第十六話 愛の鞭の特別合同練習 前編
前回までのあらすじ
貫太郎たちは海風学園高校に入学後、厳しい水泳部の入部試験を乗り越え、正式な部員として新生活をスタートさせた。新人戦が近づく中、三島アリスが水泳部への入部を志願したが、監督の恵美はアリスの正式入部は新人戦での活躍を見た上で判断すると通告。アリスの仮入部が決まり、新人戦の競技種目が確定した。貫太郎達は新人戦に備えて海での合同練習を計画し、島宮県内の海水浴場を貸し切り、各々が自身の弱点と向き合う練習を始めた。貫太郎達は男女混合で練習し、互いに助け合いながら泳力を向上させ、新人戦への決意を新たにし、さらなる努力を誓った。新人戦当日、アリスの活躍でチームの士気を上がり、各個人の種目でも、貫太郎達新入生部員が活躍し、激闘の末に海風学園高校水泳部が優勝して、アリスは正式に水泳部への入部を認められて、水泳部に新たな仲間が加わるのだった。新人戦の勝利の余韻がまだプールサイドに漂う中、海風学園の水泳部には新たな目標に向けた緊張感が満ちていた。そう、県大会の出場種目を発表され、チームの戦略を練られたのです。貫太郎たちはそれぞれの強みを活かし、全国制覇を目指す決意を固める。新たな挑戦が始まる中、チームの一体感と個々の成長が描かれ、次のステップへの準備が始まっていた。体育祭では、貫太郎達の活躍で赤団が総合優勝した。そして、体育祭が終わった後に控えている貫太郎達の次なる試練は夏の高校総体である。県大会を前に貫太郎達は厳しい練習に励み、やがて強豪校との特別合同練習を迎えるのだった。
登場人物:
川名貫太郎:主人公。自由形専門。元々は小中学校の水泳部で全国優勝の経験を持つが、海風学園高校での練習を通して、天狗になったと気付かされる。国語と英語と歴史など文系科目が得意。和田秀樹の著書の勉強法を駆使して勉強中。
佐藤健太:貫太郎のクラスメイト。バタフライ専門。水泳とテレビゲームが趣味で、部活動を楽しむタイプ。体育以外の科目は苦手であり、特に国語(主に古文)と英語(主に分詞構文)が苦手。貫太郎に助けを求めることが多い。
山本亮:貫太郎の友人。背泳ぎ専門。科学の本を読むのが好きで、理数系が得意。逆に国語と歴史は苦手だが、貫太郎から歴史の学び方を教わり、国語と歴史を勉強し易くなる。逆に数学が苦手な貫太郎には綾乃と共に勉強を教える。
高木拓也:平泳ぎ専門。アニメと漫画のオタクで、1960年代から2010年代までの作品に精通。特にドラゴンボール、聖闘士星矢、ガンダム、エヴァンゲリオンが好き。主要科目の国語と数学と英語が苦手で、いつも貫太郎や綾乃に助けを求める。
三島アリス:貫太郎の同級生。自由形専門。国内でも名の知れた大企業「三島コーポレーション」の社長令嬢。幼い頃から厳しい教育を受けてきたが、その中で水泳だけは自分自身で選んだ趣味であり、全中水泳大会で個人の部で優勝経験を持つ。とある事がきっかけで貫太郎に恋心を抱き、新人戦に飛び入り参加して、遅れながらも水泳部に入部を認められる。
中村美枝子:平泳ぎ専門。ファッション愛好者で、将来は高級ブランドのバッグを手に入れるのが夢。国語と英語が苦手で、授業後に貫太郎に教えてもらうことが多い。貫太郎に想いを寄せており、アリスとは貫太郎を巡る恋敵ではあるが、喧嘩するほど仲が良い友人関係でもある。
小林綾乃:背泳ぎ専門。クラシック音楽や美術が趣味で、ベートーヴェンやバッハを愛する。水泳のスポーツ推薦で入学し、成績もトップ。英語は得意だが、それでも理解できない箇所は貫太郎に教えて貰う。数学は得意で苦手な貫太郎に教えることが多い。貫太郎に想いを寄せており、アリスとは貫太郎を巡る恋敵の関係ではあるが、時には同じ金持ちの娘同士と言うことで助け合うこともある。
斉藤南:バタフライ専門。スキューバダイビングが趣味で、両親が海洋生物学者。生物が得意だが、古典や歴史に苦労しており、貫太郎にこれらの科目について教えを乞う。貫太郎に想いを寄せており、アリスとは貫太郎を巡る恋敵ではあるが、互いに泳ぎの速さを認め合っている好敵手の関係でもある。
松澤恵美:28歳。清楚美人教師。海風学園高校卒業生かつ元水泳部キャプテン。パリ大学修士課程を中退し、公民・世界史教員兼水泳部顧問として帰国。平時はお淑やかだが、部活動では鬼教官に変身。ビキニやハイレグ型競泳水着を着用し、すぐにプールサイドに向かえるように常に準備している。
高橋美咲:水泳部の主将。厳しい性格で、恵美のやり方を引き継いでいる。部員からは恐れられつつも尊敬される存在。彼女自身は全教科の成績は優秀で、国公立大学の教育学部志望で高校教師を目指している。
上原美玲:水泳部の副キャプテン。美咲と正反対の優しい性格で、部員を温かく支える。そのため、「鬼の美咲、仏の美玲」と形容される。彼女自身も成績優秀であり、国公立大学の法学部志望で弁護士を目指している。
