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新たな犠牲





特に何事も無く過ぎた一週間後の水曜日。

あれから、庸平の証言によりミカ達の無実は証明されたが、ミカ達には安心出来ない日々が続いている。

何もしてこない『あきちゃん』に逆に不安を感じてしまう四人だったが、とにかくいつものように学校へと向かっていた。



晶仁の実家に寝泊まりしているので登下校も一緒。

「親父がさ、あれ一度試してみるって」

晶仁がミカの手を引きながら話す。ミカと、自分の腕に絡み付いたままの千夏が首を傾げたのを見て、庸平が説明する


「あぁ…あれってのは、古くから伝わってる人形供養の方法でな、菩薩って人を降ろしてその人形の命を持って行って貰うんだよ。

供養って言うより無理矢理あの世に連れてって貰うっていうか…地獄にね…」


「菩薩?」

そう問う千夏に解りやすく晶仁が説明する

「簡単に言うと護ってくれる神様だな」


「へぇ…」

と納得する千夏。


「でもさ、それ失敗したらどうなるの?」と不安そうに晶仁を見上げるミカに、晶仁が言う。


「わからない…でも、菩薩様が負けるなんて事、絶対ねえから!心配すんな」




まさか、一番霊力が低い人が人形の代わりに連れていかれるとは言えないよなぁと思いながら、庸平と顔を見合わせる晶仁だった










放課後、峯引寺―――


人形供養に使用する真っ白な部屋で、白い服を着た4人は正座で座っている。

晶仁の父親と、十人の巫、あと、台の上に一つの大きな藁人形が置かれていた。


「それでは、菩薩を降ろします

黙祷。」ミカ達4人と千早と呼ばれる白い着物を着た十人の巫が晶仁の父の声で一斉に俯く


「招来…

菩薩よ我が声を聞き給え

我はこう

我が声に従いてこの座に居だて

そしてこの者達に憑く人形の魂を地獄へ導け

招来!」


十人の巫と晶仁の父親がそう呟くように繰り返す。

その光景は異様で、気味が悪かったが、ミカ達はこの戦いが終わる事を願い、固く目を閉じていた


すると、藁人形が暴れだす。

そして、藁人形から『キャハハハ!』と笑い声が聞こえた


藁人形の中で、菩薩と『あきちゃん』が戦っているらしい


晶仁の父親と10人の女が一斉に阿弥陀如来を唱える


阿毘羅吽欠娑婆呵アビラウンケンソワカ阿毘羅吽欠娑婆呵アビラウンケンソワカ阿毘羅吽欠娑婆呵アビラウンケンソワカ阿毘羅吽欠娑婆呵アビラウンケンソワカ阿毘羅吽欠娑婆呵アビラウンケンソワカ



藁人形が大人しくなったあと、晶仁の父親がお経を唱え、

「散!」

と締めくくり、全てが終わったかのように思えた。


「おじさん!千夏が!!」

みんなが顔を向けると、千夏が

「ヒヒッ、ヒヒッ」と笑いながら、白目を剥いて自らの体を爪で引っ掻いている


慌てて晶仁の父親達が阿弥陀如来を唱えるが、今度は晶仁の父親の体がよじれ始めた

「親父!くそっ…

ギャーティギャーティハーラ…」

晶仁がそう唱えた時、『あきちゃん』の声が聞こえた


『アハハハ。しつこいなぁ。

ダメだったね〜ママ、あきちゃん今凄く怒ってるんだよ』


ミカは、

「お願い…もう止めて!」


そう叫ぶが、晶仁の父親の体はどんどんねじれ、そこがブチっ、バキっと嫌な音を立てる

「ぎゃあ!!!!!!!」


「親父!!!!!」晶仁が叫ぶ必死の呪詛も空しく、晶仁の父親の上半身は一周捻られてしまった。


『これに懲りたら無駄なことしないでね?

あきちゃん、まだ準備があって忙しいんだー

でも、千夏おねーちゃんかわいそうだね〜あっ

これやったの、私じゃないからね?

香織おねーちゃんだからねーギャハハハハハ!』










千夏と晶仁の父親はその場で息を引き取り、白い部屋は二人の真っ赤な血で染められてしまった



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