『ソシャゲ(ガチャ編)』
『ゲーマー』という存在が生まれたのは
何も近代の話ではない。
カードゲーム、ボードゲーム、
様々なゲームの原点は遥か昔、
古代の時代から存在している。
そして、ゲームは近代、
超加速的な進化を見せた。
テレビゲーム、ネットゲーム、
携帯ゲーム
そして
『ソシャゲ』
ある人は言う、ゲームの時代が
また一つ進化したと
――ガチャシステムの投入や気軽に遊べる雰囲気に
魅了されたゲーマー
ある人は言う、あんなものは、
ゲームではないと
――ストーリーの浅さやガチャシステムを
認められなかったゲーマー
そして、ある人は論点を外した答えを言う、
『ソシャゲ』は、
『ゲーム』ではないと―――
■■■
これは、日本のどこか辺鄙なところに住む『ソシャゲーマー』の話である。
タタタタタ
『ソシャゲ』はスマートフォンの液晶をタップして
操作することが多いため、
テレビゲームやネットゲームのような
カチャカチャというコントローラーの音や
カタカタというキーボードの音とは
また違う音を発する。
「よっしゃ!クリア!」
少年は無邪気にガッツポーズをした。
そして画面の隅に映る
所謂、『石(ガチャを引くときに支払うゲーム内のアイテム)』の個数を調べた。
「やっと、溜まったーーー」
疲れ切った声で少年は喜んだ。
そしてボスッとベッドに横になり、
またスマートフォンをいじる。
パッと画面が切り替わった。
画面には、
1回引く『 25個』
10回引く『250個』と映っていた。
少年は『石』の数が、250を超えたのを
もう一度確認し、10回引く、所謂10連ガチャを選択した。
また画面が切り替わる。
いくつものキャラが出てくる。
キャラの上には星が書かれている。
三つ、二つ、二つ、三つ、二つ、
二つ、二つ、三つ、二つ、そして三つ。
「ガッデム!!」
少年は、枕に顔をうずめながら、
そう叫んだ。
そして、起き上がり、またスマートフォンをいじる。
タタタタタタタタタタタタタタタ
部屋には少年が一人。
無音を切り裂くように、
ゲームの音だけが流れる。
最先端のテレビゲームに比べれば
画質は酷いし、音質も決して良くはない。
しかし、多くの人間が『ソシャゲ』に魅了される。
まるで、誰かに操られているみたいに―――
長くはない、しかし決して短くはない時間が流れた。
少年は、手を止め、スマホを置き、
祈りだした。
「俺は今後、ありとあらゆる悪いことはしないと誓います。
だから、神様!俺に目当てのあの子を!!!!」
それは、欲望むき出しの自己中心的な頼み事だった。
「もう、無課金で100連くらいしてるんですーーーー!!!!」
少年は、神に向かって、懇願の土下座をした。
それは、きっと人類史上最も綺麗な土下座で、
人類史上最も醜い、縋り付くような土下座だった。
そして、顔を上げた少年は、
10連ガチャを引いた。
ジャジャジャジャジャジャ
演出は、飛ばさない方が良いと言われている。(作者の住む地域では)
バン!!
星二つ、二つ、二つ、三つ、二つ、
三つ、二つ、二つ、二つ、そして――
ゴゴゴゴ
「こっ・・・これは!」
『ソシャゲ』にはいくつかの都市伝説がある。(ありません)
その一つ『確定演出』
「ま・・・まさか、存在していたのか・・・?」
期待に胸を膨らませた少年は、
瞬きを止め、画面を凝視する。
これがアニメなら、ごくりと唾をのむところだろう。
バァン!
それは、豪華な演出だった。
星・・・五つ
それは、ガチャの提供割合、つまり出る確率――
0,01パーセント未満(作者の体感です。実際は1パーセントから0,3パーセントくらい)
召喚されたキャラは、
既に成長が済んでいて、即戦力となる。
ゲームの面白みが減るというものもいるが、
今の少年にその言葉は届かない。
そう、出たのだ星五キャラが。
そう、『目当てのキャラではない』星五キャラが。
しかも、それは、ネット上で、
「実質、星二」だの、「育てる価値なし」だの、
「ボックスを埋めるだけ」だの、
散々に叩かれている。
――要は、ネタキャラというやつだ。
「俺、コイツ引いちゃったんだよー」とか、
友達に見せて慰めてもらうくらいしか用途はない。
しかし、クリスマスイブだというのに
自室に籠り、『ソシャゲ』に耽る男に
そんな友達がいるだろうか?
