最終章〜ミカの想い
部屋の真ん中には蝋燭の火が怪しく揺れている
ガタガタガタ…
突然部屋が揺れはじめた。
と同時に晶仁が経を唱えはじめる。
すぐに『あきちゃん』が姿を現した。
が、
『久しぶりだね、ミカ…』
嘘…千夏?
ミカの目の前に居るのは、あの千夏だった。
「ミカ、何を言われても耳貸すんじゃねえぞ!」
晶仁が直ぐさま叫ぶ。
『ねぇあたし達、友達だったよね…じゃあ助けて、あたし、この人形に取り込まれちゃうの』
ミカは無視を続ける
『ねぇ、ミカ?聞いてるの?
ミカ?聞いてるのかっていってんのよ!!!』
千夏が叫びだす。
「分かっただろ?これはあいつの罠だ。千夏達は、とっくに取り込まれてる。もう死んでんだ!いいな…口聞いた途端、俺らは負ける…」
次に、千夏の顔は、早苗に変わった。
『ねえ、ミカ…晶仁のこと、もういいから。
だから、お願い…千夏はもう、取り込まれちゃったわ…あたしを助けて…ミカ…ミカ…』
耳を塞ぎ、首を振るミカ。
瞳には涙が溜まり、こぼれ落ちそうになっている
顔は明史に変わり、最後に香織に変わった
『ミカ…今までごめんね。
あたし、知ってたよ?ミカが虐められてたこと…
黙っててゴメン
でも、あんたとはずっと友達で居たかったんだ
あんたが辛い思いしてるの知ってたけど、気付かないふりしてなきゃ、周りにたいしてあたしの面目が付かなかったから…
あんたの辛さ、知ってて支えてあげられなかった…
あたしの事なんか、見捨ててもいい
それより、晶仁君、死のうとしてるよ?
自分の命と引き換えに、あの人形を葬るつもりなんだ…』
止まらない涙が次々と溢れていたミカは、その言葉に顔をあげ、晶仁の方を見た。
「ダメだ!耳をかすんじゃねえ!」
『ミカ、晶仁君はそう言ってるけど、解らない?晶仁君の体、しんどそうでしょ?段々薄くなって…』
確かにそうだ…晶仁の様子がおかしい…
「違う…ミカ…ちょっと疲れてるだけだ!言うこと聞いてくれ!!」
『あんたの後ろ…蝋燭があるでしょ?それを消して!儀式が中断されるわ!これじゃ貴方は勝てない!晶仁君が死んじゃう!』
「ミカ!!止めろお!!!!!」
気付けばミカは、蝋燭を手で叩き付けてしまっていた
スローモーションのようにミカの体が崩れ落ちる。
そしてミカの瞳は静かに閉じられ、彼女の身体は徐々に薄くなり、やがて消えた
『あきちゃん』の声が聞こえる
『残念だったねぇ、ミカはあたしの物なの〜貴方なんかには渡さないから〜ギャハハハハハハハハハハハハ!!』
そういって、木魂だけを残した『あきちゃん』は、消え去っていった。
後に残された晶仁は、廃人のように空を見上げ呟きつづける…
「ミカ…ミカ……ミカ………ミカあぁぁ…………」
end.....
ねえ、ミカ?次はあたしが夫するから
ミカは妻ね?
ね?みかあ……………
『あきちゃん』
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