14.彼
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「う、あ────ああぁぁあああぁああぁぁあ!!」
誰か男が絶叫した。それはあの女性職員を人質に取っていた男で、そしてその男は捕まえていた女性職員を脇に放り出し、ろくに狙いも定めず少女へ向けて銃を乱射した。それにつられて他の男たちも銃を少女へ向け、無我夢中で引き金を引いていた。
恐怖。
理解不能への恐怖。
異常存在への恐怖。
殺しても死なない存在への恐怖に、突き動かされて。
少女は銃弾から身を守るような素振りは見せず、むしろ迎え入れるように浅く両手を広げていた。
もはやお決まりになった、あの人を嘲る笑みを浮かべて。
残った男は五人。銃弾は一人につき恐らく六発。それぞれの銃弾が、あるものは着弾し、またあるものは貫通し、そのたびに少女の身体は鮮血や肉片を撒き散らしながら衝撃にぐらぐらと揺れた。
腕の銀輪がさんざめく。
銃弾の全てが少女に当たっていたということはないだろうが、ほとんどは当たっており、少女は、俗に言う蜂の巣状態になっていた。着弾部から鮮血を噴いて、周囲の全てをアカイロに染め抜いて。
そして、瞬きを経るとまた、もうそこにはいなかった。
床に壁に天井にありとあらゆる周りの全てに派手に凄惨に飛び散った血痕だけをそのまま残して。
今度は、あの女性職員を人質に取っていた男の前に立っていた。
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