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一章1話 エルリオールでの日常

リジルの家に世話になって10日が経った。この10日の間、リジルに付き合ってもらい森を探索し妹を探したが、森の中に僕たち以外の人の居た形跡は発見できなかった。僕とは違う場所に出たのかもしれない、無事を祈りこの世界のどこかに居るであろう妹を探そうと思う。

その為にこの世界(エルリオールと言うらしい)についてもいろいろと教わった。言葉はなぜか通じるのだが、文字がまったく読めない為、書物などから知識を得るのは難しい。文字も少しは教わったが、勉強が苦手な僕はあまり理解できなかった。まぁ簡単な計算の為の数字と自分の名前が書ければ大丈夫だろう。

そして今日もスノウを講師役にエルリオールについていろいろ教わっていた。


「え、スノウって人間じゃないの?」


「はい、あたしはリジル様と契約した氷の精霊で妻です」


妻って・・・まぁどうでもいいか、魔物が居るんだから精霊がいてもおかしくないよな?どうもこの世界はファンタジー色が強いみたいだな。


「ただいま~っと、おいユウヤ、ちょっといいか?」


「ん?どうしたの?」


「いまこの村に行商人が来ててな、ホーンドッグの肉を売って来たんだが・・・」


そう言ってリジルが(ゴールド)の入った袋を机に置いた。ホーンドッグって言うのは、僕が最初に遭遇した角の生えた青い犬のこと、名前聞いた時はそのまんまか!って思ったね。


「あの野郎、全部硬貨で渡しやがった。かさばってしゃーねぇ。

まぁ、それはいいんだ、どうせユウヤが持っていくんだし」


「は?え?どう言うこと?」


「これ持って行商人のとこに行ってお前の装備を買って来い、この村の武器屋・・・雑貨屋じゃろくなもん無いからな、妹を探すって言ってただろ?村を出るならちゃんとした武器持っていかないと自殺しに行くようなもんだぞ」


リジルの言葉に甘え、行商人が来ていると言う広場までやって来た、リジルは村長に話が有るとか言って出かけたのでスノウが留守番、この世界に来て初めての僕一人での買い物・・・気分は初めてのおつかいだな・・・


「お、リジルのとこに来た坊主じゃね~か。おめぇ~も買いもんか」


人だかりに近づいた僕に無精髭の豪快なおっさんが声をかけて来た、小さな村で僕の世話になっているリジルは村の自警団的な立場に居るのと面倒見の良さで村人から慕われている、そんなリジルのおかげで僕もこの村の人によく声をかけられる。


「はい、僕の使ってた武器がこの村に来る途中駄目になったんで新しいのを探しに・・・」


「はい!そこの兄さん!武器をお探しかい!見てってくれ見てってくれ!古今東西あらゆる武器を取り揃えてるよ!」


おっさんとの会話を聞きつけたのか、行商人らしき男がえらいハイテンションで声をかけてこちらにやって来る。


「いや~、自分の趣味を優先させるとろくなことが無いっすね~結構な数の武器を取り揃えてみたもののこの村、戦える人が少ないときた!このままじゃ大量に売れ残っちまう、安くしとくからぜひ買ってってください!」


「あ~、うん、見せてくれるかな?」


行商人に手を引かれ武器の置いてる位置に案内される、様々な武器がおいて有るけど・・・


「すみません、細い片刃の剣ってありますか?」


「へい!ちょっと待ってくだせい、・・・・・・その条件ならこの2本っすね!」


おお、二本とも刀だ。


「これは、カタナって武器なんっすが、こっちの黒い鞘に納まってるのが銘を『闇夜』と言って、常夜の石って黒い鉱石で造られた刀身はその名のとおり黒、魔法なんかは込められてませんが結構な業物のですぜ。で、こっちの白い鞘に納まってるカタナ、銘は『空牙』、なんと、かの斬空の英雄の使っていたと言われるカタナ・・・の、模造品ですわ、模造品といってもそんじょそこらの武器には負けないぐらいの業物ですぜ」


