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一章3話 襲撃

特殊な魔力を持つ創剣者と呼ばれる者が、自らの魂を込め産み出す強大な力を持つ武器のことを心剣と呼ぶ。

創剣者が心剣を産み出すのは一生に一度、二度目の創剣は自らの命を費やすことになるらしい。

産み出された心剣は時が経つにつれて次第に力を失っていき、それぞれ差はあるが30年から40年程で輝きを失い朽ち果てる。

だが、力を失わない心剣も存在する、朽ちた心剣が人を鞘として転成する宿剣型の心剣だ、心剣を身に宿した者を心剣の御子と呼ぶ。

宿剣型は先の創剣型と違い御子の内に在る限り力を失うことは無いが大概の宿剣型の心剣は御子の死の際に共に朽ちる。


「斬空の心剣は創剣型だが4つの欠片に分けたことで普通より長くその力を維持することが出来た訳だ。

まぁ、まだ創剣から1年程しかたってねぇから力を失っている心配はねぇよ」


要するに心剣って言うのは使用期限付きの聖剣とかの類なのかな?よく分からないけど帰る方法の当ては付いた、あとは妹の安否を確認しないといけない。


「さてユウヤさん、そろそろ狩へ出かけましょうか」


「そうだね、今日もはりって行こう」


僕とアキラは今日もいつも通りに森へ向かった。


「今日は東のほうへ行ってみませんか?」


「ん?うん、分かった」


「要注意人物・・・森へ・・・報告を」


「え?」


今、何か聞こえたような気が・・・


「どうかしましたか?」


「あ、いや、なんでもないよ、たぶん気のせいだと思う」


さて、今日も稼ぐぞっと。



------------------


さて、気になっていた反応の出ている二つの場所の一つ、反応が弱くてうまく捕捉できない。もう一つの反応はあちこち移動していて場所が特定しにくい。とりあえず弱い反応のほうを探ってみることにしました。


ユウヤさんと獲物を探しながら森の中を進みます。違和感を持たれない様に先導し、反応のある方向へ向かいます。


あれ?だいぶ反応に近づいたと思ったのですが・・・いつの間にか離れていってます。


迷いの魔法の類でしょうか、魔力をぶつけて無理矢理進むことも出来そうですがユウヤさんもいますし止めておきましょうか、魔法に悪意的なものも感じませんから純粋にこの先にあるものを守っているのでしょう、こっちは問題ありませんね。


さて、それでは僕も獲物を探しましょうか・・・ん?これは・・・


もう一つの反応?いつの間にか村の近くに移動しています!


「ユウヤさん!」


木々の間から村の方の空を確認すると明らかに異常な量の黒い煙が上がっています。


「な?!火事か?!」


「とにかく、急いで戻りましょう!」


「あぁ!」


返事をするより前にユウヤさんはすでに駆け出していました。僕もすぐに駆け出しますが、追いつけないどころかどんどん離されていきます。これでも魔力で速度を上げているのですが・・・まぁ、とにかく急ぎましょう。



------------------


火事どころじゃないな、急いで村に戻った僕の目の前に広がる光景は元の世界、それも僕の住んでいた場所じゃまず目にすることがないだろう光景だった。


まず、遠目から見えた火事、村のいたる所から火の手が上がっている、それに加えてホーンドッグより少し大きめの狛犬のような容姿に青い鬣が付いている(おそらく)魔物がそこらじゅうで暴れ回っている。


「だああぁぁ!」


近くで暴れていた一体を背後から斬る、村の人たちの姿は見当たらない、避難したんだろうか?


一体の魔物を斬り倒したことで他の奴の注意を引き付けたらしい、襲ってきた!


「風な・ぎは駄目か、双薙そうなぎ!」


一気に吹っ飛ばそうかと思ったけど周りを炎に囲まれた状態で風を起こすのは危険と判断、双薙で2体を斬り飛ばす。


「静かに流るる優しき青

 我が敵すら其の内に包み込み

 穏やかに爆ぜろ」


この声は、アキラ?


