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人の姫は魔王に恋をする  作者: 青留 なる
8/8

7.敵を難なく突破するソフィア。


 ゴゴゴゴゴゴゴ――――――

 そんな効果音が似合いそうな雰囲気の魔物が私の前に立ちはだかる。


 その魔物は三メートルぐらいの人型の魔物。

 首から頬にかけて鱗が見える漆黒の髪に真っ赤な瞳。

 右側の額からは角が覗いている。


 にらまれるだけで精神が削られそうな鋭い目つきにぎろりと上から睨みつけられる。


 「人質………」


 とても低い。

 辺りの物に意思があるなら恐怖で振動しだしそうな恐ろしい声。


 後ろの曲がり角にはレイジが身をひそめている。


 この人?の気配感じて隠れたのかぁ?

 卑怯者め。



   ♢



 「こんばんは~。」


 夜になり、レイジが牢獄の方へ来たので挨拶をする。


 「なんで俺がこんな雑用を妹にやらさせるかね~。」


 文句を言いながらレイジはガチャリと扉を開ける。


 「う~ん兄としての威厳が無いからじゃない? 案内よろしく~」


 「従姉(あね)にまで雑用ですか~い。」


 「弟って姉の(しもべ)になる運命なの?」


 「姉がいないもんで知りませ~ん。あ。母さんから預かった。獣人カチューシャ。つけると匂いも見た目も獣人になる。魔王の妹かって疑うぐらいに人質にかまうよな。」


 「魔王の妹ではあるけど、姪にかまうのは別におかしくはないでしょ?」


 「立場がむりn……⁉」


 突然レイジは目を開いて固まり、私を置いて通路を曲がって隠れた。

 なぜ?


 よく分からないまま先に進むと、角で人とぶつかる。

 謝ろうと相手を見ると


 ゴゴゴゴゴゴゴ――――――


 に戻る。


 「人質………」


 とても大きい声というわけではないが、低すぎて耳を塞ぎたくなる。

 失礼なのでしませんけどね。


 「あ。(わたくし)、ヴィシェリアさまに雇われたドッペルゲンガーです。人質の警備はどうなっているということで、人質の姿で歩き回っていろという命令でここにいます」


 もちろん威圧は収まらない。

 クッ…無理かッ……。


 「そうですか。ご苦労様です」


 ⁉

 行けただと⁉


 すると、ペコッとお辞儀をして過ぎて行った。


 「レイジさま。そちらは大丈夫そうですか?」(約:勝手に逃げるな)

 「……ええ」


 スルッと抜けられたのが信じられないという顔のレイジだった。


+*+


「ソフィアさま! よくいらっしゃいました!」


 部屋に入るとコトノハさんが迎え入れてくれた。


「お邪魔します」


 部屋の中は全体的に水色で淡い色で構成されていた。


 ベットにはカーテンのようにレースが付いており、ぬいぐるみが沢山おいてあった。

 本当に人間の女の子と変わらないのね。

 可愛いらしい印象の部屋だ。


「こちらにお座りください!」


 白く低い丸テーブルの前にクッションを置かれたのでそこに座る。

 コトノハさんは反対側に座った。


「あ。レイジは帰っていいよ」

「俺への扱いが雑いんだよ! 仮にも妹だろうが‼」


 歯向かうレイジに向かってたくさんのぬいぐるみを無言で投げつけるコトノハさん。


「二度と来るか!」


 そう言ってレイジは出て行った。


 その後は余談として少しお話した。


+*+(コトノハ視点)


「そろそろ本命のお話ですが、ソフィアさまの意中のお相手はどなたですか?」

「ド直球ですね。……お名前も分かりませんわ。ただ、たたずまいや私を優しく扱ってくださったこととかが本当に格好良くて……」


 お顔ってこんなに真っ赤になるものなんですのね。


「本当にそんなことがあるのですねッ! わたくし、恋愛の知識は物語だけですが、大好きです!」


 ソフィアさまの話をノートにスラスラとまとめていく。


「背格好や服装は?」

「百七十から百八十だったと思います。王族っぽい恰好をしていたような気もしますが、よく覚えていません」


(王族っぽい恰好の魔物? ソフィアさまの王族っぽい恰好の定義は分かりませんが、王族と思って良いのでしょうか)


「魔物?」

「おそらく。角が生えていたので」


(角が生えている魔物? 王族となるとすぐ思いつくのは叔父さんですが、まさかそんなわけないですわよね)


「いつ頃お会いしました?」

「私が攫われた日です」


(え? うん。人間の姫誘拐隊に行った角が生えているのは叔父さんだけですが? 本当に叔父さんなんじゃないですか?)


