1/1
プロローグ
可愛い女の子になりたいと、僕は願っていた。
確かに僕の体はれっきとした男の子だ。ただ少し周りより背が低くて、声も少し高くて、華奢な体つきで、髪が艶のあるさらさらな短髪なだけで、一般的に認識しても男の子と判断されるだろう。
でも、いつの日からか女の子になりたいという芽生え始めていた。理由は分からないけど、僕は僕の体に違和感を覚えていた。生まれてきた性別を間違えたんじゃないか? と本気で僕は思っているが、やはり僕は男だ。
周りの人たちにこのことを話すと、決まって笑い「君は立派な男の子だよ」という。嫌味でもなんでもなく、慈しみのある顔で微笑みで、そう言うのだ。
それでも僕は、可愛い女の子になりたいと願い続けた。
ただひたすら、可愛くなりたい、と。
そんな僕の願いは、ある日突然叶うことになった。
―――これは、ある日女の子になった僕の日常を描く物語