「水の魔法は苦手なんですけど、仕方ありません。『アクアドロップ』」


アキラの魔法、水球が魔物の一体包み少しずつ縮んで爆散した、圧殺とか・・・だいぶなれたけど気持ち悪くなる殺りかたは止めてほしい、あ、でも飛び散った水が火を消してる。


「速いですねユウヤさん。さて、僕は魔法で火を何とかします。魔物たちを任せていいですか?」


「あぁ!こいつ等も換金しちゃおうか!」


さて、殺るか・・・



何体倒したか覚えてないけど村をあちこち移動しながら魔物を倒して火を消していく、その間まったく人には出会ってない、魔物以外の死体にも出くわしてないのでまだ良いけど、そろそろ誰かいないと不安になってくるな。


「アキラ、リジルの家のほうへ行ってみよう二人が無事か確かめないと」


「ええ、行きましょう」




「   なんで      てめーの    」


!人の声、誰かいるみたいだ急いで


「ユウヤさん待ってください」


出て行こうとした所を止められる


「様子が変です、向こうに居るのはリジルさんですけど、手前の男たちはこの村の者じゃありません」


アキラに言われよく見ると10人ほどの男がいた、皆柄の悪い連中ばかりでそれぞれの得物を手にリジルと対峙している。盗賊と言う言葉が頭に浮かんできた、そう言えばアキラもここに来る途中で盗賊に荷物を盗まれたとかいってったなぁ。


「それにしてもこの世界の盗賊は魔物を従えているのか?」


「そんなこと有りえません、ただ、どこかでそういった魔法の道具を奪ってきたなら別ですが・・・」


それだ!あ~もう、やっぱりこの世界は物騒だ。


「どう言うつもりか知らねぇが、この村を襲ったこと、その命で償ってもらうぞ」


あ、リジルの殺気に盗賊|(断定)たちがびびってる、兄さんのよりキツイなぁ、あんなの直に向けられたらそりゃびびるよなぁ、自業自得だけど・・・


「どう言うことだ!元宿屋に住む狩人が普通に居るじゃねぇか!!出かけたんじゃねぇのかよ!!」


「ひぃぃ!すいやせん頭ぁぁ」


何か情報の行き違いが有ったみたいだな、リジルのことを警戒して留守中を狙ったつもりなんだろうが、間抜けすぎるだろ・・・まぁ同情はしないけどね。


「ごちゃごちゃ言ってねぇで、今直死ね」


「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!」


うわ、なんかリジルの方が悪役に見えてくるよ、盗賊の頭とリジルに挟まれた奴脅え過ぎ、同情は(ry


「けっ、予定は狂ったが俺様にはこれが有る!出て来やがれ魔獣共!!」


盗賊の頭の手元で何かが光る、リジルと盗賊たちの間に先程の狛犬や武装した人魚っぽい奴、足の生えた河豚のような丸い魚なんかが次々と現れる。これは・・・


「そろそろ助けに入ったほうがよさそうですね、ユウヤさん、相手は人ですけどいけますか?」


「気遣いはありがたいけど、この世界に来て暫く経ったんだ、こうゆう事(人殺し)もしなくちゃいけないときも有るって予想はしてたし、覚悟も出来てるつもりだよ、ま、今は出来ないなんて言ってられないけどね」


っと、リジルと魔物の戦いが始まってる、さすがリジル、魔物を次々片付けて行くけど倒したそばから次の魔物が呼び出されて限が無い急がなきゃ、幸いこの辺に火は回っていないしリジルの家の前は開けていて周りを心配しなくてもよさそうだ。


「汝、猛る灼熱の赤

 我が手に集いし炎は数多の矢となり

 敵を貫け」 


アキラの魔法で何人片付くかな、僕も切り込む用意をしよう。


「な!魔法!?どこだ!」


「『フレイムアロー・レイン』」


くっ、気づかれた!?炎の矢が盗賊に降り注ぐのを確認する前に駆け出す。ほとんど矢と並走している状態だけど矢の範囲外の敵を討つ!


