六章3話 リジル、英雄の軌跡
「・・・さん、避けて下さい」
「うお!」
無数の触手が二人を襲う、やばい数が多すぎて捌き切れてない。
『唯のただの人間のぐぜにしぶといしぶといしぶとい!』
突然現れた、目の前で対峙する化物と2人の男、俺は・・・体が動かない!?
「あ、い、いやぁ・・・」
スノウも動けないのか?
くそ!なんだってんだ!?あの時と同じ光景・・・くそ!くそぉ!
落ち着け俺、これは罠、過去の後景を似せられてるだけだ、辺りを見回すと後に俺が居た。
ボキ・・・
「え?」
刀が折れて触手があいつを襲うけどクリスが横から突き飛ばして庇う。
クリスは無数の刃に貫かれたけど・・・
『ひぁは!はははははは、やっと潰せだ!ふふふ、わだじが!わだじが最強だ、ひははははははは』
耳障りな声で何か壊れた様に笑い続ける奴。
後の俺は身体が動かず何もできなかった。
クリスの体から刃が引き抜かれる、あきらかに致命傷、早く治癒魔法をかけなきゃやばい、治癒魔法の使えるマリアは今も気を失っている。
「クリス!お前俺を庇って、馬鹿野郎!」
「っく・・・いいんですよ、・・・これで・・・未来は、救われます・・・
僕は・・・夢見の民・・・ですよ・・・この・・・|結果(自分が死ぬこと)は・・・分かっていました。
だい・・・・・・・・・僕は、・・・を見ました・・・
僕が・・・・・・倒れる・・・のも・・・・・・・・・・・
後は・・・・・・」
「クリス・・・」
クリスの声が聞き取れない位になった・・・
後の俺は痛みを無視して無理矢理立ち上がった、でも駄目だ立ってるだけで精一杯だ
「・・・リジルさん」
耳元で声が聞こえる、この声は?スノウ・・・
そうだ、この時に俺はスノウと契約した。でも殆んど何もできなかったがな・・・
俺とスノウが契約を終えて、その効果か?俺も少し動けるようになった。
だが状況は最悪、クリスは息を引き取った。あいつが何かしようとしてるけど奴が暴れている為余裕が無いようだった。
スノウとの契約で得た力を使っても奴は倒せないらしく、できたのは時間を稼ぐことぐらいだったな。
「凍える冷気は精霊の青
氷れる腕は全てを包み込む
皆に永久の眠りの旋律を奏で続けよう『悠久氷壁』」
って、この話前にもしたんだよ!
心剣の力で奴を何も無い、無の空間に閉じ込めて封印することに成功し、その後英雄が元の世界に帰ってめでたしめでたし・・・
一人の犠牲が出たがな!くそ!
「過ぎた過去のことだ!どうにもできねぇんだよ!今更こんなもん見せんな!とっとと行くぞスノウ!」
「抜け出してきたか?・・・って、あいつじゃねぇのかよ!」
「ん?ランドか?」
罠を抜け通路を進み、たどり着いた部屋にランドが居た。
「なんでお前なんだよ!ローラの奴間違えやがったな!」
「はっ、ユウヤと戦いたかったみたいだな、当てが外れたんならとっとと失せろ」
「チッ、そういうわけにも行くか、このさいてめぇでもいいか・・・2人掛かりとはいえ、前にやり合った時は負けてるからな、掛かって来いよ!オレを楽しませろ!」
「悪りぃが、今回も2人掛かりだ、スノウ!」
「はい!」
姿を消していたスノウがランドの背後に現れ攻撃を仕掛ける、だがこれくらいで倒せる敵じゃないのは分かってる、一気にたたみ掛ける!
「おらぁぁぁ!」
俺の剣とランドの双剣が激しくぶつかり合う。
ちっ、相変わらず良い動きだ、正直1対1で勝てる気がしない。
「スノウ・・・」
「はい、氷柱連弾!」
スノウに牽制させて一旦距離を取る、でっかいのを撃つ。
「凍て付く蒼に雪原を吹く碧」
「おぉ!来るか?
身に纏うは炎の外套
炎属性防御付加」
ったく、こいつ楽しんでやがるな、こっちは必死だってのに・・・
「一片の慈悲も無く雪原を奔る猛威」
「我剣は炎の刃
炎属性攻撃付加」
「雪の精はただ白く染め挙げるのみ『氷雪の暴風』!」
「「氷れ!!」」
「うおおおおおおぉぉぉ!」
く!なんて奴だ、精霊魔法に付加魔法と剣技で対抗してやがる・・・
炎と氷がぶつかり蒸発俺たちの周囲を蒸気が満たす。
よし、逃げよう。
ランドが『氷雪の暴風』に対応してる間に逃げることにした。
ランドに気付かれないようにスノウと共に部屋を出て先へ進んだ・・・
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はぁ~、危ねぇ危ねぇ、ここまでの技だとは思わなかったぜ。
なんとか防げたが周囲に発生した霧が鬱陶しいな・・・
「我剣は風の刃
風属性攻撃付加」
剣に風を付加して剣風で霧を吹き飛ばす。
「あれ?」
居ない・・・・・・・・・
逃げられた!あぁ!っきしょう、せっかく楽しくなってきたのに・・・
はぁ、まぁいいオレも行くか・・・
さて、あいつがこっちに来なかったんだ、ローラの奴向うで旨くやってるんだろうな?