大和田美奈: 三年生。平泳ぎ専門。アニメ好きで『キャンディ・キャンディ』や『未来少年コナン』を好む。映画鑑賞も趣味で、部活動の合間にはアニメや映画の話題で盛り上がる。アニメの話題を使ってアニメオタクの拓也を指導する。彼女は勉強は苦手だが、部活には熱心に打ち込む。声優志望であり、専門学校への入学を目指す。話し方は関西弁。
中島さくら: 三年生。背泳ぎ担当。ドラマチックなアニメが好きで、特に『ガラスの仮面』や『フルーツバスケット』を愛する。日記に自分の思いを書き留めることで、心の整理をしている。彼女は成績優秀で、国公立大学の医学部志望で、内科医を目指している。
山口健: 三年生。平泳ぎ専門。『マジンガーZ』や『機動戦士ガンダム』のファン。模型作りが趣味で、部室ではプラモデルを組み立てる姿がよく見られる。元より就職志望であり、電気工事士の国家資格の取得を目指している。
森川ユウ: 二年生。自由形担当。『セーラームーン』が好きで、ファッションや写真撮影が趣味。大会や合宿では、みんなが写真に収まるのを楽しみにしている。将来の夢はファッションモデルになることで、ファッションに関する知識を猛勉強中。
田辺明美: 二年生。個人メドレー。『ドラゴンボール』や『NARUTO』を好む。スポーツ観戦、特にバスケットボールが好きで、部活動後には試合の話で盛り上がる。元プロレスラーの両親に似て気が強く、将来の水泳部キャプテン候補とも噂されている。
小林咲: 二年生。綾乃の姉。バタフライ担当。『エヴァンゲリオン』や『けいおん!』が好きで、音楽鑑賞とギター演奏が趣味。妹とは違い、クラシックでは無く洋楽のロックンロールを好む。ビートルズやドアーズが好み。将来の夢はアイドル歌手であり、往年のアイドル歌手が歌った歌謡曲をカヴァーして歌の練習している。
石田祐介: 二年生。背泳ぎ。『攻殻機動隊』や『デスノート』のファン。プログラミングと電子工作が好きで、部活動のスピーカーなどを自分で作ったことがある。父がエンジニアであることから、IT関係の就職を志望している。
高田光: 二年生。平泳ぎ。和風が好みであるため、アニメでも『銀魂』や『BLEACH』など和風要素のあるものを好む。実家が割烹居酒屋であり、和食が得意料理となっている。一人前の料理人を目指すべく、父の旧友が経営する寿司屋と天麩羅屋のバイトを掛け持ちして修行している。部活動の合宿では料理担当として活躍する。
プロローグ
朝の光がまだ弱々しく照らす中、貫太郎は自転車で通学路を走っていた。彼にとって、この朝は特別な意味を持っていた。今日は、明鏡学院高校、星光学園高校、そして青葉大学附属高校と特別合同練習を行う日だった。これらの学校は、新人戦でも競い合った強豪校であり、今日の練習は総体に備えるための重要なステップだった。
貫太郎の心は、昨日の疲れが完全に取れた爽やかさに満ちていた。新人戦での勝利とその後の厳しい練習を通じて、自分自身の成長を感じていたが、今日はその成長を試す絶好の機会だった。彼の目は、プールで待つ戦いへの期待と緊張感で輝いていた。
貫太郎: 「今日は強豪校と練習だから、気合い入れなきゃな。」
貫太郎は、自分に言い聞かせるように呟いた。昨夜は早めに自習を切り上げ、しっかりと睡眠を取っていた。その結果、今日の挑戦に備えるための最高のコンディションだった。
道中で、貫太郎は次々と友人たちと合流した。まずは、佐藤健太。彼の目元には、昨夜テレビゲームに没頭した証である隈がくっきり見えた。
健太: 「おはよう、貫太郎。昨日ゲームやりすぎた…。」
健太は、眠気との戦いの最中だと告白。貫太郎は、友人の姿に苦笑いを浮かべた。
貫太郎: 「大丈夫か? 今日は大事な練習日だぞ。」
貫太郎の言葉には、友人に対する心配と、今日の練習に集中するよう促す気持ちが込められていた。
次に合流したのは、山本亮。彼もまた、夜遅くまで自習していたらしく、眼鏡の下から見える目元も少し赤かった。
亮: 「昨日、理論をもう一度確認してたんだ。今日の練習に役立つと思って。」
亮は得意の理数系知識を水泳に応用するために勉強していたようだが、その結果は眠気との戦いだった。
貫太郎: 「理論は大事だけど、体を休めることも大事だからな。」
貫太郎は、友人の科学的なアプローチを評価しつつも、健康管理の重要性を諭した。
そして、高木拓也もやってきた。彼もまた、昨夜はアニメを見て過ごしたらしく、目の下には隈が見て取れた。
拓也: 「昨日のアニメ、めっちゃ面白かったんだよな…。でも、今日の練習に集中するよ。」
拓也は、自身の趣味と今日の練習のバランスを取ることに苦労している様子だった。
貫太郎: 「アニメもいいけど、今日は俺たちの戦いだからな。」
貫太郎は、拓也の趣味を尊重しつつも、今日の重要性を強調した。
対照的に、女子たちは規則正しい生活を送っていたようで、彼女たちは元気いっぱいだった。まずは中村美枝子が笑顔で合流。
美枝子: 「おはよう、みんないい顔してるね。今日は張り切るわよ!」
