四章4話 召霊の森
目的地は森の奥に有るらしい、僕とアキラが狩をしていたあの森だ、森自体は召霊の森と呼ばれている。
「この森ってそれほど危険な魔物って出なかったよね」
目の前の黒いホーンドックを睨みながらリジルに声を掛ける、リジルや他の皆も僕と同じようにホーンドックと対峙している。
「黒か、珍しいな、青のホーンドックより強力で強暴だが旨いぞ、今夜はご馳走だな」
何を暢気な、こいつ等の動きビャクガには敵わないけどかなりのものだよ!それが集団で来るんだ、リジルみたいに気楽には構えられない。現にアキラとレニィの魔法使い2人は苦戦している、アキラは詠唱無しで魔法を放ちなんとかやってるけどレニィは防御で精一杯のようだ。
「ユウヤ任せた!」
「うん!了解」
リジルとスノウが敵に向かっていく、僕はレニィを守る位置に移動する。最近この体制が板についてきた気がする。
「ユウヤさん、すみません」
「ん、女の子を守るのは男の役目だよ!」
飛び掛ってくる三体のホーンドックを伍薙で同時に斬り伏せ、ちょっとカッコつけてみる、最近の僕って殆んどの戦いで負けてる気がする・・・多分気のせいじゃないから少しくらいカッコつけさせて!
リジルが敵を斬り、その後スノウが氷らせる、あの2人マジで食糧確保に勤しんでいるな。アキラは余裕が無いのか、前に僕と狩をしていた時のような手加減をせず敵を黒焦げにしている。
さて、僕たちは・・・
「攻撃してくる敵は僕が防ぐからレニィは魔法で敵を一掃してくれる?」
「はい、了解です!
白き奇跡の力・・・」
レニィが呪文を唱えるのが分かったのか?ホーンドックの群れから数匹こちらに仕掛けて来た。
正直、神風が無かったら複数の相手は出来なかったな、風獣の丘での修行は役に立っている。
神風で加速して飛び掛ってきた敵をまとめて薙ぎ払う、その横を抜けてレニィを狙う奴には風薙を打ち込む。しばらくそうして時間を稼ぐ。
「ユウヤさん!いきます!『セイクリットブレイド』」
レニィの魔法が完成した、光の剣が周囲に降り注ぎホーンドックを次々貫き吹き飛ばして行く。あ~あれは食えないな・・・
「黒コゲが17匹、ボロボロなのが13匹、体が2つに分かれてるのが12匹、冷凍保存35匹・・・お前らもうちょっと加減して殺れよ、俺達が狩ったの以外売りもんになんねぇぞ」
「いや、そんな余裕無かったから・・・」
なんとか黒いホーンドックの群れを全滅させて一息ついていると周囲の片づけをしていたリジルとスノウが戻って来た。
「まぁいいか、使い物になるやつは氷らせた、他の魔物に食われることも無いだろうからこのまま置いといて進むぞ」
氷らせた黒のホーンドックをまとめてその場に放置して僕たちは森のさらに奥へと進んだ。
しばらく進むと1本の大樹の前にたどり着いた。
「この森にこんな木あったんだなぁ」
足を止め大樹を見上げる、なんだか不思議な雰囲気のする木だな。
「お~い、そっちじゃねぇぞ、こっちだこっち」
少し離れた場所でリジルが待っている、そこに向かうとさっきの大樹を小さくしたような木があった。
「ここだ」
「あちらの大樹の苗木でしょうか?」
「あぁ、そうだ、そしてここに精霊界への門が有るっと!」
言い終わらないうちにリジルは木の前から飛び退く、リジルの立っていた場所には黒い剣と白い鎌が突き刺さっていた。
「スノウ、久しぶりに帰ってきたと思ったらこんなに人間を連れて来てどういうつもり?」
「・・・お帰り、スノウ」
「コラ待て、いきなり攻撃し掛けてきて俺には挨拶無しか?」
どこからか?2人の少女が現れた、2人ともよく似た顔をしている、双子か?黒い髪と白い髪という違いが無かったら僕には見分けが付きそうにないな。
「黙れ人間」
「・・・うるさい」
リジルが嫌われていることはよく分かった。
「レイちゃん、ヤミちゃん」
スノウが怒って二人を睨む、ごめん、全然怖くない。
「う、ご、ごめん」
「・・・ごめんなさい」
この2人には効いたみたいだ。白い髪のほうがレイ、黒い髪のほうがヤミか・・・この2人も精霊なのかな?
「で?ほんとにどうしたの?急に帰ってきて、それも人間連れで」
「女王に預けてた物を取りに来た、通してもらうぞ」
「お前には聞いてな「レイちゃん?」分かった、通っていいわ、でも、そっちの男はダメ!」
レイがアキラを指して言う、スノウの時もそうだったけどアキラ警戒されまくってるな。
まぁ、スノウみたいにアキラの魔力(禍々しいらしい)に警戒しているのだろう。
「まぁ、説明も面倒そうですし僕はリジルさん家に戻って待ってますよ」
「悪いな、ついでに獲物を運んどいてくれ」
「分かりました、では、家で待ってます」
あの数のホーンドックを1人で運ぶのか?
アキラが去った後、僕たちは精霊界に来ていた、精霊界はエルリオールにいくつも有るらしい、ここは召霊の森の精霊界、リジルはここの代表、精霊たちのまとめ役?村で言うと村長、まぁさっき女王って言ってたな。その女王に心剣の欠片を預けたそうだ。
で、女王の前。
「リジル、スノウ、久しぶりですね、今日はどうしました?」
リジルの説明を聞いた女王は・・・
「そうですか、ではユウヤさんが欠片を預けても大丈夫かどうか、試させてもらいましょうか」
またですか・・・