六章1話 記憶の遺跡《メモリア》
アクアリスに戻ってきた、前に泊まった宿にもう一度部屋を取り、先にマリアさんに話をしにいくといって出て行ったリジルの帰りを待っているところだ
「悪い知らせだ」
リジルが帰ってきた。
悪い知らせ?ランドたちをどうにかするのに協力してもらえなかったのかな?
「マリアが攫われた、後俺たちに対する要求が書いた紙が残ってた」
なに?攫われた?
リジルが持って来た紙を見る、字が読めない・・・
レニィ翻訳↓
―心剣の欠片を持って記憶の遺跡へ来い―
ランドたちからの呼び出しだな、先に手を打たれてたみたいだな、どうりであまり苦労せずに逃げられたわけだ、僕たちは行くしかないんだろうけど、確実に罠が待ってるだろう。
「メモリアって?どの辺りですか?」
「ここからフルール方面に一日ってとこだな
どうする?ユウヤ、お前が決めろ」
「・・・当然、助けに行くよ。
アキラ、ごめんあいつらに心剣の欠片を渡すことになるけど・・・」
「仕方ありませんよ、マリアさんを助けた後に取り返しましょう」
一緒にともかも助けられるといいんだけどな、今は巻き込んじゃったマリアさんの救出を考えよう。
1日半かけてメモリアへたどり着いた。
途中魔物や賊にやたらと襲われて時間がかかった、
この先に罠が待っていると言うのに無駄に力を使ってしまった。
「いくか・・・」
リジルを先頭に僕、レニィ、アキラと続く
遺跡内の通路は広く武器を奮い戦うのに十分な余裕が有る。
「気を付けろよ、どこに罠が有るか分かんねぇから・・・」
目の前でリジルとスノウが消えた。
待て、どういう原理だ!?ワープ?
「ユウヤさん!?」
振り返る、アキラが消えた、残ったのは僕とレニィ。
ヤバイ、バラバラに引き離されてる!?僕とレニィも・・・
視界が切り替わる、遺跡の中なのは壁なんかを見ると分かるけど、さっきとは違う場所に移動させられたみたいだ。広い部屋、学校の体育館位かな?
「ユウヤさん?」
ん?レニィ?後からレニィの声がする、振り返ると居た、僕とレニィは離されなかった様だ。
「レニィ?これって罠だよね?なんで僕たちバラバラになってないんだろ?」
「そう、罠・・・でもなんであんたもここに来てんのよ?あんたはランドのとこに行くはずよ」
僕たち以外の声、そっちを向く、レニィの姉?
「姉ぇさん・・・」
「まぁいいわ、レニィ、余計なことしないでくれるかしら?貴女の悲劇の予言もあたしたちの目的のついでに防いであげるからね、大人しくしててくれないかな?」
悲劇の予言?前に言ってた救われるべき1人が救われないってやつかな?
「姉ぇさん、姉ぇさんのやり方で本当に未来を最善へ導けるのですか?」
「あたしたちは夢見で見た未来を利用して目的を果たす、あなたの見た未来は来ないわ、それならいいでしょ」
「未来はもう私の見た未来とは違っています。今は少しでも未来を良い方向へ向かわせないといけないのです・・・」
「・・・・・・大人しくしている気は無いのね?なら元々使うはずの罠を発動させるだけ・・・悲劇の預言者、負の意思に囲まれてきた貴女には簡単には抜けられないわよ」
何か僕を無視して話を進められた、って、罠を発動させる!?
部屋の雰囲気が変わった。僕とレニィは正体不明の罠に捕らわれたってことなのか?
「あれ?・・・彼も巻き込んじゃったみたい・・・欠片を持ってる彼だけは先に行かせようと思ってたんだけど・・・ま、いいか。レニィたちよりは早くこっちに来るわよね?あたしは先で待ってましょ」
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―生まれたみたいだぞ、悲劇の・・・―
―あぁ、大爺の夢見の通りの時間だ・・・―
―・・・ったく、余計な者を生んでくれた。―
―避けられない悲劇など・・・―
「なに・・・これ?」
私は気が付くと暗い空間に立っている。
そこで囁かれる言葉は幼い頃聞いた私に対する悪意有る言葉、
今は私に聞こえるように言う者は居なくなったけど影で色々言われているのはわかっている、
幼い頃はまだ小さいから言葉を理解できないと思ったのか、私に直接言葉をぶつけてきた。
その頃の言葉・・・
慣れたつもりだったけど、辛いのは代わらなかった。
膝をつき耳を塞ぐ、言葉は消えない・・・
私は・・・
私は・・・
――――――――――――――――――――
後ろを歩いていたユウヤたちの気配が消える、隣のスノウ以外の気配がしない。
「ユウヤたちは・・・?」
「いません、おそらく罠ですね?」
さて、ここはどこだ?周りの様子から遺跡内と思うがメモリアと少し違うような・・・
っ!ここは!あの時の!?
『唯のただの人間のぐぜにしぶといしぶといしぶとい!』
突然現れた、目の前で対峙する化物と2人の男、俺は・・・体が動かない!?
「あ、い、いやぁ・・・」
スノウも動けないのか?
くそ!なんだってんだ!?あの時と同じ光景・・・くそ!くそぉ!
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―人間が私に何をした!召喚!?ふざけるな!私の力は私の物だ身の程をわきまえろ!―
―人など全て滅ぼしてくれる!!―
―人の身体か・・・まぁいい、久々の自由だ・・・―
「ふむ、嫌がらせですか・・・悪趣味なことです。他の皆さんは大丈夫でしょうか・・・」
人の良くない感情や記憶などを増幅し幻視させると言った所でしょうか?
やれやれ、これは骨が折れそうですね・・・
「すみません皆さん、この罠を抜けるのに時間がかかりそうです。
悪魔の魂をこの身の半身とする僕の闇は大きすぎる・・・」