「ギュオォォォ!」


「ぐあぁぁぁ!」


僕の双薙ぎが2人の盗賊を斬り伏せるまだ死んではいないけ、放って置けば時間の問題だろう、アキラの魔法は・・・!こいつ等、魔物を盾にしやがった!


「ふぅ、危ねぇ危ねぇ、ちっ2人殺られたか」


「頭!こいつ等だ俺が森に出かけたのを確認したのは!」


先程盗賊の頭とリジルに挟まれ脅えていた奴が声をあげた、こっちを指差さないで欲しいな。


「赤き弾丸を装填

 我が従えしは炎の魔弾

 撃ち出すは烈火の六撃」


「おら!どんどん出て来いやぁ!」


リジルの方と魔法用の盾に魔物が呼び出される、うわ、こっちにも来た。


「『フレイムバレット・Ⅵ』」


6発の炎の弾丸も魔物の盾で防がれる、呼び出す限界って無いのかな?リジルもアキラも膠着状態、盗賊の残りは8人、僕の方は動き回って魔物と盗賊の間を行ったり来たり、早く何とかしないと皆の体力が無くなる。


「スノウ、いいな」


「・・・はい!」


アキラが来てから姿を現すことが無かったスノウがリジルの後に出てくる。


「凍える冷気は精霊の青

 凍てつく刃は大地を奔る

 邪魔するモノは全て氷れ」


スノウが呪文を唱えるとリジルの剣を青白い光が包む


「避けろよユウヤ!『氷晶覇』」


何の説明も無しに避けろって、あぁ!もう剣を振り下ろしてる、とにかく横に逃げよう。


「ひゃぁぁぁ!」


剣が振り下ろされた先を氷の刃が地面を凍らせながら突き進む、危なかったぁ、3人の盗賊と魔物を半分くらい氷らせたみたいだ。盗賊残り5人。


ん?氷で盗賊の頭まで一直線に道が開けた?行ってみようか。


「へっ、流石にこれは防げなかったみてぇだな、もういっちょ行くか」


「くそ、魔獣共さっさと奴を殺っちまえ!」


「ぎゃぁぁぁ!」


「え?」


リジルに気を取られすぎだ、盗賊を一人斬り伏せ盗賊の頭まで近づいた僕、魔物を呼び出し続けて常に光を放つ右手に向け刃を振るう。


「あ、ぁあ、お、俺の、手が、うあぁぁぁぁぁぁ!!」


手首を切り飛ばし想像以上の結果になった。リジルが盗賊を2人片付けアキラが魔法で魔物たちを一掃

する、魔物を呼び出していた道具を盗賊の頭から離したのでもう魔物も増えてこない。


「ぎゃあぁぁぁ!」


「ひいぃぃぃぃぃ!」


残った盗賊は片手を失った頭とびびりの2人だけ、びびりは何も出来ないだろうし、頭の方は放って置けば直に血が足りなくて死ぬだろうな、助ける気も無いけどね・・・とりあえず、終わった。


「リジル、村の人たちはどこ行ったの?ここに来るまで全然見当たらなかったんだけど」


「あぁ、人に被害が出ないように何か有ったら直ぐ非難するように言ってるからな。自警団の奴等も付いてるだろうし無事だと思うぞ」


残った盗賊二人を縄で拘束して自警団の詰め所の牢屋に放り込んでおく、いくつかの家は焼けたがアキラが早急に火を消して回ったので復旧にそれほど時間もかからなくて済むそうだ。


疲れた、もう今日はゆっくり休もう。





あ、僕は今日始めて人を殺したんだ・・・



相手は悪人だけど



やっぱ



きついな・・・


どうもユウヤの性格が定まりません、まぁそのうち落ち着きます。

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