美枝子は、ファッション感覚で今日の練習に臨むつもりだと見て取れた。
続いて、小林綾乃がクラシック音楽の旋律を口ずさみながらやってきた。
綾乃: 「昨夜はベートーヴェンを聴いて、心を落ち着かせたから、今日は大丈夫。」
綾乃は、音楽で心を整え、練習に臨む準備ができていることを示した。
最後に、斉藤南がスキューバダイビングの話をしながら現れた。彼女の表情は、海での経験を今日の練習に活かしたいという意気込みに満ちていた。
南: 「海の感覚を忘れないように、今日も頑張るよ。」
南は、自然との一体感から得られる力を今日の練習に注ぎ込むつもりだと語った。
一同は、海風学園高校の屋内プールに到着した。プールサイドには、既に各校の選手たちが集まり始めていた。彼らの存在感は、貫太郎たちに緊張と興奮を同時に呼び起こした。
貫太郎: 「みんな、今日は俺たちの実力を試すチャンスだ。強豪校との練習で何かを学ぼう。」
貫太郎は、仲間たちに向けて声を張り上げ、今日の目的を再確認させた。彼のリーダーシップは、チーム全体の士気を高める力を持っていた。
健太: 「俺、眠気を吹き飛ばして全力で泳ぐよ。みんながんばろうぜ!」
健太は、睡眠不足を克服するための決意を表明した。彼の目には、まだ眠気が残っていたが、決意の光が見て取れた。
亮: 「科学的に分析しながら、今日の練習を活かす。理論と実践だ。」
亮は、今日の練習から得られるデータを最大限に活用すると言わんばかりに、自分の役割を強調した。
拓也: 「アニメキャラのように、今日は俺も飛躍する日だ。みんながんばれ!」
拓也は、自分の趣味から得たエネルギーを今日の練習にぶつけることを誓った。
女子たちもそれぞれの視点から今日の練習に臨む決意を語った。
美枝子: 「貫太郎もみんなも、今日は一緒に強くなろう。私もファッションの美しさで泳ぐわ!」
美枝子は、貫太郎への想いとチームの勝利への貢献を述べた。
綾乃: 「音楽のように、私たちの調和が今日の練習を成功させる。みんながんばろう。」
綾乃は、クラシック音楽の調和をチームワークに重ね合わせ、今日の練習に専念することを約束した。
南: 「海で培ったリズム感を今日も泳ぎに活かす。貫太郎、みんなと一緒に強くなるよ。」
南は、自然との共生から得た感覚を今日の練習に反映させることを目指した。
部員たちは、互いに励まし合い、緊張の中にも期待感を抱きながら、特別合同練習の開始を待っていた。各校の選手たちが集うプールサイドは、競争と友情が交錯する場所となり、海風学園の水泳部員たちは、今日の練習で自分たちの成長を証明しようとしていた。
シーン1: 特別合同練習開始
朝の光が海風学園高校の校門を照らす中、一台のフェラーリが滑らかに止まった。運転席から出てきたのは、アリスの専属執事で、彼がドアを開けると、そこから降りてきたのは三島アリスだった。高級車から降りる彼女の姿は、まるで映画のワンシーンのようだった。
アリス: 「おはよう、貫太郎さん。今日も一緒に頑張りましょうね。」
アリスは、貫太郎に向かって笑顔で挨拶し、まるで猫のように甘えるように近づいてきた。彼女の行動は、貫太郎への特別な想いを示していた。アリスは、貫太郎に軽く抱きつき、その愛情表現に貫太郎は少し照れた。
美枝子: (内心)「またアリスが貫太郎に…。でも、今日はチームワークが大事だから、我慢しないと。」
美枝子は、アリスの行動に内心では嫉妬を感じていたが、チームの結束のためにその感情を抑え込んだ。彼女の表情には、複雑な思いが交錯していた。
その時、慌ただしく屋内プールの入り口から小林咲が現れた。彼女は、寝坊したらしく息を切らしながら走ってくる。
綾乃: 「姉さん、また寝坊?」
綾乃は、咲の寝坊癖に呆れた表情を見せた。姉妹は容姿が似ているが、性格や趣味はまるで違っていた。綾乃はクラシック音楽が好きだが、咲はロックンロールが好みだった。
咲: 「ごめん、ごめん。ギターの練習が遅くなってさ…。今日は特別練習だから、絶対に遅刻したくなかったんだ。」
咲は、慌てながらも明るい声で弁解し、練習への意気込みを見せた。
そうして部員たちは、部活動のTシャツを脱いで、予め着替えておいた自分の大会用の競泳水着に着替えた。
全員が揃ったところで、監督の松澤恵美が水泳部のTシャツ姿で現れた。彼女は下にはズボンもスカートも何も穿いていないがTシャツのサイズが長すぎて、下半身がよく見えず貫太郎は彼女が下に何を着ているのか気になって仕方なかった。
貫太郎(心の中):「恵美先生、ズボンもスカートも穿いてないけど、半袖のポロシャツが長すぎて下半身部分が隠れてよく見えないな。もしかして、いつも通り水着を着ているのかな?」
恵美: 「私たちは本番で絶対に勝つ。それが今日の目的だ。みんな、気合いを入れなさい!」
恵美は、部員たちに向けて声を張り上げ、全員の士気を一気に高めた。彼女の言葉は、部員たちにエネルギーを注ぎ込み、今日の練習への決意を新たにさせた。
