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二つの憎悪



二人は、お互いの気持ちに気付き始めていた。







「…何してるの?」


パサっ…

その声に驚き、二人はすぐに体を離した。その声の先には、一人の女性が居て、果物などが入った買物袋が落ちている。

「早苗…いや…」


「何してるのよ!!!」


いつもの大人しい早苗が嘘のように、髪を振り乱し声を荒げている




唐突に、晶仁が口を開いた

「ごめん。別れてくれないか?」


「えっ?」突然の事に早苗とミカはとても驚いた。だが、我に返ったミカが早苗に弁解する。


「ちょっと、別れる必要なんてないよ、早苗、違うんだよ!怖がってた私に優しくしてくれただけなんだから!」



「…怖がってた私に優しく?」


早苗のドスの効いた静かな声にミカは怯んだ



「優しさのどこからキスが出てくるのよ?」


「え……」

ミカはもう何も返す事が出来なかった



「もういい」




「早苗!」


バン!

激しくドアを閉めた早苗。その頬には一筋の涙が流れていた。









二人はしばらく放心していたが、先に立ち直った晶仁が言った。


「俺、謝ってくる。」


「待って!」

そう言って走り出そうとする晶仁の手をミカは思わず掴んでいた。


「行かないで…私の傍に居て…」

泣きそうな目で見詰めてくるミカに愛しさが募る。


「ミカ…好きだ!」


抱きしめ、晶仁は叫んでいた。




この出来事がまた、新たな恐怖を生み出してゆくことになる









恋人に捨てられた。意味がわからなかった。大した喧嘩もしていないし、それに晶仁はミカの事を嫌っていたはずなのに…どうして…


乗り換えられた現実に頭が真っ白になってゆく。

そんな時、早苗の背後から不気味な声が聞こえてきた


『ねぇ、どうしたの?』


「誰!?」

振り返ると、そこには目が飛び出、身体がよじれてはいるが、見覚えのある人形がいた。

そうだ、ミカの家にあった人形だ。でも、不思議と怖い感じはしなかった。

「あきちゃんだよね…?」


こくん、と頷いた『あきちゃん』は、

『お姉さんも裏切られたの?ミカが憎い?』

と無表情で聞いた。泣き崩れ、

「憎い、憎い」と叫ぶ早苗を見て、ニヤリと笑い、

『じゃあお姉さんの復讐、手伝ってあげる』

と言いながら『あきちゃん』は早苗の目玉に手を伸ばした。



グチャっ…

「ぎゃあああ!」

嫌な音と共に早苗の叫びが静かな夜に響き渡る。


その場で倒れた早苗はもうピクリとも動かなかった。




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