6.魔物にも感情があるのです。それは延々召喚も同じです。
人にはわからないことがあります。
大人も子供も同じです。
私の分からないことの一つとして約一ヶ月投稿が開くことです。
「答えは分かります。
それは書かないからです。」←誰?
そうではなく、宿題と同じでやる気が出ないのはなぜかは分からないです。
「それもそうなのだけど……」
少し悲しそうな眼をする叔母さま。
四人を抱きしめて言う。
「もう大人とはいえ、子供を心配するのが大半の親だと思うよ。別にあなた達のおばあさまは兄さまにしか興味がなかった大半の親じゃない方だったけど。」
『あなた達のおばあさま』とはつまり、ヴェレナ叔母さま……ちがうヴィシェリアさんのお母さんはヴィシェリアさんのお兄さん。つまり魔王にしか興味がなかった。
よく読む異世界物のお話にあるような期待される天才姉妹と落ちこぼれの自分のお話。
でも、天才姉妹は自分をいじめてくる~みたいなものか。
「ソフィアちゃん。連れ去られて来たって言うのは謝るわ。私に相談せずにウィリアムが人質にとるんだもの。」
「……最初は驚いた。でも……」
ソフィアが頬を赤らめた後、ヴィシェリアを手招きする。
「?」
ヴィシェリアはよく分からないもののソフィアの口に耳を近づける。
「好きな人で来ちゃったから。」
「うそ⁉」
その声はヴィシェリアさんのものではなくコトノハさんのもの。
「ソフィアさま、今夜わたくしの部屋に来ていただけません⁉」
「「?」」
突然のコトノハさんの反応にレイジとリジュはハテナだ。
「あらら。そういう話はコトノハは大好物なのよ。」
「夜にレイジを迎えに使わすのでぜひいらしてください‼わたくし、この後負傷した物を癒しに行かなければならないので、これにて。母さまもいらしてください‼」
あれ?レイジの方がお兄ちゃんのはずだよね?
っていうか、だいぶ小さな声でしゃべったのに聞こえてたの⁉
「コトノハは延々召喚詩と似た延々召喚精。精霊のような魔物。コトノハは音の延々召喚精だから聞こえちゃったのね。」
「精霊って神族が使わすって伝えられてますよね?いるかどうかわからない神族が仕えるさらに分からない精霊がなぜ召喚されて。しかも魔物って……。」
「そうね。人間界は神族をおとぎ話、童話にされているわね。でも実際に存在するのよ。魔族とは犬猿の仲だけど。神族ったら人間にわずかに支援してるのよね~。」
支援……?
そんなものは見たことないし、感じたこともない。
「こっちから観たら圧倒的にそっちのが有利。前までは訳もわからなかったけど、潜入してみてわかったわ。騎士団で言うなら騎士団長のハルディン、副団長のアレン、大将のカイドウ他にもいるけどその辺全員聖霊よ。」
「ハルディンさま、アレンさま、カイドウさまが全員精霊さま………?」
今まで童話で聞いていた精霊さまがそんな身近に……。
「そう。実際神族がそちらに出向くのはなかなかいないけど、いないわけじゃないわよ。精霊は気が付かなかったけど、神族はさすがに私に気が付いてね。まあ、ニコニコはしてたけど、どうもピリピリした雰囲気の人は神族ね。」
「じゃあ侍女長のマシェリナは神族?」
あの二人が一緒にいるときは写真で見れば仲いいように見えるかもしれない。
けど、実際その場にいるとビシビシと肌に感じる喧嘩の最中のような雰囲気。
言われてみれば仲が悪い。
「正解。立場上仲良くしなきゃいけないから笑顔貼り付けてたけど、よく考えたら神族も同じで魔族や人間と似てるのかもね。もうちょっと技術を高めて天界に潜入してもいいのかもね。ソフィアちゃんも一緒に。」
「私が?」
「母上。」
ユウシさんがヴィシェリアさんを止めに入る。
「あ。ごめん。ユウシが先だった。」
ユウシさんと何か約束があった?
