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木屋町ホンキートンク Ⅰ  作者: 鴨川 京介
第1章 次元のほころび
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12 何事も情報が大事だな

 異界と行き来をして商売ができればいいが、向こうの世界がどうなっているのか、概略しかわかっていない。まして向こうの世界の流通通貨も持ってない。こちらのものを持ち込んで何か売ろうか。それにしても、今度はこちらでの原資が必要になる。


 ヤマトの世界は魔素がある分、魔法が発達し、科学そのものは停滞している。


 つまり、何らかの文明の道具を持ち込むことで、売買が成立するかもしれない。食料などもどうだろうか。

 魔素の影響で魔物がおり、獣人などの亜人と呼ばれる人種が存在する。

 地球では見ることのない、エルフや妖精族なども存在するらしい。

 よく考えたら妖精ってあやかしのせいって書くもんね。


 現代日本において、様々なラノベや小説で書かれるファンタジーの世界って、次元のほころびに偶然迷い込み、魂の不適合で弾き返された人が、その時流し込まれた情報の一部として、夢に見ているんじゃないだろうか。あれって一種の安全装置みたいなもんなんだろう。可能性としてはあるよな。あからさまにほころびが見えていなくても、偶然そこに倒れこんだり、踏み出すことはあるだろうから。


 …ということは、ラノベや小説に、異世界でのヒントが隠されているのかもしれない。人の発想力は馬鹿にできないだろう。

 それらを集めるにしてもやはり金が必要になる。情報を使って金を設ける手段。


 そこまで考えて、ネットで証券会社のページを開いてみた。過去の情報を見ることでその傾向が蓄積されて、予測までできないか。そう考えたのだ。


 う~ん。それにしても株を買うための原資がいるな。結局また金に戻った。


 あとは…。ギャンブルか。そういえば近くにあるじゃないか。今日は月曜日か。今週末は…。京都開催のようだ。よし、今週末に備えてみるか。

 俺は早速コンビニまでバイクを走らせ、情報誌を数冊手に入れた。


 そう、少しバイクで走ると京都競馬場がある。


 昔、競馬はやったことがある。結構稼いでいた。これも職業病のような感じで、開催日前日に競馬新聞を買って、くまなくチェックしていき、はずれの馬をはじいていく。当たり馬券を予想するのではなく、走らない馬(・・・・・)を確認していくのだ。


 要するに仕事と同じでリスクヘッジ(危機回避)を、得られる情報の中でしていったのだ。このやり方が結構はまって儲けていた。もっとも掛け金は1点千円ほどなので儲けとしても知れていたんだけどな。週末暇つぶしに遊ぶのにはうってつけだった。よく後輩を誘って競馬場帰りに焼肉食いに行ったっけ。いや懐かしい。もうあれから20年ほどになるのか。さて、万眼鏡と印籠型スマホという武器を使って、どこまでのことができるんだろうか。


 競馬情報誌を隅から隅まで読み込んだ。もっとも、途中からは俺がいちいち読み込まなくても、万眼鏡がスキャンして取り込むことが分かったので、ページを流し読みしながらめくって行っていただけだ。そうやって読み込んだデータはスマホに蓄積されていっている。うんうん。いい感じだ。


 さて、それを分析、予測しようとして少し困った。スマホでは表示できるスペースが少なすぎるのだ。かといって予測を俺の頭を使ってやろうとすると酩酊感がひどい。


 う~ん。何とかならんかな。


 そういえば、このスマホにあの機能はついてたっけ。スマホを操作して探している機能を見つけた。それは『テザリング』という機能だ。これはスマホを介してパソコンやタブレットをネットワークでつなぎ、インターネットにつなげることができる機能だ。これを使えばパソコンでもスマホの機能を使うことができないだろうか。WiFiでもいいんだが、WiFiのルーターがないところではつながらないからな。

 さっそくパソコンとリンクしてみた。結果、思った以上に情報のやり取りができた。タブレットも同様だ。これで見やすくなった。つなげてからよく見ると、例の魔力線でもつながっているようだ。これで大丈夫だろう。


 いくつかの偏差数値を設定して、それに引っかかるものだけを残していくという作業を、表計算を使って組んでみようとした。しかし、その必要はなかった。取り込んだデータの解析はすでに終了していて、結果だけ表示させれば済むようだ。


 つまり『○月○日、京都競馬場開催の第○レースの勝ち馬を予想しろ』と検索をかけるだけで、その確率の高い順番に馬の名前が列記されていた。これはすごい。


 もっとも前日にならないと馬の番号は確定しないし、出走する馬も確定しない。レース直前まで出走取り消しなどもあるし、馬場の状態などもデータとして反映しなければならない。つまり当日レース直前の状態を、万眼鏡で確認しないといけないこととなる。

 パドックでの調子も見てみたいしな。自動で金を稼ぐことはできないが、とりあえず資金を作ることはできそうだ。まあ、今週末に試してみればはっきりすることだろう。


 今日は…木曜日か。明日の夕方には前日売りの競馬新聞が出るな。明日の夕方まで競馬のことは少し置いておこう。すでに大枠での予測はできたしな。


 ほかの資金繰りの方法は何かないかな。

 ベッドの上でいろいろと考えているうちに眠ってしまった。


 その間もスマホとタブレットとパソコンの中では、何やらデータのやり取りをしながら、ひたすら動いていた。

 俺がそれに気づくのはもっと後になるんだが。


パソコンと繋げたことで、万眼鏡と印籠型スマホはまた進化していくこととなる。


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