表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
木屋町ホンキートンク Ⅰ  作者: 鴨川 京介
第2章 驚くことが多すぎて、ちょっと放心してきます。
21/79

21 パナ子ってそりゃいくらなんでも…

 「あぁ、よろしく。」


 俺は携帯に向かって何話してんだろうな。どっと疲れた。あ~変なおじさん確定か。外で話しかけないようにしないとな。


 「了解しました。すでに思考での情報交換は可能となっております。頭の中で呼びかけていただければ、音声として声を出さなくても指示、報告が可能です。」


 「おぉ。それはよかった。って考えてることもわかるんだな。これも今更か。」

 かなりほっとした。そしていろいろあきらめた。うん、考えないほうがいいこともあるよね。


 「それじゃ次だが、さっき『日本における情報収集が終了』って言ってなかったか?」


 「はい、その通りです京介。現状、次元収納印籠型スマホ、略式名称として以降『印籠スマホ』と呼称しますが、これを介してネットでの情報検索、ノートパソコン、略式名称パナ子と以降呼称、との連携を行い、携帯タブレット、略式名称タブミと以降呼称との同期を完了しております。」


 「うん、突っ込むところが増えたね。パナ子とタブミって。」


 「京介が『つけそうな名前』を予測し、仮で呼称しております。変更しますか?」


 うん、そっか。俺ってそういうネーミングセンスなんだよな。適当というかなんというか。わかってたけど、こうやって突きつけられるとくるもんがあるな。

 鴨川京介ってのも四条大橋歩いてるとき浮かんだんだよな。今更か。


 『愛ちゃん』ってのは人でもいるけど、パナ子とタブミはな。なんかないかな。しばらく考えてみた。まずノートパソコン。確かにそういう名前のメーカーのノートパソコンだけど…。NOTE…。TE…NO…てるの…輝乃(てるの)ってどうよ。テルちゃんでいいんじゃない?液晶画面が輝いてるって感じで。


 次はタブレットか。これは結構初期段階のタブレットなんだよな。リンゴの会社の。確か液晶画面が高精細のディスプレイに変わった時の、初めのやつだよな。あれ、なんて言ったっけ…。たしかRetinaだったか。れてぃ…。うん、これでいいよね。


 「ノートパソコンは『輝乃てるの』、タブレットは『レティ』と呼ぼう。」


 あぁ、今気づいたけど、自分のスマホやノートパソコンやタブレットに名前を付けてる50代って…。病んでるね。かなり病んでるね。


 「それでは、ノートパソコンをパナ子改め輝乃で呼称を固定。略式呼称を『テルちゃん』と命名。タブレットをタブミ改めレティで呼称を固定。略式呼称も『レティ』でよろしいですか。…? …京介? …ご主人様? …マスター?」


 「あぁ、大丈夫だ。ちょっと気分が落ち込んだだけだから。ここ数日で普段の俺じゃない俺がたくさん出てきてるような…。ちょっとしたカルチャーショックみたいなもんだから、すぐに良くなる。…でも、ちょっと時間をくれ。」


 俺は思いのほか、落ち込んでいるようだ。ぼけ老人がぼけて、自分が仏壇に話しかけているのをいきなり客観的に見せられたような…。いや、そうじゃなくて。…何言ってんだろ。

 時間にして10分ほどだが、かなり深いところまで潜ってようやく浮上した。

 あぶなかった。あのまま意識の底で閉じこもりそうになった。


 「愛ちゃん。今後は名前を付けるときは、もう少し考えたいから俺に話してね。」


 「りょ、了解しました、マスター。」

 愛ちゃん、マスター呼びに戻ってるよ。もういいや、なんでも。


 「先ほどの思考を分析いたしました。今後、配慮いたします。」

 うん。愛ちゃんには隠し事なしに全部見られちゃってるんだね。わかるよ。わかる。


 「できればあまり俺の思考を深く探らないでほしいんだが。」


 「了解いたしました。可能性の追求は現時点で終了し、今後マスターの発言、意思の疎通での指示を優先的に処理いたします。」

 …いや、突っ込まないぞ。でも、これ放っておいたらやばいんじゃないだろうか…。


 「えっと、愛ちゃん。『可能性の追求を現時点で終了』って何?なんかしてたの?」


 「はい、マスター。万眼鏡をアクティベートし、印籠スマホと同期をとった時点から現在まで、マスターから示唆された可能性をシミュレートしております。そのために現在の日本の状況を把握する必要が生まれ、情報収集、分析、予測を行っておりました。」


 …俺何言ってたっけ?


 「その、俺から『示唆された内容』ってのは?」


 「現在までに、以下の項目において可能性の追求、状況分析、シミュレートが完了しております。


  1.万眼鏡及び印籠スマホとの連携、周辺機器との接続確保、輝乃及びレティとの情報共有及び視認化に対する最適化


  2.擬似人格AI 呼称『愛』のアクティベート及び擬人化


  3.輝乃及びレティへの擬似人格AIの移植及び育成(現在調整統合中)


  4.日本での生活基盤、経済基盤の確立準備


  5.情報ネットワーク拡張のため、現時点で検索可能な京介個人にかかわったことのある人物の連絡先及びプロフィールの照会、確認 データはスマホに委譲。以降、人材ネットワークと呼称。


  6.人材ネットワーク上での分野別、専門別での取捨選択及び最新研究結果の検索


  7.会社設立のための書類作成、用地選別、確保準備


   現時点では以上になります。」


 …うっぷ。血の気が引いて吐きそうだ。


 俺はパソコンの画面を開き、これらの箇条書きを文字で見ながら、愛からの説明を聞いた。


 …え~~っと、整理しよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