「……そろそろウィリアムが来そうだから、ソフィアちゃんは帰った方がいいわ。」
ヴィシェリアさんが扉を開ける。
「一人で帰れる?」
「大丈夫です。」
「くれぐれも……見つからないように気を付けてね。」
「はい………?」
魔物には見つからないように気を付けるつもりだが、ヴィシェリアさんの言い方だと別の何かに「見つからないように」と言っているように聞こえる。
「じゃあまた夜に。」
「ああ、ごめんなぁ。ユウシが先やったなぁ。」
↑のセリフ、ヴィシェリアさんの「あ。ごめん。ユウシが先だった。」を書く前に書いたものです。
このセリフを書く前に「モクモクれん」さま原作の「光が死んだ夏」という作品をアニメで見て、その後に漫画で読んでたので、こうなりました。
母が関西の人なので余計になっちゃいましたね( ˊᵕˋ ;)
文字数が足らなかったのでオマケです。( ´∀` )
~過去編1 ヴィシェリアと姫の叔父が出会ったきっかけ~ 視点:ヴィシェリア
「思ったよりも空気がきれいなのね~……。」
私は魔王の妹ヴィシェリア。
今は敵の人間界に潜入一日目。
ヴィシェリアではなく十七歳の田舎娘、ヴィレナとして敵の弱みなんかを探しに来た。
もちろん危険は伴うが、魔王、ウィリアムの命と変装できるほどの魔力の関係で私が来ることになった。
かなりこう難易度な魔法だが、姿を変える魔法はある。
というか、作り出した。
私は魔法が好きだ。
どうとでもなるその未知の発見や、できないことができるようになる心が躍るような楽しさがたまらない。
その魔法で漆黒の長い髪は銀髪の髪に。
黒に近い赤色の瞳は青みがかった紫の目に。
角や牙はなくなる代わりに、魔物特有の特徴である毒々しい魔力を人間に寄せたから、完ぺきに人間だ。
今は草っぱらで人間界を楽しんでいる。
敵国とはいえ、空気は澄んでいて、綺麗な風が飛んでくるこの世界を楽しまなくてどうする。
「お姉ちゃん!一緒に遊ぼか!」
近くにいた四歳ぐらいの子供が話しかけてくる。
「いいよ~。」
敵国の子供とは言えど可愛いなぁ~。
見た目はリュジューより上ぐらいか。
「お名前は?」
「ココ。お姉さんは?」
「ヴィレナよ。よろしくね。」
「ヴィレナ?じゃあレーナやな。シロツメクサで冠をいっぱい作るから手伝って。」
「わかったわ。どうやって作るの?」
「そんなことも知らへんの?こうやって作るんやよ。」
+*+
「いっぱいできた!」
二時間ほど経ってできた数は十個。
「レーナ、作るのだんだん早よなって、しかも上手になって来とったね。」
「ありがとう。」
時間は二時ごろ。
お昼も食べていなかったので、お腹はペコペコだ。
途中でココちゃんのお腹が鳴っていたから、たぶんお昼を食べていない。
「ところでココちゃん。シロツメクサ探しでだいぶ遠くに来たけど、これはどっちに進めばココちゃんのおうちがあるの?」
「え?それはあっちにお城を守る城壁があるからあっちに……アレ?」
ココちゃんは言語的にサンシャ国の子だ。というか、遠くて見えないが、マナルート国の城壁はおそらく真反対。
このまま泊まるところがないと言ってサンシャ国に侵入してもいいが、目的はマナルート国。
かなり遠いから閉門する時間に間に合わせるために余裕も乗ってそろそろ出発しないとまずいだろう。
だけど、ココちゃんをここに置いていくわけにはいかないし、連れて行くわけにもいかない。
「うっ……うわぁ~ん!」
「ココちゃん……。」
「お家がわからんくなっちゃったよ~~~!」
迷子になったココちゃんは泣き出してしまった。
正直私の方向もあっているかは怪しい。
下手に歩いても変なところにつくだけ。
「ココちゃん。とりあえず、ココちゃんが住む国を教えて?」
「ヒック……サ……サンシャ……国。」
ビンゴ。
……いや、当たっていたとはいえ方角が分からなかったら帰れない。
いいや!弱気なこと言ってられるか!
