010 Grimoire of librarian part2
短めです。
第二章 精霊
では、ここからは、魔法と精霊の強い結びつきについて触れていきます。
属性の種類は様々ですが、主に攻撃と防御の二つに分けることが出来ます。攻撃には、精霊の力を借りて放つものがほとんどで、精霊の属性は、四大元素思想に基づくもの(火、水、風、地)と、五行思想に基づくもの(木、火、土、金、水)が存在します。四大元素にも五行にも火と水が存在しますが、まったくの別物です。どのように違うのかを説明していると日が暮れてしまうので、ここでは省きます。
反対に、防御を目的とした魔法は、使用する魔力を本人の技量によって劇的に減らすことができるため、精霊の助けを必要としません。ですから、防御魔法は、精霊の属性に縛られることなく術式を組むことが出来ます。つまり、たくさんの術式が存在するということです。
主な物として、回復魔法、強化魔法、弱体魔法、効果付与魔法などが挙げられます。効果付与魔法では、睡眠、麻痺、幻覚、気絶、封印、混乱など、その効果は多岐に渡ります。
また、攻撃にも防御にも属さない魔法として、召喚魔法が挙げられます。
……さて、前置きはこれくらいにして、いよいよ本題に行きましょう。
え?今までのは前置きだったのかって?
……今、申し上げた通りですので、回答する必要性を感じません。
では、そもそも精霊とは何なのかについて触れていきます。同時に天使と悪魔についても触れていきますので、混乱なさらぬよう。
天使を「善」と見ると、悪魔は「悪」となります。天使と悪魔は対であり、その法則が崩れることはありません。
その場合、精霊は、どの位置になるのか。
答えは、「中立」となります。中立と言っても、必ずしも善と悪が5割ずつ精霊の中に存在しているわけではありません。天使は、「善」が全てで、悪魔は「悪」がすべて。ですが、精霊は、そのどちらに寄ることも出来るのです。それが、精霊なのです。
唐突ですが、人間は、善でしょうか?悪でしょうか?
どちらでもない、というのが答えとなります。
もう少し言うならば、どちらの側面も持つ、と言うところでしょうか。
つまり、人間と善悪の性質が最も近いのが、「精霊」と言う存在なのです。
ここまで来れば、魔法使いがなぜ精霊の力を借りるのか、大体分かったのではないでしょうか。厳密に言うならば、魔法使いは人間ではないのですが、魂の性質は変わりありません。
つまり、天使、悪魔、精霊の中で、人間が使役するのに最適性となる存在が、「精霊」なのです。
……さて、ここまで来たわけですが、まだ、精霊というものが何なのか、わからない人も多いのではないでしょうか。
当然です。まだ説明していませんから。
では、これから、そちらについて説明していきます。
え?少し前に、「では、そもそも精霊とは何なのかについて触れていきます」と書いてある?
……検索の結果、そのような語句は発見されませんでした。
説明を続けます。
精霊、天使、悪魔は精神世界の身体のみが存在する唯一無二の存在です。
人間や魔物と言った生物は、魂は精神世界に存在しますが、肉体は物質世界に存在しています。これに対して、精霊は、その意思体のみが精神世界に存在しているため、物質世界に現れるためには、仮初の肉体を作らなければなりません。仮初の肉体とは、それぞれの属性に合った物が主に使われています。(水属性であれば小さな泉、木属性であれば大樹など)
これに精神世界の身体を宿らせることで、この世界に現れることを可能としているのです。
それぞれの属性には聖地と呼ばれる場所が存在します。
風属性であれば柔らかな風の吹く小高い丘であったり、水属性であれば森の奥の小さな泉であったりと、その場所は様々ですが、聖地と呼ばれるその場所は、不思議なことが起こると言われています。
それは、精霊の力が起こす奇跡なのだと言われているそうです。
それは、精霊と魔法使いの軌跡でもあるのです。
明日も出せそうですが、あまり期待しないでて下さい。