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窓と屋上  作者: 宮夢露
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第十二話 学校 side碧

手紙を読んだ俺は涙を流すことしか出来なかった…。

ハッキリ言って親と良い思い出の一つすら残っていない。



涙を拭った俺は、何か封筒にまだ入っていることに気が付いた。

そっと取り出す。



それを見た俺はまた涙を流した…。



父さんと……母さんだ……。


それは写真だった。

その中には笑顔で赤ん坊の俺を抱き抱えている父さんと母さんが写っていた。


そっか…俺は勘違いしてたんだ…。


俺を産んだ。

だから父さん達が病気に掛かったから俺を恨んで居るんじゃないかと…。


でもそれは違かった…。

だって……この写真の中の父さん達…幸せそうだから…。



よし!


俺は初めてと言っても良い程の涙を拭くの袖で拭い、立ち上がった。

あの手紙に書いてあった。

償い…。

別に俺は父さん達を憎んでなんかいないんだよ…。

でも父さん達が最後に残した物なんだ。

それを絶対に無駄にはしたくない。

償いとしてじゃない。

親からのプレゼントとしてそれを受け取るんだ!



俺は自分の部屋を開け、机の真っ正面に立つ。

そして引き出しを開ける。

すると中には一通の封筒が置いてあった。


封筒を開ける。

すると中には何処かの電話番号が書いてある紙が入っていた。

その電話番号の下には「ここに電話してくれ。」と書いてあった。

俺は一階に向かって走り出す。

そして受話器を持ち、誰のかも解らない番号を入れていく…。


呼び出しが始まった。

少し俺は緊張している…。


ガチャ


出た!


『もしもし!この番号は碧くんかい!?』

すると受話器の向こうからは男の人の声が聞こえてきた。

俺を知っている…?

「ハイ…、でもなんで俺のこと…。」

『あァ、驚かせてすまないね。僕は穂先ほさき かおるだ。碧くんのことは君の親から聞かされている。…そして一つの頼み事をされたんだよ。』

「父さん達からの…頼み事…?」

『そうだ。単刀直入に言うよ。その頼み事とはね…君を学校に入れてあげることなんだ。』

学校!?

「でも…俺勉強とか解らないんですけど…。」

『大丈夫、そのことは色々とフォローはするよ。』

「それより薫さんに迷惑かけたくないですし…。」

『そんなことはない。ってゆーかこれは君のお父さん頼み事だからな…。』

そうだよな…。

これは父さんの頼み事なんだよな…。

でも大丈夫なのか…?

俺は今年中で死んでしまうかもしれない…。

そんな中で他人と関わる……。

『碧くんがもう長いくないことは僕も知っている……。だけど少しでも碧くんに普通の生活をして貰いたいんだ。』

「でも…。」

『大丈夫。周りに気を遣うことはないさ。』


正直…嬉しかった……。

俺も本当はもっと人と関わりたい…。

もっと話したい…。

もっともっと…普通に生活したい!


『行って…くれるかい?』

「……ハイ。」

『そうか。有り難う。これで碧くんのお父さんも喜んでくれるよ。』



それから数日後…

薫さんから制服や、その他諸々が送られてきた。

薫さんは俺に一緒に住まないかと誘ってくれたが俺は断った。

もう少し俺はこの家に居たかったから。


そして学校に行く日がやってきた。


何百人も人が居る前に俺は立たされ、自己紹介しろと言われた。

少し緊張したが、それ以上に俺はワクワクしていた。

これから普通の生活が出来ることに。



「碧くん、では改めて自己紹介して。」

朝、自己紹介を全校の前でさせられた後、俺は自分がこれから過ごす教室でまた自己紹介させられた。

そしてそのまま授業に入る。

勉強は前に少しだけやっていた。

それを応用したら、結構簡単にできた。


勉強って結構面白いかも…。



そしてあっという間に授業等が終わり、昼休みに。


あ、昼ご飯どうしよう…。

すると隣にいた女の子が俺に話しかけてきた。

これから食堂に行くので俺も誘ってくれたらしい。

友達が出来ないのでは、と心配していたが少し安心した。


みんなで食堂に歩いていく途中、色々質問された。

誕生日とか好きな物嫌いな物とか。


「好きな女の子のタイプは?」

急に一人の女の子が聞いてきた。

少し解らない…。

俺は人を好きになったことが無かったから…。

でも一つだけ…。

「笑顔がすてきな人かな。」

何故かというと、母さんがそうだったから…。

多分俺は母さんのことが好きだったんだと思う。



食堂に着いた。

俺は昔から和食しか食べなかったから魚の塩焼きセットってやつを頼んだ。

結構美味しかった。

病院のより美味いかも。


そして俺はみんなと別れ、一人で学校探索しに行った。


成る程…ここが一年生の教室か…。


「あの!」

俺がこの場を離れようとしたとき誰かに呼び止められた。

振り返ると…


そこには樹碧が立っていた…。

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