「ココちゃん。今から私はマナルート国に行くの。こんな草っぱらにいるより、マナルート国に行って、そこからサンシャ国に向かう荷物とかと一緒に運んでもらおう。しばらく家族に会えなくなるかもしれないけどいい?」
「………うん。お家に帰れるんなら。」
「泣いていたら可愛い顔が台無しよ。」
ココちゃんをおんぶする。
「レーナ、あったかい。お母さんみたい。」
その言葉を聞いてヴィレナはリュジューを思い出す。
「歌うたっていい?」
「お歌?」
「そう。子守歌。知らない言語かもだけど、気にしないでね。>Н'е~бо ста~нови…ца я…рко-кр…асным.< Вс'е д…ет'и> и~дут д~ом~ой.< Д~авай…те> вс~е во~зь~м'ём~ся за ~рук~и… …и п~ойд…ём до~м~ой вп~е~рёд~ вм'ест'е.」
いつもリュジューと一緒に歌っていた曲。
言語は獣人の使う言語。
最近は忙しくてリュジューと一緒に遊べてなかったっけ。
ウイス(ヴィシェリアの旦那)にリュジューを預けっぱなしで大丈夫かな……。
「なあ、あの真っ白な馬車は何なん?」
「マナルート国の王様とかが乗ってる馬車ね。」
「なんか、馬車に乗っ取った人、こっちに向かって来とらん?」
確かに、王族っぽい恰好をしたヴィレナと同い年ぐらいの男性が早歩きで歩いてきているけど。
「だいぶ遠くだし、違うんじゃない?」
+十秒後+
「やっぱり近づいて来とらん?」
「まっさかぁ。」
+またまた十秒後+
「やっぱり近づいて来とるって!」
「うん…そんな感じするね。」
+さらに五秒後+
「結婚してください‼」
「「……………え?」」
その人は近づいて来ていた。
しかも私の目の前に立って。
二人そろって声をあげた後に二人であたりをキョロキョロする。
もちろんあたりにはその男性と私とココちゃんだけ。
「「……え?」」
それもあって二人で声を出す。
「失礼。」
するとその方は片膝ついて小さな箱を開ける。
「俺と、生涯を共にしていただきたい。」
その箱からは指輪が輝いている。
それに先ほどとはまた違った真面目さ真剣さが伝わるプロポーズ。
その瞳は本気だと語っている。
「……私?」
私の正体を知ってのプロポーズ?
どっからどう見ても人間だし、馬車は人間のだし、使えている方も人間。
というか、私の正体知っているなら相手がいるって知っているはず。
じゃあ初めましてって事?
単なるヤバいやつ⁉
ヤバそうな人なのでココちゃんを後ろに下がらせる。
「あなた以外に誰が。」
「…ココちゃん。」
「私が女児に手を出す変態に?」
「……失礼ながら。」
ガツンッ
「わたくしの主人が大ッ変ッご迷惑を‼‼‼」
この方の執事っぽいけど、どうも幼馴染っぽい態度で私に謝ってくる。
というか、主人に対して殴っている。
主人を殴っても立場が下がらないほど主人を信頼しているのか、私を思って殴っているのか。
どちらにせよ簡単にできる事ではない。
「いったいなぁ……エミリオ!人のプロポーズ中に邪魔するなよ‼」
「今から三日後に式をあげる婚約者に会いに行くあなたが‼初対面の相手にプロポーズなんてありえるか‼」
「リンドラに対してプロポーズもしてなければ、アイツはただの友達だから。お兄は好きな人出来たらその人と結婚していいって言ってたし。たとえそれが式上げる三日前と言っても有効だろ⁉」
なんか……エミリオさん?は苦労人な感じがするわね。
「それに相手は子持ちだろ⁉いい加減にしろよ‼」
「ウグッ。それは…その………。」
痛いとこ疲れたように口ごもる。
良し。
このままならこの人から逃れられるかも!
「ウチはレーナの子供とちゃうで。レーナは友達や。」
ココちゃん⁉
ぱあっと顔が明るくなる。
「よしッ今から式だ‼」
「はあ⁉リンドラさまは⁉」
「はあ?そんなもの白紙白紙。」
この人について行けば、マナルート国には簡単に入れるだろう。
だが、ある日ポイッと捨てられそうな気が……。
とりあえず逃げようとココちゃんを持ち上げると、彼の手がスッと伸びてきて、ココちゃんがお腹に乗った状態でお姫様抱っこをされた。
「よしッ城に戻るのだ!今すぐ式の準備をしろ‼リンドラには白紙になったと伝えるのだぞ‼」
「オマッ…ヴァレリオ‼」
エミリオさんがヴァレリオさん?を止めに入る。
「今から式は無理だ。せめて明日になる。リンドラさまにはお前がリンドラさま家族に直接謝りに行け。」
「……そうか。」
さっきのテンションの高さはなくなり、少し冷静になった。
「ハァ…………。」
私とココちゃんを下ろしてから
「名前は?」
と聞く。
「…………ヴィレナです。」
「ヴィレナか。いい名前だ。ヴィレナ。すまないが、リオと少し待っていてくれ。俺は婚約者に白紙になったことを謝りに行く。一時間後ぐらいに戻るから、城で待っていてくれ。」
そう言った後、エミリオさんに
「リオは二人を連れて城に戻ってろ~‼‼」
元気を取り戻したかのように走って馬車に乗り込みさっさと出発していった。
いや、(プロポーズの)返事をした記憶はないが⁉
「申し訳ありません。お時間あれば、城について来ていただければと………バカ主人の話を含めて話させていただきたいです。」