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窓と屋上  作者: 宮夢露
3/12

第三話 夜中の楽譜 side樹碧

私は恐がりです。

はっきし言って、夜の病院とかホンットに怖くて仕方がありません。

なのに、かなりの高確率で私は夜中に目が覚めるてしまうんです。

だけどいつも起きるたびに、澄那岐さんも起きているんです。

それになにかシャーペンか何かが机を擦る音が聞こえる。まさにテスト中に聞こえるカタカタといった感じに似ている音。ってか同じだけど。

そして私は自分の好奇心に耐えられず、気が付くと、彼のベットを仕切っていたカーテンを開けてしまっていた。

彼は机に向けていた頭をスーッと上げてこっちを向いた。

「何か用?」

……始めて顔を見た。

格好いい。

月の光が横顔を綺麗に輝かしている。

私は頬が少し赤くなってしまっていた。そしてその赤くなった頬を隠すように、両手で顔を覆った。

「ねェ、何か用なの?」

「あ、いや……何か物音がして…それで……気になって………。」

「そっか、起こしちゃったか。悪かった。」

私はさらに頬が熱くなったの瞬間的に解った。

「い、いえ!私も元から起きてましたし……。」

そして私は彼が机の上にある、紙に気が付いた。

「あ、あァこれ?楽譜だよ。」

今始めて気が付いた。

彼ってホントは……かなり優しい?

「見る?」

私は彼の言葉で我が帰り、

「見てもいいんですか?」

と、言葉を口にすることが出来た。

いいよと彼は言って、ベットの脇にある椅子を指差した。座っていいよの合図なのは見てすぐに解った。

「おじゃましまァ〜す……。」

彼は小声でどうぞと言った。

「寒かったら布団貸すよ?」

「あ、大丈夫ですッ」

そして私は彼から楽譜を渡された。

「わァ〜、凄い。これ作ったんですか?」

私は始めてと言ってもいいほどじっくりと楽譜を見ていた。

「まあね。これね、そこの棚に入ってるギターで弾くんだよ。でも我ながら上手く出来たんだけど、まだギターでは弾けてないんだよね、アハハ。」

そして情けないな、と言って苦笑いしていた。

「あの、澄那岐さん?」

「ああ、碧でいいよ。」

「あ、じゃあ……碧さん…で……。」

私はまた顔がカーッと赤くなったのは言うまでもない。

「さんじゃなくて君でもいいけど?」

私が言いにくい様に言ったからだろうか、優しく彼は言ってくれた。

「あ、まだ君の名前聞いてなかったよね?」

私はあたふたしながら、

「わひゃひ…………。」

咄嗟に声を出した。が、噛んでしまった………。

そして彼はクスクスと少し可愛らしく笑った。

「なに緊張してんの?面白いなァ〜。キミって。」

まだクスクス笑っている。

私はさらに恥ずかしくなった。

笑い終わったのか彼がまた聞いてきた。

「名前。教えて?」

私は落ち着きを取り戻し、

「時雨 樹碧って言います。樹碧って言う字は難しい方の『き』でみどりは……あ、碧くんの字と同じですね。」

「そうなんだ。この漢字ってあまり使われてないから、ちょっと驚いた。」

そして最後に、よろしくと言って碧君はにっこりと笑った。

しかし………その笑った顔は前にも感じた、一見暖かそうに見えるのとは裏腹に、彼の瞳は……内側から凍り付くような、恐ろしく、冷めていた………。

しかしそれはほんの些細なことで、よく見なければ気付かないほどだった。

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