貫太郎: 「みんないい? 今日は強豪校と練習するんだ。俺たちの力を示すチャンスだ。」
貫太郎も、恵美の言葉に続く形で、リーダーシップを発揮しようとした。彼の目には、全国大会への決意が宿っていた。
健太: 「俺も、今日はテレビゲームの主人公みたいに頑張るよ!」
健太は、昨日の疲れを吹き飛ばすかのように、今日の練習に全力で臨む決意を述べた。
亮: 「科学的に分析しながら、今日の練習を活かす。みんなで成長しよう。」
亮は、科学的な知識を活用し、今日の練習で得られるデータを最大限に利用することを誓った。
拓也: 「俺たちの小宇宙を出し切る日だ。アニメのキャラみたいに全力で!」
拓也は、アニメから得たパワーを今日の練習にぶつけることを宣言した。
女子部員たちも、それぞれの想いを胸に練習に臨む決意を固めた。
アリス「貫太郎さんのためならば、例え火の中、水の中どこへだってついて行きますわ!」
アリスは、貫太郎への恋心をベースに練習に全力を注ぐことを誓った。
美枝子: 「貫太郎の隣で泳げるなら、どんな練習でも頑張るわ。」
美枝子は、貫太郎への想いとチームへの貢献を再確認し、練習に集中することを決めた。
綾乃: 「音楽のように、今日もチームの調和を保って泳ぐわ。」
綾乃は、音楽の美しさとチームの和を重ね合わせ、今日の練習に挑むことを誓った。
南: 「今日も海で感じたリズムを泳ぎに活かすよ。みんながんばろう。」
南は、スキューバダイビングで得た感覚を今日の練習に反映させることを目指した。
今日の合同練習は、単なる練習ではなく、各々の成長とチームの結束を証明する場となることを、誰もが心に刻んでいた。
シーン2: 個別指導
太陽が高く昇り、光がプールサイドを眩しく照らす中、海風学園高校水泳部は勝つ気で特別合同練習に臨んでいた。ここには、強豪校の明鏡学院、星光学園、青葉大学附属高校の選手たちがおり、緊張感が漂っていた。プールは、各校のカラフルな水着で賑わい、競争の予感が濃厚に感じられた。
貫太郎: 「これが俺たちの実力を試すチャンスだ。みんな、自分の力を信じて、ここで磨き上げよう。」
貫太郎は、ライバル校の選手と並ぶ前に全員に声をかける。彼の心の中では、自分自身の成長だけでなく、チーム全体の成長を願っていた。
また、各学校ごとに個別練習が行われ、海風学園高校水泳部では先輩方が講師として、水泳の指導を行っていた。
・健太と南のバタフライ指導
大和田美奈: 「さあ、健太、南、今日は新しいチャレンジだよ。バタフライ泳法のリズム感を磨くんだ。みんな、『キャンディ・キャンディ』知ってるよね?あの曲のリズムを思い出して、泳ぎに取り入れてみよう。」
美奈の声は明るく、彼女の目は輝いていた。アニメの音楽を指導に取り入れるというアイデアは、彼女にとっては自然なことだった。彼女はプールサイドに座り、古いカセットテープを取り出す。テープを巻き戻す音が水面に反響し、すぐに「キャンディ・キャンディ」の軽快なメロディーが流れ始めた。
健太: 「『キャンディ・キャンディ』か…。確かに、あのリズムは覚えてる。でも、泳ぎにどうやって取り入れればいいんだろう?」
健太は少し戸惑いながらも、テレビゲームで培ったリズム感を思い出そうとしていた。彼はゲームでリズムに合わせて動くことを学んでいたが、それを泳ぎに応用するのは初めての経験だった。
南: 「リズムって、泳ぐときの波動みたいなものだね。海で感じるリズムを思い出してみるよ。」
南はスキューバダイビングで海のリズムを感じることを楽しんでいた。その感覚をバタフライに活かそうと考え、美奈の提案に興味を示した。
大和田美奈: 「みんな、この曲はかなり速いリズムだから、バタフライを速く泳ぐ練習にぴったりだよ。」
美奈が再びカセットテープを変えると、より軽快でパワフルなリズムが泳者たちを包んだ。健太と南は、美奈の指示に従い、リズムに合わせて一斉にスタートした。
健太: 「このリズム、結構難しいけど、楽しい!」
健太は、速いリズムに戸惑いながらも、次第にそのリズムに乗り始めた。水を切る音と音楽がシンクロし、彼のリズム感が向上していくのを感じていた。
南: 「海で感じる波のリズムみたいだね。バタフライもリズムを感じて、もっと速く泳げる気がする。」
南は、リズム感を自分のものにするにつれて、バタフライのストロークがよりダイナミックで効率的になっていった。彼女の体全体が音楽に合わせて動き、水面から浮かび上がる姿はまるでダンスのようだった。
小林咲: 「私も一緒にやろう。ビートルズの『Yellow Submarine』を使ってみるよ。さあ、みんなで一緒に歌いながら泳ごう!」
咲は、彼女の声に力を込めて歌い始めた。彼女の英語の発音は完璧ではなく、少し訛りが混じっていたが、それが逆に親近感を生んでいた。『Yellow Submarine』のリズムは、力強く、プール全体に響き渡る。
