四章3話 次はどうする?
「ここがフルールですか・・・」
今回の私の夢見(予知)の始まりの地、救世主は異世界からやって来てこの村の前で気絶しているところを狩人に拾われる。本来一人のはずの異世界からの来訪者が2人居る時点で私の夢見(予知)は外れてしまっているんですけどね。私はこれから先を私の見た未来よりも悪い方向へ行かないように行動しなくちゃいけません・・・
さて、私達は最後の心剣の欠片を手に入れる為にフルールのリジルさんの家に帰ってきています。ユウヤさんの妹さんの襲撃を警戒して夜のうちにこっそりと夜逃げするようにアクアリスを出て今に至ります。
「俺らはちょっと準備が有るから出かけて来る、まぁ、今のうちに休んでおいてくれ」
リジルさんはスノウちゃんを連れてどこかへ出かけました。
ユウヤさんは刀を手に外へ出かけました。
アキラさんは部屋に戻り休んでいるようです。
さて、私はどうしましょう・・・ユウヤさんに付いて行けば良かったですね、探しに行きましょうか。
所々に焼けた家屋が有り、それを修復している人が居ます。その人たちに話を聞いてユウヤさんの足跡をたどって行きます。
村の人たちはユウヤさん、リジルさん、アキラさんの三人を英雄扱いしているようで話を聞くと、先日村を襲った盗賊を三人とスノウちゃんで撃退したことが分かりました。
そんな皆さんと一緒に帰ってきた私にも村の人たちは良くしてくれます。ユウヤさんを探して声を掛けた人皆が何かしら渡してきます。果物とか野菜とか魚とか、正直持ち切れなくなってきているのですが、近所付き合いというのでしょうか?
私が居た夢見の民の里で、私は家族以外にはあまり好かれてはいなかったので、こういったことに慣れていない私は言われるままにそれらを受け取ってしまいます。
結局持ちきれなくなりました。
「うう、一旦家に置いて来ましょう」
私は夢見の民の中でも少し特殊な存在です。
悲劇の預言者、その名の通り悲劇を予言する者です。本来、夢見の民は一生に一度、ほぼ確実に当たる未来を観ます。悲劇の預言者は、それが何度も有る上に観る未来は全て悪い結果が伴うものです。
今回の件もそう、世界は救われる、ただ、世界を救う者は命を落とすことになる。
一人の犠牲で世界が救われる、悲劇の程度としては軽いものかもしれません、そんなことを考える自分が嫌になりますけどね・・・
とにかく今回の私の夢見はまとめると、異世界からの来訪者が救世主となり世界を滅ぼすほどの厄災を打ち倒す、但し救世主が元の世界へ帰ることは無い・・・といったものでした。
本来一人のはずの来訪者が2人、ユウヤさんとその妹さん、この時点で外れないはずの夢見は外れています。今回私の夢見は役に立たないと思っておいた方がいいですね・・・
だったら、ユウヤさんと妹さんを無事もとの世界へ帰れるように頑張りましょう・・・
再度、ユウヤさんを探して森の近くまで来ました。もし森の奥に入っていったならこれ以上の探索は無理でしたがユウヤさんは丁度森の入り口付近に居ました。何人か村の人も居ます。何してるんでしょう?
――――――――――――――――――――
時間が出来た、修行だ!
さっそく森の近くの広場まで行く。
先日青龍の力で退けたあの男、リジルがランドって言ってたな、おそらくアイツは妹と一緒にかどうかは分からないけど、また現れるだろう。
やっぱり今のままじゃ青龍の助力無しでは勝てないと思う、心剣の欠片も1つ持っていかれたから青龍が居ても勝てないかもしれない、だから修行だ。
で、どうするかだよな・・・おそらく九薙流の奥義にはまだとどかない、基礎を鍛えるのは当然として神風みたいに何か考えるしかないか・・・
目の前の僕の背と同じくらいの高さの岩を見る・・・うん
僕の攻撃をランドは避けるか受ける、神風を使えば避けるのは難しくなるけどほとんど受けられていた。
だったら受けきれない攻撃をすればいい、幸い僕の武器は刀だ、分かりやすい必殺技が有るよな・・・出来るかわからないけど色々試してみよう。
――――――――――――――――――――
ユウヤさんが木を斬っていました。村の修復用の木でしょうか?倒れた木を周りで見ていた村の人が運んでいきます。
「すまないな、あんたのおかげで予定より早く片付いたよ」
「いえ、これ、試してみたかったので丁度良かったですよ、この木で最後ですね?」
「ああ、頼むぜ」
ユウヤさんが木に向き合います。刀を鞘に納め構えを取る、刀の間合いを考えても木との距離が開きすぎてる気がしますが・・・
「・・・ッ!」
抜刀?鍔鳴りの音で刀を抜き再び鞘に納めたことに気付きます。何をしたのかと思っていると、ユウヤさんの目の前の木がゆっくりと倒れていきます。
「お見事!それじゃ運ぶぞ!」
倒れた木を運ぶため村人は皆去って行きユウヤさんだけが残りました。
「ふう、なんとか形になったかな?さて仕上げを・・・ん?レニィ?」
ユウヤさんが私に気付きました。私はユウヤさんに近付いて声を掛けます。
「凄いですね、今のも九薙流の剣術ですか?」
「はは、一応九薙流だよ、神風と同じで今作ってたんだけどね。」
「今作った?」
「うん、力が足りないんだ、ランドに勝つにも、自分の身を守るにもね、だからできる限りのことをして強くなっておかないと。まぁ、ちょっと離れて見ててよ」
そう言ってユウヤさんは自分と同じくらいの大きさの岩と向かい合いました。そして先程と同じように構えます。
「・・・ッ!」
鍔鳴りの音、今回も私には速過ぎてよく見えませんでしたが、音の後に先程の木と同じように岩が切れ倒れていきます。
「九薙流居合い、無影刃ってとこかな、最終的には金属も斬る予定だよ」
「・・・居合いですか?唯の居合い切りじゃないですよね?」
「うん、無影刃の理想は距離、硬度を無視して対象を斬ること、現段階では何でも斬れるって訳でも遠くの物を切れるって訳でもないけどね。取り合えず今はこれで完成かな・・・結構時間が経ったね、戻ろうか?」
「はい」
――――――――――――――――――――
戻ってみるとリジルのほうが先に帰ってきていた。
「明日は森に行く、さほどの危険も無いはずだからユウヤ以外の参加は自由だ」
そんなことを言ってたけど結局全員で向かうことになった。最後の心剣の欠片はリジルが託され、それを信頼できる者に預けたらしい。おそらく、これまでのように何か試されることになるから覚悟しておけと言われた。
うん、頑張ろう。