「いや~わたくしも恋に落ちたいです~」


(人間の姫が、魔物に恋? 人間と魔物の子供はいないわけじゃないけど、王族と王族はマズくない?)


「わたくしに運命のお相手はいらっしゃるのでしょうか」

「! います‼」

「え?」


 まさかの反応に驚くコトノハ。

 コトノハの両手を掴んで


「例え、召喚された魔物にもいらっしゃるはずです。コトノハさんも気になるお方があらわれましたら、私にお話しください!」

「!」


(そうね。魔物と人間の王族だからってあきらめちゃ駄目ね)


「分かりました。ソフィアさまの恋、応援いたしますわ。ソフィアさま。わたくしのお友達になっていただけますか?」

「喜んで!」


(人間と魔物の王族の友情が成立するなら恋愛だっていいに決まってますわ‼)

文字数足りてるけど、空きすぎた期間のお詫びでおまけです。


 「「わぁ……」」


 ココちゃんと二人でお城に感動する。


 「こちらへどうぞ。」


 エミリオさんに案内されて客室に行く。

 もちろん豪華だ。


 「もうすぐアリスリオさまとセフィーナさまがいらっしゃるので、少々お待ちください。」


 アリスリオとは国王。セフィーナとは王妃。


 あれ?

 ヴァレリオさんって国王の弟だよね。

 年子のはずなのに二人ってなんかよぼよぼお爺ちゃんの見た目だったような。


 バンッ

 と扉があいたと同時にヴァレリオさんと同い年ぐらいの男女が飛び込んできた。


 「ヴァルがプロポーズしたっていう子はこの子⁉」


 「や~んちょー可愛い‼妹ってメチャメチャ憧れてたのよ~‼」


 (言い分的にはアリスリオとセフィーナ?でも知ってる見た目と違う。)


 「アリス。セフィーナさま。」


 エミリオさんの声がかかる。

 アリスリオとエミリオさんも幼馴染みたいな関係?


 「も~。弟と結婚する子を見てテンションが上がらないわけないだろ?リオはお堅いなぁ。」


 「こっちの可愛い子はどこの子?」


 ココちゃんを抱上げるセフィーナ。


 「迷子です。サンシャ国の子だと本人から。」


 「あら二人とも初めましてなの?姉妹かと思っちゃったわ。」


 「………」


 なかなか座らない二人に対してエミリオさんが怒りかかっている。


 「アリス。セフィーナさま。とりあえず座りましょうか?」


 「ひっ…。」「…ひゃい。」


 エミリオさんの威圧に負けて二人は座った。


 「ゴホン。改めまして。マナルート国、国王のアリスリオ・マナルートです。」


 「マナルート国、王妃のマナルート・セフィーナです。」


 (本当に二人が国王と王妃なんだ。)


 「霧崎(きりさき) ヴィレナです。」


 名字がカタカナでないのはヴィレナがそういうところで生まれたという設定だからだ。


 その村、夜南(よな)村とはとっても小さい村で実は人間と魔物の子供が集まってできた村。

 そんなうわさは何年も前に消え去り、人間にバレないように魔物と暮らす人間と魔物のハーフたち。

 この世界で唯一の村。

 ヴィレナはそこの村生まれ、そこの村育ちという設定だ。


 ちなみにどこの国にも所属していないから小さな国ととらえてもいいかもしれない。


 「キリサキ……ヴィレナちゃんは夜南村の住民の子かな?」


 「はい。」


 「リオ。二人の出会いはどんな感じか説明してくれるかな?」


 「はい。ヴィレナさまとココさまはオーゲ草原にいらっしゃいました。ココさまが泣いておられるところにヴィレナさまが聞いたことない言語で歌っておられるのを聞き、リンドラ家に向かう途中にもかかわらず馬車を止めヴィレナさまに一直線でヴァレリオさまご自身で歩いて行かれました。」