健太: 「ビートルズの曲で泳ぐって、面白いな。リズムがいい感じだ。」
健太は、咲の歌声に合わせて腕を動かし始めた。ビートルズの音楽は彼にとって新鮮で、リズムに合わせて泳ぐということが、思った以上に楽しかった。
南: 「これ、うちの爺ちゃんと婆ちゃんも好きな曲だよ。ビートルズのレコード全部持ってるんだ。私も自然とリズムが分かる気がする。」
南は、咲の指導法にすぐに慣れ、ビートルズのリズムに合わせてストロークを刻むことを楽しんでいた。彼女の動きは滑らかで、まるで海の中を泳ぐかのように自然だった。
小林咲: 「次は、『Help』でバタフライを速く泳ぐ練習をしよう。この曲のリズム感は、助けを求めるように、もっと速く、もっと力強く泳ぐことに繋がるよ。」
咲が歌い始めると、彼女の声は力強く、プール全体に響き渡った。健太と南は、『Help』のリズムに合わせて、より速く、より強くストロークを刻んでいった。
健太: 「ビートルズの曲って、泳ぎに合うんだな。リズムに合わせて泳ぐと、自然と速くなる。」
南: 「本当にそうだね。ビートルズの音楽で泳ぐのは、リラックスできるし、集中力も高まる気がする。」
この指導法は、ただ泳ぐ技術だけではなく、音楽を通じてリズム感や集中力を養う重要性も教えていた。健太と南は、音楽のリズムに合わせて泳ぐことで、自分のペースを見つけ、より効果的にバタフライをマスターしていった。
美奈と咲の指導は、ただのスイミングレッスンではなく、一種の音楽と運動の融合体験だった。健太と南は、音楽とリズムが身体にどれだけ影響を与えるかを実感し、泳ぐことに対する新たな視点を得た。それは、彼らにとって、ただ泳ぐ技術を向上させるだけでなく、人生そのものを楽しむための新しい方法を見つけたようなものだった。
このように、健太と南のバタフライ指導は、音楽とリズムを取り入れたユニークなアプローチによって、彼らの泳ぎだけでなく、彼らの生活全体への理解も深まった。
・亮と綾乃の背泳ぎ指導
中島さくら: 「亮、綾乃、背泳ぎはね、バランスが全てなの。『ガラスの仮面』のマヤが舞台で完璧なバランスを保つように、水面でも同じことを目指してほしいわ。」
さくらがそう言いながら、彼女自身が背泳ぎを始めた。彼女のフォームは完璧で、水面にほとんど波紋を立てない。まるで静止画のように美しいその泳ぎは、亮と綾乃を圧倒した。
亮: 「すごい…。全国記録クラスだって聞いてたけど、信じられない。」
綾乃: 「本当に美しい…。まるで芸術のようね。」
さくらの泳ぎは、ただ水を泳ぐという行為を超越し、一種のパフォーマンス芸術に見えた。彼女は一度プールを横断し、立ち上がると、笑顔で二人を見つめた。
石田祐介: 「亮、理系男子同士だから分かるだろ?背泳ぎは物理の問題だよ。水を押し出す角度と力、これが泳ぎの効率を決めるんだ。」
祐介は、理論的な視点から背泳ぎを解説し始めた。彼は亮の肩に手を置き、プールに浮かせる。
祐介: 「まずは、浮力の法則を実感してみなよ。浮力は水の抵抗とバランスを取ってくれる。お前の体が水面に浮くように、背中を使って水を押し出すんだ。」
亮は祐介の言葉に従い、自分の背中を水面に押し当てた。水の浮力が彼の体を支え、まるで空気中に浮いているかのような感覚が得られた。
亮: 「なるほど、これが浮力か…。物理の勉強が役立つとは思わなかったよ。」
亮は、自分の体を水面に浮かせながら、背泳ぎのフォームを試みた。祐介はその動きを観察し、細かい修正を加えていった。
祐介: 「そう、そうだ。肩の角度を少しだけ上げて、腕の動きを滑らかに。物理的に見ても、これが最も抵抗が少ない。」
一方、さくらは綾乃の指導に専念していた。
さくら: 「綾乃、背泳ぎは音楽のようなもの。自分のリズムを見つけて、それに合わせて泳ぐのよ。ベートーヴェンの『田園』みたいに、自然と一体化した美しさを目指して。」
さくらは綾乃に、自分のフォームを真似させる。綾乃はさくらの動きを真剣に見つめ、自分の体をその形に合わせようと試みた。
綾乃: 「背泳ぎは見るより、やる方が難しいですね…。」
さくら: 「見よう見まねでもいいのよ。最初はね。でも、次第に自分のリズムを見つけて、身体全体で表現するの。それが芸術的な背泳ぎへの道よ。」
綾乃はさくらの指導に従い、背泳ぎのフォームを試みた。彼女はベートーヴェンの「田園」の曲調を思い浮かべ、ゆっくりと、しかし確実に水面を泳ぎ始めた。
綾乃: 「音楽を感じながら泳ぐと、自然とリズムができてくる気がします。」
さくらは綾乃のフォームを評価しながらも、アドバイスを惜しまなかった。
さくら: 「いい感じよ、綾乃。でも、もう少し背中をまっすぐに。そうすれば、水面に沿ってより美しく泳げるわ。」
亮は祐介から学んだ物理の法則を活用しながら、背泳ぎの効率を追求していた。
亮: 「力のベクトルを考えながら泳ぐと、確かに速く、楽に進む気がする。」
