第七話 退院・親友 side樹碧
私が入院してから既に2ヶ月経とうとしている。
事故の怪我はもう殆ど治ってきている。
そしてはれて私も退院することが出来る。
「退院おめでとぉ〜。レミは治るの速いのかね〜。」
「退院したら高校生活がまた始まるんだろ?青春してきな〜。」
「退院おめでとう。」
同じ病室の人たちから祝いの言葉を貰った。
芙蓉さんは来週。
蒼龍さんは明後日に退院らしい。
だけど、やはり碧くんは退院しないらしい。
碧くんってなんの病気なんだろう…。
その好奇心を心の中に閉まって私はこの病院を後にした。
「ちょっと、退院早々なにぼけ〜っとしてるのよ!」
退院して次の日、私は学校に出ることになった。
そして私の隣で説教してくる女の子は春日 藍ちゃん。
「退院早々説教しないで大丈夫?の一言くらいかけてよ〜。」
「あんたはね〜…。まいっか。そういえば樹碧なんか変わったよね?」
変わった……?
「そうかな〜。私はそんなことないと思うよ?」
「何で疑問系なのよ…。」
藍ちゃんは、私と幼稚園から一緒だった。私の良き親友だと思う。
「あんた……。男が出来た?」
「え!?違うわよ!」
いきなり変なことを言われて私は動揺してしまった…。
「ふ〜ん…。成る程ね。あんたはすぐに表に出すから解りやすいんだよね〜。」
藍ちゃんはすぐにこうやって私をからかう…。
「藍ちゃんの意地悪…。」
「それで?その好きな人は何組?」
この学校には居ない…。それ以前に学校にすら入っていない。
「学校の人じゃない…。」
「マジ!?それじゃ何?年上?まさか…病院のせんせ?」
「それは違う。」
藍ちゃんは腕を組んで考えている。
藍ちゃんには話した方がいいのかな?
いつも私は藍ちゃんに色々と助けて貰ってる。
「よし!それじゃ今度会いに行こう!」
「ちょ!?えぇ!駄目だよ!絶対に!」
とにかく私は拒否しておく。
だって碧くんに迷惑だと思うし…、それに今行ったら芙蓉さん達にからかわれるだけだもん…。
「何でよ〜。いいじゃん、どんな人かくらい。あ、そういえばその人って年いくつ?」
「16歳…。」
「一個上かぁ〜…。って高校入ってないの!?」
そういえばそうだ。碧くんはいつから入院しているんだろう?
「わかんないけどずっと入院してるのかな?」
そういえば私は碧くんのことを全然知らなかった…。
「そんなことはどうでもいいの!とにかく今度空いてる日教えてよね。」
勝手に藍ちゃんに約束をされてしまった…。
そしてあっという間に約束の日。
約束の日には既に芙蓉さんと蒼龍さんが退院している日を選んだ。
退院する前に二人には会っているので心配はない。
「樹碧〜!」
遠くから藍ちゃんの声が聞こえた。
待ち合わせ場所は病院の前にあるバス停。
「3分遅刻。」
こうみえても私は時間にはうるさい方。朝は弱いけど…。
「ごっめ〜ん。髪セットするのに時間掛かっちゃったよ。」
私もそれなりにオシャレをしてきたつもり。
多分かわいい?と思う……。自分で言うのもなんだけど…。
「それにしても今日は随分と気合い入れてますね〜、樹碧さん。」
からかう様にファッションチェックをしてくる藍ちゃん…。
「そんなのはどーでもいいでしょ!置いてくよっ!」
「ちょっと〜、怒んないでよ〜。」
隣では楽しそうに笑いながら歩いている藍ちゃんが居る。
そんなに碧くんと会うのが楽しみなのだろうか?
だけど私の方はかなり緊張していた。
だって…2週間ぶりに碧くんと会うんだもん…。
何から言えば良いんだろ…。