「えぇっと、値段のほうは?」


「へい、『闇夜』が5,500G、『空牙』が7,800Gでさぁ!」


リジルにもらったGが6,000G『闇夜』なら買えるけど、武器って結構高いんだな・・・防具が買えない、でも九薙流に動きが鈍くなる防具って要らないんだよね・・・まぁいいか。


「それじゃ、『闇夜』をもらえるかな?」


そう言ってリジルに渡されたG入りの袋を渡す。


「へい!まいど!(あれ?これってさっき俺が猟人の人に払ったGなんじゃ?)」


お釣りを受け取り何か言いたそうな商人を無視して広場を離れる。

森の近くに開けた場所を見つけたので、そこで刀を抜き軽く素振りを繰り返す。

やっぱり馴染む、九薙の剣術は刀を武器にすることを前提としているためこの世界に刀があったのは幸いだ、暫く刀の感触を馴染ませふと気付く。


「きゅ~…」


誰かが倒れていた。


「え!何?大丈夫?」


黒いローブに身を包んだ如何にも魔法使いって感じの茶髪の男が目を回して倒れていた。

慌て駆け寄って診てみるとどこにも外傷は見当たらない、魔物に襲われたとか言う訳ではないようだ。


「もしも~し、大丈夫ですか~」


「う、うう、お、な、なにか・・・食べるものをください・・・」


「・・・・・・・・・」


とりあえず連れて帰るか・・・




――――――――――――


魔法使い系の青年をりじるの家までつれて帰り、今はスノウの用意した食事を食べさせているところだ。

スノウは、食事を作るとすぐにどこかに消えてしまいリジルがここに残っている。


「にしても、装備買って来いって言ったのに人拾ってくるとわな・・・」


「ほっとく訳にもいかなかったからね」


「まぁ、いいけどな」


「あの、ありがとうございました。おかげで助かりました」


「あぁ、かまわねぇよ、ユウヤの言う通りほっとく訳にもいかねぇからな。でも、なんで行倒れてたりしたんだ?」


「この村に来る途中一緒になった冒険者が実は盗賊だったんです。夜眠ってる間に服と杖以外みんな持っていかれてしまいました」


この世界って盗賊とか居るんだ・・・魔物も居るし普通に物騒だな・・・


「そりゃ災難だったな」


「それで、この村で働けるところはありませんか?」


そうか、村を出て妹を探しに行くならお金もいるか・・・いつまでもリジルの世話になってる訳にも行かないよな・・・


「あ、リジル僕も、この世界のお金まったく持ってないから適当な仕事無い?」


「ん~見ての通り田舎村だからな、働けるとこなんかねぇな・・・そうだ、お前魔法使いだろ?ユウヤもちゃんと自分に合った武器を買ってきたみたいだし慣らしもかねて、森で魔物を狩ってその魔物の素材を行商人に売るってのはどうだ?」


「そうですね、狩りはあまり得意ではないのですが、仕方ありませんね」


「そんじゃ、あんたユウヤに付き合ってやってくれないか?こいつ実戦経験あんまね~んだよ

俺は暫く用事で忙しくて付き合えね~からさ、代わりにあんたが村に居る間この家に泊まってってくれ、もちろん宿代はいらね~からよ」


「はい、それは助かります」


「それじゃあ、よろしく、え~っと」


「あぁ、まだ名のってませんでしたね、僕の名前はアキラです。見ての通り魔法使いです。

よろしくお願いします」


「よろしく、アキラ」


今日はもう遅いので狩には明日から出ることになった。よし今日は早めに休むことにしよう、おやすみ~




――――――――――――


「やはりこの村の近くに一つ、あともう一つこの村に近づいて来てる。でもなんなのでしょう、何処かおかしい」


感じる違和感、いつもと違う反応に不安が拭えない、

あてがわれた自室で夜空を見ながらため息を吐く


「何事も無ければいいのですが・・・」

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