せいぜい、フレンドシステム上だけの、
顔も見たことのないどこかの誰かぐらいだろう。
「神は・・・死んだ・・・」
某思想家の偉大な言葉を
何のためらいもなく使う罰当たりな男は
再び枕に顔をうずめ、
「・・・もう、死にたい。
課金勢、羨ましすぎるわ。
早く自分で金稼いで、
好きなだけ課金してーーー・・・」
と死にそうな声で呟く。
彼が
「・・・もう死にたい。
子供達、羨ましすぎるわ。
まだ遊べる時間いっぱいの
少年時代に戻りてーーー・・・」
と現実を知るのは、また先のこと。
タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ
少年は、無表情に、石を集めていく。
「クリア!」
「クリア!」
「クリア!」
・・・・・・何時間が過ぎたのだろう。
彼は、課金を除くありとあらゆる方法で、
『石』を捻出した。
無課金で一つのガチャに対して
300連近くガチャを回した。
電気のついていない部屋で、
スマートフォンだけが、
光という存在を強調する。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
じわ・・・じわ・・・
自分の心にあった『ソシャゲ』を楽しむ心が
いつしか闇に蝕まれていく。
出ない、出ない、出ない、出ない、出ない
出ない、出ない、出ない、出ない、出ない、
出ない、出ない、出ない、出ない、出ない・・・
『ソシャゲ』を中止し、SNSアプリなどを見れば、
「やっと、来てくれましたー!!」、
「100000課金してみたw」、
挙句の果てには「単発で出た!」などとぬかす者もいる。
そして、それを素直に祝福できない自分がここにいる。
憎しみが、苦しみが、
胸の奥のズキズキと主張を続ける痛みが、
このちっぽけで弱虫な自分が――
――部屋の暗闇に溶けてしまいそうで、
スマートフォンを切ることができなかった。
ああ、憎い。世界の全てが憎い。
たかが『ソシャゲ』に、
こんなにも心が折れそうな
弱くて、惨めで、無価値な、自分すら、
――ただ憎い。
悲劇の主人公でありたい。
――ひたすらに憎い。
この辛さを美化したい。
――憎い。
自分を守るために、悲劇の主人公でありたい。
そんな奴に、神(運営)は、光を与えない。
パッと画面に文字がポップアップした。
「充電残量が0になりました。シャットダウンします」
「ま・・・」
待って、そんな言葉、機械は待ってくれない。
少年は、充電器を探した。
――そして気付く。
部屋はもう暗闇に呑まれ、
何にも見えないことに・・・
暗闇は、部屋中の全てを呑み込んだ・・・
■■■
ある人は論点を外した答えを言う、
『ソシャゲ』は、
『ゲーム』ではないと―――
『ソシャゲ』は、
『ゲーム』という枠を飛び出した異質の存在。
『ソシャゲーマー』を餌に生きる
『現代社会最凶の怪物』である。
『ソシャゲ』を嗜むあなたも、
『ソシャゲ』を批判するあなたも、
後ろを見てください。
暗闇が広がっているでしょう。
光あるうちに・・・逃げて下さい。
語り手は、そう残すと、暗闇に呑まれた。
何か、アンチ『ソシャゲ』な小説になってしまいましたけど、
作者は『ソシャゲ』好きですよ?
有名なやつしかやってないですけど・・・
下手の物好きって感じなんで、マルチ恐怖がちょっとあります。
今回は、某『石』が25個で一回ガチャ引ける『ソシャゲ』で、
あまりにも目当てが来ないストレスで書きました(;O;)
次の投稿まで、『ソシャゲ』に耽ります・・・
友人「いや、冬休みの課題やれよ・・・」