祐介は亮の進歩を認め、さらに深い理論を教え込んだ。
祐介: 「次は、水の抵抗と浮力をどうバランスさせるか、もう少し詳しく考えてみよう。物理の問題を解くように、泳ぎを最適化するんだ。」
亮は祐介の指導を受けることで、ただ泳ぐだけでなく、泳ぎそのものを科学的に解析する楽しみを見つけた。亮は理系志望で、特に物理が得意だったため、この新しいアプローチは彼にとって非常に興味深かった。
亮: 「物理って、日常生活にもこんなに役立つんだな。来年からは生物と物理を選ぶけど、物理で学んだことを泳ぎに生かせるのが楽しみだ。」
綾乃はさくらの芸術的な指導を受けて、背泳ぎを一種の表現行為として捉え直していた。
綾乃: 「背泳ぎも音楽も、心を込めてやることで美しさが生まれるんですね。さくらさんのフォームを見て、私ももっと美しく泳げるように努力します。」
時間が経つにつれて、亮と綾乃はそれぞれ異なるアプローチで背泳ぎの基礎を学び、自分のスタイルを見つけていった。亮は物理の法則を活用し、綾乃は音楽のリズム感を泳ぎに取り入れることで、背泳ぎの美しさと効率性を追求した。
さくら: 「今日の練習はとても良かったわ。亮、綾乃、どちらも素晴らしい進歩を見せてくれたね。背泳ぎはまだまだ学ぶことが多いけど、今日の経験がこれからも役立つわよ。」
祐介: 「亮、理論を理解した上で泳げるようになったね。これからも理論と実践を結びつけて、もっと速く、効率的に泳げるようになろう。」
この指導は、単に泳ぐ技術を教えるだけでなく、亮と綾乃に新たな視点と情熱を与えた。亮は科学的な思考を、綾乃は芸術的な表現をそれぞれの背泳ぎに取り入れ、自己表現の一環として泳ぎを楽しむようになった。この経験は彼らの泳ぎだけでなく、生活全体への理解を深め、自身の可能性を広げるきっかけとなった。
・拓也と美枝子の平泳ぎ指導
山口健: 「拓也、平泳ぎのキモは安定性だ。スーパーロボットの飛行みたいに、揺れずに進むことが重要なんだ。『マジンガーZ』で言えば、絶対に揺れないで泳ぐんだ!」
健の声は力強く、プールサイドに響いた。彼は拓也の好きなアニメを引き合いに出し、アニメの世界観を泳ぎに結びつける指導法を採用していた。健自身、ロボットアニメの熱烈なファンで、特にマジンガーZやガンダムの知識は豊富だった。
拓也: 「スーパーロボットの飛行か…。わかった、健先輩。俺も揺れないように泳ぎます!」
拓也は、健の言葉に触発され、自身の好きなロボットアニメの飛行シーンを思い浮かべながら、平泳ぎの練習を始めた。彼はアニメのダイナミックな動きを泳ぎに取り入れようと、真剣な表情で水面を進んでいった。
健: 「いいね、拓也。次は、蹴伸びでタイムを伸ばすコツだ。ウルトラマンの飛行を想像してみな。」
健は、拓也が特撮オタクであることを知っていたため、ウルトラマンを例に挙げた。
健:「平泳ぎの体勢は両腕を水平にするところがあるよな。これはウルトラマンティガがゼペリオン光線を発動するときの体勢を真似るのもコツになるぞ。では、一緒にゼペリオン光線の体勢を真似てみようぜ。」
彼は拓也と一緒に、ゼペリオン光線を発動するようなポーズを真似た。両腕を水平に広げ、L字に組む形は、何かしら平泳ぎに通じるものがあった。
拓也: 「なるほど、ウルトラマンティガだと…。これ、平泳ぎの基礎に結びつくんだな。」
拓也は、そのポーズを泳ぎに取り入れ、安定した平泳ぎを試みた。彼は、特撮の世界観を活かして、より効率的に水を蹴り出す感覚を得た。
一方、プールの反対側では、高田光が美枝子に対して指導を開始していた。
高田光: 「美枝子ちゃん、平泳ぎは和食と同じで、美しさが命だ。美しく泳ぐことがスピードにつながるんだよ。」
光は美枝子のファッションセンスに合わせ、平泳ぎの美しさを指導していた。彼は一瞬美枝子の姿に動揺したが、すぐにプロ意識を取り戻し、彼女の才能を引き出すために和食の美学を引き合いに出した。
美枝子: 「美しさがスピードにつながるんですね…。」
美枝子は、光の指導に感銘を受け、ファッションの美学を泳ぎに取り入れることに心を決めた。彼女は、自身の姿勢や動きを、美しいと感じる形に調整し始めた。
光: 「美しい見た目だけじゃなく、心の美しさも重要だよ。和食にも同じことが言える。料理の見た目だけでなく、おいしさが重要だ。おいしいとは、『味が美しい』って書くように、内面の美しさが料理の味にも反映されるんだ。和食は日本の誇りだからこそ、内面と外面の両方が重要なんだ。」
光は、自身の父が大将を務める割烹居酒屋の教訓を伝え、美枝子に水泳だけでなく、人生の指針を示した。水泳でも心の美しさが勝敗を決めると説明し、その価値観を共有した。
美枝子: 「内面の美しさが大切なんですね…。そういうことを忘れずに泳ぎます。」
美枝子は、光の言葉に感激し、単に速く泳ぐだけでなく、美しく、そして心を込めて泳ぐことを目指した。彼女は、ファッションモデルへの夢を活かし、泳ぎのスタイルにもその美学を反映させようと試みた。
