開演の挨拶
諸説明の時間です
企画説明の最後にあった少女の存在を踏まえた、企画世界の説明です
「…………あ、あー。てすてす。まいくてす。マイッテスッ! ……おーけーおーるらい? オールライ、レディ――へい、ゆー! カモンれっつ、すとらごぉぅっ!!」
ぱちん、と指が鳴り、クラッカー十発が続く。舞台から観客席へ目つぶしの照明。
舞台真ん中、バミりの位置に蒔苗登場。
目つぶし消す。ピンスポ1、2、3を順に当てる。BGM大音量でフェードイン、話しはじめたらフェードアウトで下げる。
「というわけでご来場のお客様、間もなく開演の時刻です! 僕は今回の司会進行取り決めを担当させていただきます、出有珠・X・蒔苗です! ミッフィーの顔文字ではありません! 短い間ですが、どうかよろしくお願いします!」
ぱらぱら拍手SE。ピンスポ1を残して2、3、フェードアウト。
「聞こえないなあ?」のポーズで蒔苗、催促。
大喝采の拍手SE。うなずいて戻りつつ、2、3、フェードイン。
「さて今回の演目、〝地下闘技場〟は作品どころか書き手と読み手の垣根すら越えてじつにユニークなキャラが集い、一夜限りの戦闘劇場を送る試みです。東京の地下に僕が異空間として生みだしたこの地下闘技場は、広さも環境も自由自在! ありとあらゆるシチュエーションにて皆さまを楽しませることをお約束いたします」
大喝采の拍手SE。「喝采せよ! 喝采せよ!」のガヤ。
「ありがとうございます。では続きまして諸注意のほうをご説明させていただきます。まず闘技場と銘打っておりますがこの場は非殺傷空間です。刀剣・銃火器・魔術、その他もろもろでダメージは負いますが、出血はともかくとして部位切断・臓器破損などの残酷な描写はできないようになっておりますので、ご注意を!」
落胆の声SE。慌てながら蒔苗遮る。
「ぜ、全年齢を対象とした企画ですのでご容赦を、どうかご容赦を願います! 当然死亡などもない安全設計となっておりますが、この中でどれだけの緊迫感、焦燥感を出せるかというのが目的ですので、重ねて申し上げます! ひらにご容赦を!」
落胆の声SE、フェードアウト。ほっとした様子で次を語る。
「なお闘技場への競技者の輸送は、彼らの世界に僕がおもむき、一瞬の転移にて行いました。終了時はダメージと記憶を抹消して元の時間軸へ戻しますので、彼らの物語に破綻が出るおそれはありません。そう、あくまでこれは真夏の夜の夢……ああ、べつに闘技場が暑いわけではありませんので大丈夫ですよ。熱い闘技場ではありますけれど……ええと、はい? あ、いま裏からちょっと見取り図受け取りましたよ」
蒔苗、自分の前にスクロールを広げる。上部には「地下634メートル、逆スカイツリーもとい地下闘技場」と記してあり、円形のコロシアムであることがうかがえる。コロシアムは観戦も可能なつくりで、東西南北にある入場口近くには、五、六軒の呑み屋が並んでいる様子。
「呑み屋のテレビでは試合の様子が放映されています。キャラの皆さんはこちらで観戦してから戦いへ挑むもよし、戦い終えての酒を楽しみにするもよし、だそうです! 未成年向けには泡立ち麦茶とかも用意してあるから安心ですよ」
説明しながら蒔苗、スクロール巻いて閉じる。裏でビール飲んでる。ブーイングSE。
「いやちがっ、これも泡立ち麦茶ですよ? 気のせいですよ? 裏方さん、スクロールとジョッキ持ってってくださーい! ……中ジョッキじゃないですよ?」
道具撤収。ブーイングSE止める。
「そして試合においては、勝者に報奨金が贈られます。まあ、この闘技場周辺でしか使えないペリカみたいなものなので、それほど嬉しいものでもないかもしれませんが。呑み屋で使ってあげてください、金は天下の回し者です」
お金落ちるSE。
「読み手さんは各自、試合のお申し込みは【企画】地 下 闘 技 場【戦闘】の感想欄にて行ってください。なので書き手さんはたまに感想欄を見るようお願いいたしますー。書き手さんのほうはあがっている対戦者表から自由に選んで自由に書いちゃってください!」
歓声SE。まあまあ、となだめるジェスチュアの蒔苗。
「それでは、長々と説明いたしましたがここまでご静聴いただき感謝いたします。地下闘技場の戦い、間もなく、間もなく開演です! みなさま、闘志と熱意とキャラクタなど、お忘れ物のございませんようお願い申し上げます! ……またのちほどお会いしましょう、では!」
プロジェクタでスクリーンにカウントの数字投射。3、2、1、で蒔苗スクリーンへ跳び込む。長く落ちる落下音SE。そのままフェードアウト。ピンスポ全フェードアウト。会場照明元に戻す。
観客がキャラを引きつれて立ち上がる。闘技場での戦いをどうするか思案しつつ舞台へあがり、蒔苗の消えたスクリーンの隙間から裏へ入り込んでいく。SEなし。当然落下する。
自由落下の行きつく先、地下634メートル。
地下闘技場前。ローマのコロセウムそのままのところに、ちらほら呑み屋が並ぶ奇妙な風景。観客がぞろぞろと入っていく。キャラが引き連れられ、控室を探し始める。先に来ていた蒔苗が案内。大部屋であるためなんとか収容可能。すし詰めに押し込んでばたんとドアを閉め、蒔苗嘆息。
と、ここで蒔苗が視線に気づく。
視線の元へ、こちらへと駆け寄ってきて、ぺこりと一礼。
「読み手、書き手での参加以外の方も、ご足労願いまして誠にありがとうございます! ではこの闘技場でのご観覧ご歓談、存分にお楽しみくださいませ! 僕も楽しませていただきます!」
楽しそうに告げて、蒔苗去る。そして思案が始まる。
さて……どの試合からみてみようか?