表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

誕生記念パーティー

「本日は私の誕生記念パーティーに来てくださりありがとうございます。トドルク公爵家次女ミシャラル・トドルクです。本日は楽しんで行ってください」

私は、練習した言葉を間違えずにスラスラ言うことが出来た。

言えたあと、庭に置かれた少し段のある舞台を降りた。降りた先の、家族やフィマ達に褒められて、楽しい一日になろうとしていた。


私は、主役として相応しい、華やかな白いカスミソウのビーズが散りばめられた水色のドレスをまとい、髪は二の腕ぐらいまでの髪をふんわりと巻いて、ハーフアップにした。全てフィマが準備してくれた。

その後、庭にあるフルーツのソースがかかったスコーンや、クッキーを隙間時間に食べながら挨拶に回った。


少し休憩していると一人の男の子がやって来た。

「ミシャラル嬢、誕生日おめでとうございます。ルアクリス・アリクストールです」

ルアクリス・アリクストール。彼は、アリクストール王国の王太子殿下だ。

「ルアクリス殿下。本日はお越しいただきありがとうございます」

彼は、王太子殿下だからか同い年でも一際礼儀がなっていた。とても綺麗なお辞儀、言葉づかい、彼の所作は指先まで一つ一つ完璧だった。

「王太子殿下だわ!いつ見てもカッコいいわね」

周りの招待客が殿下を見るとすぐ騒ぐ。だが、無理もないだろう。

殿下のスラッとした体型。とても整ったお顔。(くし)を通しても引っ掛からないであろうホワイトシルバーの髪の毛。六歳にしては慣れすぎている礼儀作法。

加えて、火魔法の適正持ち。

「今日が適正検査ですよね。よい結果を願っております。それではこれで。」

「ありがとうございます。本日は是非お楽しみください」

お辞儀をし、殿下はその場を離れようとした。

すると、私の隣から、やけに甲高い声が響いてきた。

「殿下ー!私と共にお茶しません?」

隣に現れた子は、淡いピンクで、裾にフリルの付いたドレス。少し暗い金髪を二つに結んだゆるふわっとした女の子だ。

確か、彼女はリーリア・マリクート男爵令嬢だ。

「あの、リーリア様」

「なんでしょう、ミシャラル様」

「えっと……」

「ミシャラル様!鑑定士が到着致しました!」

「分かりました。すみませんリーリア様。なんでもございませんので、お気になさらず」

貴族間の身分関係は厳しい。

男爵令嬢が王太子殿下に声をかけるのはご法度とされている。身分が上の人から声をかけられて話すのがルールだ。

つまり、リーリア様は世間知らずとされるだろう。

まあ、関係ないことだ。

「これから、ミシャラル様の魔法適正検査を始めます。こちらへ来て、この水晶に触って下さい」

「はい。よろしくお願いします」

私が丸い水晶に触れると、透明な水晶の中心に色が見えてきた。

それは白っぽい色そして、その周りを覆うように少し紫が入った淀んだ黒が見えてきた。

やがて、守るように白の全体を包みながら、黒だけが膨らんで行った。

そして、水晶全体が黒一色になった。

「や、闇属性魔法に、適正があります」

鑑定士が声を震わせながら言った言葉には、ところどころ恐怖心が滲み出ていた。

「闇属性?」「裏切り者の属性じゃないか!」

周りからは、恐怖の声、怒りの声。

中には「ミシャラル様は、これから大丈夫かしら」と、心配する声もあった。

でも、私は怒り、軽蔑、(あざけ)り、異物を見るような、様々な視線が辛かった。

その中から、ある視線を感じた。視線の元を見るとその先にはルアクリス殿下がいた。怒りに満ちた、冷めた目。

「なんで……その目で見ないで」

私は、そう呟いたところで意識がなくなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