光: 「たとえ才能があって優勝できても、性格が悪ければ評価されない。でも、才能がなくても、心が美しければ多くの人から愛されるだろう。泳ぎもそれと同じだ。」
この言葉に、美枝子は深く心を打たれ、泳ぎだけでなく、自分自身がどのように存在するかを考え始めた。彼女は、光の教えを肝に銘じて、練習に励んだ。
美枝子: 「高田先輩、ありがとうございます。美しさと心を泳ぎに反映させてみます。」
美枝子は、光の指導に従い、平泳ぎの美しさ、そして心の美しさを追求し始めた。彼女は、泳ぐことで自分自身を表現し、他人に影響を与えることができると感じていた。
健: 「拓也、いい感じだ。揺れずに進んでる。次はもっと速く、でも同じ安定感で泳いでみな。」
拓也は、健の指導のもと、平泳ぎの基礎を固めていった。彼はアニメや特撮の世界観を泳ぎに取り入れ、自分自身のスタイルを見つけようとしていた。
この指導は、拓也と美枝子に単に技術を教えるだけでなく、アニメや和食の美学、そして人としての美しさを理解させ、泳ぎを通じてそれらを表現する方法を示した。拓也はロボットアニメのダイナミズムを、美枝子は和食とファッションの美しさを泳ぎに取り入れ、二人とも平泳ぎの基礎固めを完了した。その過程で、彼らはただ泳ぐこと以上の何かを見つけ、自身の存在価値や目指すべき方向性を再確認した。
・アリスの自由形指導
田辺明美: 「アリス、自由形は水泳の基礎中の基礎だ。『ドラゴンボール』の悟空が最後の力を振り絞るように、自由形で全力を出すことが勝敗を決めるんだよ。」
明美の声は力強く響き、彼女の目は輝いていた。彼女は個人メドレーのエキスパートであり、特に自由形が得意だった。その経験から、自由形の重要性をアリスに伝えようとしていた。
アリス: 「わかりました、明美さん。自由形で決めるんですね。」
アリスは、中学時代に全国優勝した経験があり、次期主将候補として期待されていた。彼女は、明美とユウの指導に全力を尽くす覚悟で臨んでいた。
明美: 「水泳のリレーは、メドレーリレーもあればフリーリレーもある。どちらも自由形が中心だから、自由形が得意でなければ、他の種目でも勝つことは難しい。自由形が泳ぎの全てに通じるんだ。」
明美は、アリスの手を取り、スタート台に立つように促した。彼女は、アリスに自由形のスタートとターンの重要性を示すため、自分もプールに飛び込んだ。彼女の泳ぎは力強く、水面を切り裂くように速かった。
明美: 「自由形は、スタートからフィニッシュまで一貫した力強さが必要。それが基礎になれば、どんな種目でも強くなれる。」
アリスは、明美の指導に従い、自由形のスタートを何度も繰り返した。彼女は、明美のスタートの速さとターンの精度に感心しながら、自らの泳ぎを改善しようと試みた。
森川ユウ: 「アリス、長距離の自由形、特に800mを泳ぐなら、持久力が鍵だよ。『セーラームーン』のように優雅に、しかし持久力を持って泳ぐんだ。」
ユウは、彼女の美意識と持久力を結びつけ、自由形の新たな面を教えることにした。ユウは長距離自由形のプロフェッショナルで、持久力と美しいフォームを両立させることが得意だった。
アリス: 「美しく、そして持久力…。ありがとう、ユウさん。」
アリスは、ユウの指導に従い、800mの泳ぎを試みた。最初の数百メートルは、彼女は全力を出さず、リラックスしたフォームで泳いだ。ユウの言葉を思い出し、体力を温存しながらも、美しいフォームを保つことに努めた。
ユウ: 「激流を制するのは静水。最初は全力を出さないんだ。400mを超えたら、周りが疲れてくるから、その時に少しずつペースを上げていく。それが長距離戦の勝ち方。」
ユウは、アリスに見本を見せるため、プールをゆっくりと泳ぎ始め、後半で徐々にスピードを上げていく様子を示した。彼女の泳ぎは、まるでダンスのように一貫して美しかったが、速さは増していった。
アリス: 「なるほど、そうやって持久力を維持しながら、後半で追い上げるんですね。」
アリスは、この戦略を自分のものにしようと決意した。彼女は、貫太郎への想いとチームへの貢献意欲を胸に、自由形の新しいアプローチを試した。彼女の心の中では、チームの成功と個人の成長が交錯し、自由形への取り組み方が変わっていった。
明美: 「アリス、いい感じだ。自由形は基礎だから、ここを固めればどんな泳ぎでも強くなれる。次は、ターンのタイミングをもう少し早く。」
明美は、アリスに個別のフィードバックを提供し、自由形の技術をさらに向上させるための具体的なアドバイスを続けた。
アリス: 「ありがとう、明美さん。ターンのタイミング、意識します。」
アリスは、明美の指導に従い、ターンの練習を繰り返した。彼女は、明美の言葉を一つ一つ胸に刻み、自分の泳ぎを改善していった。
ユウ: 「アリス、長距離自由形は、心の強さも問われる。美しいフォームを保ちながら、精神的にも強くなってね。」
