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She can not die?  作者: FRIDAY
9/18

09.謳

 


  ●



 確かに死んだはずの。

 二度は額を撃ち抜かれたはずの。

 それなのにそこで艶やかに嘲笑う少女の。

 その不気味さに。

 その異様に。

 その異常に。

 男たちは薄寒い表情で引いていた。

 もっとも、少女に恐れをなし、引いているのは男たちだけでなく、傍観している客や職員も同様だった。

 奇妙で。

 奇怪で。

 異常であるだけに。

 それ以上に、滑稽で。

 だが笑うことなど決してできない。

 異形。

「お、お前!」

 不意に声が響いた。見れば、先程リーダーに金を回収するよう命じられた男の一人が、あの若い女性職員を羽交い締めにし、そのこめかみに銃口を押し当てていた。

 そちらを見た客や職員は総じて息を呑んだが、少女は、おや、と眉を軽く上げただけだった。

「お前、それ以上妙な真似してみろ。この女を殺すぞ!」

 これもまたテンプレートだ。だがそれが笑えるのはフィクションだけであって、現実に目の前で誰かに死なれるのは恐ろしい。

 ましてやその女性は、恐らくは少女とは異なり、一度死んでしまえば、もうどうにもならない。

 背筋が凍る。

 銃を突きつけられた女性職員は、恐怖からもはや完全に泣いていて涙を流しまくっていたが、声を上げることだけは気丈にも唇を引き結んで堪えていた。

 少女は。

 はン、と。

 やれやれ、と。

 肩をすくめてみせた。

 外人肩すくめポーズだ。

 しゃらり、と腕輪が肘まで降りていった。



  ●



 

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