と答えると、頷いた田島は二人に対し、庸平の件につき、任意同行を要請した。
パトカーの中、しばらく無言だった田島は、ミカと晶仁に問い掛けた。
「あなた方は、あのお寺で何を?」
少し戸惑ったが、晶仁が
「警察に着いてからでいいですか?」
と答え、車内には再び無言が訪れた
田島は署内の取り調べ室に一人ずつ入れ、話を聞いている。4人は待合室さえ別にされていたので、下手なことをいうよりも、と有りのままを説明した。
最後、晶仁の番になり、田島と向かいあうように座る。
ドアの方には制服を着た若い刑事が立っている。
「今日の2時頃の貴方の行動をお聞かせ願いますか?」
田島の言葉に、小さくため息をついた晶仁だが、今までの経緯をしっかりと頭で追いながら説明した。
話中、腕を組み、俯いていた田島は晶仁の話が終わると同時に顔を上げる
「それで人形供養の寺に?」
「ええ…まぁ」
ため息をつき、田島は
「近藤さん…貴方の話、どう思います?」
と半ば呆れたような言い方をした
「信じられないでしょうね
でもそれが真実なんです」
そう答えた時、もう一人の警官が部屋に飛び込んできて、田島に耳打ちした。
「分かった。出ていいぞ」
その警官が一礼し、出ていくのを見届けた田島は、晶仁の方へ向き直り
「貴方の恋人の伊藤早苗さんが亡くなりました」
と告げた。
「えっ…!」
驚きの声を上げ、思わず立ち上がった晶仁を田島が制し、
「何者かに殺害されたらしい。」
「そんな…」
悲しみに暮れる4人、今日はそれぞれ帰される事になった。