ユウの指導は、ただ技術的なものだけでなく、心の持ちようや精神力の重要性も含んでいた。ユウは、アリスに、泳ぎだけでなく、自己表現と自己成長の手段としての水泳を教えていた。
アリス: 「心の強さ…。分かりました、ユウさん。私も、そういう水泳を目指します。」
アリスは、明美とユウの指導を受ける中で、新たな理解と技術を得ただけでなく、チームの結束力や個々の特性を理解する機会にも恵まれた。彼女は、自分の泳ぎを強化し、強豪校との練習を通じて成長を続けようと決意した。
この指導は、アリスに自由形の技術だけでなく、精神力や美学、そしてチームの一員としてどうあるべきかを教えた。彼女は、明美とユウの言葉を胸に、自由形の実力強化に邁進し、次代の主将としての役割を果たす準備をした。彼女の泳ぎは、ただ速さを求めるだけでなく、美しさと持久力、そしてチームへの貢献を追求するものへと進化していった。
シーン3:恵美の過去
貫太郎は、監督の松澤恵美、主将の高橋美咲、副将の上原美玲から特別な個別指導を受けることになっていた。海風学園高校水泳部の新入生部員の中でも、貫太郎だけがこの豪華な三対一の指導を受けるということは、彼に対するチームの期待がどれだけ大きいかを物語っていた。
プールサイドに立つ貫太郎の前に、恵美が現れた。彼女は水泳部のTシャツをゆっくりと脱ぎ始めた。紫色の布が下半身から見え隠れし、最終的にTシャツを完全に脱いだ恵美は、紫のハイレグ型競泳水着を身に纏っていた。貫太郎にとって、これは初めて見る光景だった。
貫太郎: 「恵美先生、その水着、現役時代に着ていたものですか?」
貫太郎の質問は、好奇心と敬意から来ていた。彼は恵美の過去の活躍を知っており、この水着が持つ意味を理解していた。
恵美: 「そうだよ、貫太郎。私が現役時代に着ていた水着だ。今日はこれで本格的に君を鍛えるから。」
恵美の声は、指導者としての厳しさと、かつての水泳選手としての誇りが混じり合っていた。彼女は、ビキニではなく、現役時代に身につけていたハイレグ型競泳水着を選んだ理由を説明した。
恵美: 「この水着を最後に着たのは、大学最後の夏のインターハイだった。卒業後はパリ大学の大学院に進学する準備で忙しく、水泳からは離れていたんだ。」
彼女の目には、少し懐かしさが滲んでいた。フランスでの大学院生活は、日本での学生生活以上に厳しく、そこでは研究に没頭し、水泳とは無縁の日々を送っていた。
貫太郎: 「でも、先生が監督に就任したのは…?」
貫太郎は、恵美がなぜこの水着を再び着る気になったのかを知りたかった。
恵美: 「そう、海風学園の監督が高齢で勇退するという話が出て、私が推薦されたんだ。理事長から直接、監督に就任してほしいと言われた。フランスでの修士課程は中退して、ここに戻ってきたよ。」
恵美は、水泳への情熱と、指導者としての責任感が交錯する表情を浮かべた。彼女は、自身が長く水泳から離れていたことで、現役時代の自分には劣ると感じていた。
恵美: 「私は、長く水泳とは無縁だったから、この水着を着るのは烏滸がましいと感じていた。でも、ビキニで部員の士気を高めることを選んだ。色気と厳しさで、五年間鬼教官として水泳部を引っ張ってきた。」
恵美の言葉には、彼女自身の葛藤と決意が込められていた。彼女は、水泳部員たちに厳しくも愛情深く接することを選び、指導者としての役割を全うしてきた。
美咲: 「貫太郎、恵美先生がこの水着を着たのは、君への期待の表れだ。覚悟してね。」
美咲は、恵美の決意を補強するように、貫太郎に厳しい眼差しを向けた。彼女もまた、貫太郎が次期主将として成長することを願っていた。
美玲: 「私たちも貫太郎を一人前の主将に育てるために、全力で指導するよ。」
美玲の優しい声は、しかし、決意に満ちていた。彼女は、貫太郎の可能性を信じ、チームの結束を高めるために協力する覚悟を見せた。
恵美: 「貫太郎、私が弱い自分から逃げていたことを君が教えてくれた。今日からこの水着で君を鍛える。覚悟して!」
恵美は、決意の表情で貫太郎を見つめた。彼女の過去の話は、彼女自身の成長と決意の物語でもあった。貫太郎の頑張りが、彼女に再び水泳への情熱を呼び起こしたのだ。
貫太郎は、恵美の過去の話を聞き、彼女の水着選択の背景を知って、さらに責任感と挑戦心が湧いてきた。彼は、自分がただ泳ぐだけではなく、チームを引っ張る存在にならなければならないことを強く感じた。
貫太郎: 「わかりました、恵美先生、美咲さん、美玲さん。俺、必ず成長して、次の主将としてチームを全国制覇に導きます!」
貫太郎の言葉は、ただの決意表明ではなく、恵美の過去と彼女の期待に応えるための誓いだった。
次回、貫太郎に恵美と美咲と美玲が愛ある指導で自由形の技能を鍛え上げる。しかし、恵美の現役時代のライバルだった他校の水泳部女性監督が現れ、恵美は対決するが…。果たして、合同練習の行方は如何に!?




