第二十四章 ― 最終対決・第四部
航空機は成層圏を突き抜ける。
空気は消え、
温度は不可能なほど低下する――絶対零度、絶対の静寂。
カズキを生かしているのは、《戦の神》の力だけだ。
人間の身体では、この虚無に耐えられない。
突然、リュウが補助カプセル内で目を覚ます。
まばたきで混乱し、やがて目を見開き純粋な恐怖に包まれる。
> 「ここは…どこだ?!」 「いや…」――理解する――「お前が…!」
カズキはただ、悲しげに、そして穏やかに微笑む。
> 「このすべてを引き起こしたのは、俺たち二人だ、リュウ。
今…代償を支払う時だ。」
リュウは操縦桿に手を伸ばそうとするが、
カズキはその手を握る――力ではなく、優しさで。
> 「二度目のチャンスだ、兄よ。
上手く使え。」
そして、最後の抱擁に引き寄せる――
数十年ぶりの、真の接触。
その瞬間、時間が止まったかのようだった。
リュウは子供のように泣く。
> 「許してくれ…すべてを…」
カズキは、ほとんど声にならない声で応える。
> 「ずっと前に許している。
今は…自分自身を許せ。」
素早く動き、強制射出を作動させる。
リュウのカプセルは低高度へ向かって飛翔する。
パラシュートが自動展開され、
広大な青空に白い点が浮かぶ。
リュウは絶望の中、兄の名を叫ぶ。
カズキは手を上げ、沈黙の別れを告げる。
そして、ついに、一人になる。
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> 「本当に…いいのか?」――《戦の神》が脳内で囁く。
カズキはただ思考で答える:
「絶対だ。」
エンジンが停止する。
重力が彼を引き戻す。
落下が始まる。
航空機は螺旋を描き、
逆さの流星のように――
空から火の線を描いて降下する。
風が機体を切り裂き、
金属は摩擦で赤熱する。
コックピットの中で、カズキは目を閉じる。
映像が蘇る:
野原の太陽の下での幼少期、
空を夢見た少年時代、
戦争の日々と後悔の連続。
> 「価値はあったか…?」――自問する。
答えは静かに、迷いなく返ってくる。
> 「あった。」
兄を救い、国を守り、
そして、最後まで人間性を保った。
《戦の神》は沈黙する。
初めて、神もまた、尊敬に近い感情を抱く。
> 「真の戦士だったな」と、厳かに告げる。
「共に戦えたことを光栄に思う。」
カズキはかすかに笑う、もはや消えゆく声で。
> 「ありがとう…相棒。完璧じゃなくても。」
眼下に山が迫る――速く、避けられない。
三、二…
> 「リュウ…」――ささやく。
「二人のために生きろ。」
一。
白光。
爆発が地平線を覆う。
融合によって蓄えられたエネルギーが一瞬に解放され――
神の核爆発のように放たれる。
山は蒸発し、
炎のキノコ雲が天に届く。
衝撃波が森を吹き飛ばし、
遠くの建物を倒し、
世界を震わせる。
閃光が消えた時、
残るのは煙を上げる巨大なクレーターのみ――
最後の犠牲の象徴。
カズキは消えた。
肉体も精神も魂も、光と融合したのだ。
《戦の神》もまた消滅し、
霊的次元に戻る――宿主も目的もなく。
消える前、最後の通信がリュウの脳内に響く。
パラシュートでゆっくり降下する彼は、
地平線の閃光を見て涙を流す。
> 「戦がある限り、俺は潜む…
だが、もう二度と戻る必要はないと願う。」
世界は静寂に包まれる。
戦争は終わった。
代償は一つの命。
救済はもう一つ。