 「その後いきなりプロポーズ?ヴァルらしいね。」


 「ですが、プロポーズのお返事はヴィレナさまから聞いておりません。ヴァレリオさまが勝手に仕切っております。」


 「それはちょっとヴァルちゃんにお仕置きね。わかったわ。ヴィレナちゃんとお話がしたいからみんな席外してくれる?もちろんアリスも。」


 そう言うと私の膝にいるココちゃんと目線を合わせて


 「ココちゃん。私の姫と一緒に遊んでくれる?ココちゃんと同い年ぐらいだと思うんだ。お友達になってくれるかな?」


 知らないところで緊張していたのか少し警戒心が出ていたのが引っ込んで


 「お友達!」


 と言って表情が明るくなった。


 「そこのお兄さんについて行ってね。」


 そう言ってエミリオさんを指名し、部屋には二人だけになった。


 「さて。ヴィレナちゃん。」


 セフィーナの鋭い目つきにヴィシェリアは生唾を飲み込む。


 (まさか私が魔物だって気が付いている⁉)


 「本当にこのままで大丈夫?話を聞く感じ強制されて結婚する感じになっていない?ヴァルちゃんの熱意が強すぎて戸惑ってない?何か不安なことはある?本当は結婚したくないとかない?今ならヴァルちゃんに直談判に行けるよ?本当に大丈夫?」


 まさかの私を心配してのことだった。


 「……私は大丈夫です。ヴァレリオさんの熱量には驚きましたが、こんなにも好いていただけるのがとてもうれしくて……。」


 「そうなの?ならよかったわ。と言っても今日会ったばかりで、不安なことはあるでしょ?」


 「そう……ですね。せめて明日式になるとエミリオさんがおっしゃってましたが、本当に明日やるんですか?」


 「そうねぇ……ヴァルちゃんには悪いかもしれないけど、ヴィレナちゃんが嫌と言ったら式はやらない。もしくは小さなものにすることも可能よ?」


 人間の王族の権力半端な。


 「あ。でも、明日ならご家族が来れない?」


 (ご家族……か。)


 「父も母も居りませんし、兄弟姉妹もいないので。」


 ヴィレナは家族がいない。


 「そう………。失礼なこと聞いちゃったわね。式はこのままだと本当に明日やりかねないわよ?」


 「どんなものかわかりませんが、式の規模とかは変更すると大変でしょうし、私は予定通りで避ければ予定通りで。式に来られるお客様の迷惑にならないように三日後でもよろしいですか?」


 「全然大丈夫よ!お父様がおられないなら入場は二人でになるわね。そこの変更かしら。あと、ドレスね。代々マナルート家に嫁入りしてくる人が着てきたドレスよ。体系もリンドラちゃんとそんなに変わらなさそうだし、大丈夫よ。」


 突然の新婦の変更で迷惑かけまくりだと思う。

 でも、このまま王族の一因になれるなら情報も仕入れられるんじゃないか?

 ヴィシェリアは既婚者だけど、ヴィレナは未婚者だもん。

 大丈夫よねッ!


 返ってきたヴァレリオさんは右頬をリンドラさんに叩かれて腫れあがっていたけど、リンドラさんの気持ちも分からなくない。

 旦那と結婚する三日前に「やっぱり違う人と結婚します!」って言われたらメッタメタにするかも。


 無事(?)に結婚式は終わり、後日ウィリアムに報告すると帰ってきた返事の最初は

 「人間の所に侵入しろとは言ったが、そこまでじゃなくてもよかったぞ? というか、義兄さんに伝えて大丈夫か?」

 だった。

 「説得しといて?」が返事でいいよね。


 コトノハの弟への扱いが雑なのは遺伝だった。

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